UFC119 フランク・ミアvs.ミルコ・クロコップ
ミルコは2度目となるUFCメインでミアと対戦する 【(C)Photo Courtesy of UFC】
当時のミルコはPRIDE無差別級GPで優勝した直後にUFCに電撃移籍し、金網に囲まれた試合場=オクタゴンでの“試運転”を、エディー・サンチェズを相手に初回TKO勝利で飾ったばかりだった。金網2戦目のナパオン戦では日本中の格闘技ファンが、ミルコが“伝家の宝刀”左ハイであっさりと勝利してタイトルマッチに進むことを期待していた。だがミルコは柔術王者に寝技に持ち込まれ、仰向けの状態で何発もヒジを落とされ、最後はまさかのハイキックで屈辱の失神KO負けを喫してしまったのだ。そして次の試合でもフランスのストライカー、シェイク・コンゴに判定負けし、UFCに契約解除されるという憂き目を見た。
ミルコ、ミア撃破でベルト挑戦権に近づくか
ノゲイラの代役として抜擢されたミルコ(左)、ミアを倒せばベルト挑戦権も近づく 【(C)NAOKI FUKUDA】
UFCに契約解除された後のミルコは古巣の日本に戻り、大巨人チェ・ホンマンらを倒して再びUFCに参戦。復帰戦でムスタファ・アル・タークに初回KO勝ちしたが、ジュニオール・ドス・サントスにTKO負けと、またもつまずいてしまう。しかしそこからは魂と肉体を削るような猛特訓をして2連勝を挙げ、今回のミア戦となったのだ。
この試合はもともとアントニオ・ホドリゴ・ノゲイラがミアと戦うはずだったが、ノゲイラの負傷で、ミルコが代打に抜擢(ばってき)された。元UFCヘビー級王者であるミアを倒せば、ベルトへの挑戦権も近づくはずである。
不死鳥のごとくよみがえってきたミア
ミア(右)もミルコ同様、「乱高下」の格闘技人生を送ってきた 【(C)NAOKI FUKUDA】
興味深いのは、ミアもミルコ同様、地獄からはい上がってきた男だということだ。シルヴィアを倒して王座に就いた直後、バイク事故で大腿骨を骨折し、ヒザの靭帯も断裂という重傷を負い、1年半以上も試合ができず王座はく奪。ようやくこぎつけた復帰戦では、柔術王者マーシオ・クルーズにヒジ打ちで切り裂かれてまさかのTKO負け。その後も伏兵ブランドン・ベラに初回TKO負けするなど、「もはやミアは終わった」と言われた。
だがミアもまた不死鳥のごとくよみがる。アーネスト・ホーストとヒクソン・グレイシー両選手の弟子のアントニー・ハードンクに初回一本勝ちしたのを皮切りに、レスナー、ノゲイラらに連勝を挙げ、暫定王者となったのである。その後の王座統一戦では正王者のレスナーに敗れたが、昨年末には、かつてミルコを破ったコンゴに一本勝ち。そしてこの3月の暫定王座戦では、新星シェイン・カーウィンにTKO負けと、まさにミルコとよく似た「乱高下」の格闘技人生を送っているのだ。
ともに地獄の辛酸を舐めてきた、PRIDEとUFCの元王者同士の戦い。執念で勝利をつかむのはどちらか?
(文:稲垣 收 WOWOW UFC解説者)
◆◇◆ WOWOW番組情報 ◆◇◆
★「UFC −究極格闘技− UFC119 フランク・ミア vs ミルコ・クロコップ」
9月26日(日)夜7:00
<主な対戦カード>
ヘビー級:フランク・ミア vs ミルコ・クロコップ
ライトヘビー級:アントニオ・ホジェリオ・ノゲイラ vs ライアン・ベイダー
★「生中継!UFC −究極格闘技− UFC120 秋山成勲 vs ビスピン」
10月17日(日)午前4:00
<主な対戦カード>
ミドル級:秋山成勲 vs マイケル・ビスピン
★「UFC −究極格闘技− UFC121 最強対決!レスナー vs ベラスケス」
10月25日(月)夜11:00
<主な対戦カード>
ヘビー級タイトルマッチ:ブロック・レスナー vs ケイン・ベラスケス
ウェルター級:ジェイク・シールズ vs マーティン・カンプマン
★「UFC登竜門 ジ・アルティメット・ファイター ミドル級ウォーズ」
毎週火曜 夜 11:50(好評放送中)
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