アパパネ、7年ぶり史上3頭目の三冠牝馬へ飛翔=秋華賞展望

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史上3頭目の牝馬三冠へ、アパパネが秋の淀を飛翔! 【スポーツナビ】

 JRA3歳牝馬三冠レースの最終戦・第15回GI秋華賞が17日、京都競馬場2000メートル芝で開催される。春のGI桜花賞、GIオークスから続く若き女王決定戦レースもいよいよ大詰め。今年の注目はなんといっても、史上3頭目の三冠牝馬誕生なるか、に尽きる。

 昨年の2歳女王アパパネは、今年に入っても同世代を一歩リードし、桜花賞&オークスを連勝。完全制圧へ王手をかけた。秋初戦のGIIローズSこそ、道中の折り合いを欠いて4着に敗れたが、春初戦も同様に脚もとをすくわれており、桜花賞ではキッチリと巻き返している。1度使えば変わる馬だ。体調にも不安はなく、7年ぶりの快挙の可能性は高い。
 ライバル筆頭はサンテミリオン。オークスではJRA・GI史上初の1着同着となり、タイトルを分け合った。前哨戦をパスしてのぶっつけ本番となるが、これは予定通りのローテーション。今度こそ逆転女王へ。

 ほか、三冠阻止へ、武豊鞍上の重賞2勝馬アプリコットフィズ、ローズSの再現を狙うアニメイトバイオ、桜花賞2着のオウケンサクラ、同3着のエーシンリターンズ、上昇著しいワイルドラズベリーらがスタンバイ。

 三冠か新女王か。秋のGIロード開幕戦は才能豊かなプリンセスたちの激しいバトルで幕を開ける。

ひと叩き上昇! 淀の追い風に乗って快挙達成へ

叩き2走目でグンと上昇、GI仕様にモデルチェンジ 【スポーツナビ】

 現役最強女王・ブエナビスタは昨年、三冠チャレンジが失敗に終わり、さらに3着降着という屈辱にまみれた。
 1984年メジロラモーヌ、2003年スティルインラブ――三冠牝馬は歴史上、このただ2頭しかいないという事実以上に、ブエナビスタでも達成できなかったという2009年秋の“事件”が、牝馬三冠の難しさをより鮮明に映し出したと言ってもいい。

 今年、この大きな壁に挑むのはアパパネ。ハワイに生息するという赤い羽根を持つ鳥の名前をもらった鹿毛は、抜群のレースセンスと勝負根性で同世代のライバルを蹴散らしてきた。
 母ソルティビッドが早熟のスプリンターだったため、娘もその傾向かと思いきや、レースを重ねるごとに評価を一変。マイルを難なくこなし、2400メートルすらも克服し、常に同世代のライバルを一歩先んじる競馬を見せてきた。

 秋初戦のGIIローズSは4着。ただこのレースは、休み明け初戦で馬体が太く、4カ月ぶりの実戦で気負いすぎたか、道中は主戦・蛯名との折り合いもうまく行かなかった。また、直線で窮屈になる不利もあり、力負けと悲観する内容ではない。
 むしろ春がそうだったように、アパパネは1度使えばグンと上向く馬。1週前、そして13日の最終追い切りといずれも栗東CWコースで、注文どおりの上昇気配をアピールした。

 馬体は絞れ、体調も上向き、久々を使ったことで気性も落ち着いてくるなど、すべてがプラスに転ずるGI仕様の秋2走目。淀の追い風に乗って、アパパネが“三冠”へと翼を大きく広げる。

もう1頭の女王サンテミリオン、仕上がり問題なし

サンテミリオン(右)は予定通りのぶっつけ本番、今度は白黒はっきりつける 【スポーツナビ】

 三冠阻止の1番手は誰か? 実績から言えば、サンテミリオンをおいて他にはいない。JRA・GI史上初の1着同着でオークスを戴冠。ここまで5戦4勝・3着1回という、ほぼパーフェクトな戦績からも、“今年のレッドディザイア”は彼女かもしれない。

 ただし、アパパネと比べて下馬評があまり高くないのは、この秋華賞がオークス以来5カ月ぶりという理由から。アパパネが秋初戦で不覚をとった例を出すまでもなく、どんな能力馬でもやはり休養明け初戦というのは難しい。まして、今年は記録的な猛暑だった。1度使った馬に対して割り引き材料となることは否めない。

 しかしながら、サンテミリオンがぶっつけ本番になったのは、夏の調整に失敗したからではなく、これは酷暑を考慮しての予定通りのローテーション。それだけに中間の乗り込みは申し分なく、追い切りの動きからも、仕上がりそのものに不安は感じさせない。力を出せる態勢と見ていいだろう。
 今度こそ1センチでもアパパネの前へ――もう1頭の女王が底力を見せるか。

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