藤井惠&浜崎朱加、女子格闘技の新時代を切り開け

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浜崎の趣味はバイク、でも大きな問題が……

フジメグ(左)心配……浜崎の趣味にまつわる“危険な”エピソードって? 【田栗かおる】

――ここからはちょっと格闘技から離れた話を浜崎さんにお聞きしたいのですが、小耳に挟んだところによると、浜崎さんってバイクがすごく好きで、それでよく転ぶと……

浜崎「え……。なぜそれを……?」

藤井「転ぶところまでがセットなんですよ、アハハハ(笑)。バイク好きで、よく転ぶと」

――(笑)。それで周りがいつもハラハラしてるらしいのですが。

浜崎「なんで知っているんですか?(藤井をジッと見つめる)」

藤井「いやいや、私は教えてないから(笑)」

――どんなバイクに乗っているんですか?

浜崎「ビッグスクーターです。ちょっと前までは50ccの原付でした。楽しいんですよね(笑)」

――僕も大学生時代によく原付に乗ってましたから、その気持ちは分かります。でも、なんでそんなによく転ぶんですか?

浜崎「転ぶっていうか……ぶっちゃけ、よく事故るんです……」

藤井「これが彼女が乗っているバイクです(携帯の写メを見せてくれる)」

――おぉ〜。これはカッコいいですね。で、これは何台目になるんですか?

浜崎「えーっと、ビッグスクーターだけで2台目ですね」

藤井「なんでビッグスクーターだけに限定するの」

浜崎「原付は4台くらいに……」

藤井「アハハハ(笑)。それで試合の前の日とか、なんか変な時間に電話とか連絡があるとドキドキするんですよね。今日も1時くらいにメールでもいいなと思うのに電話があって、こうやって取材していただいたり、試合の応援とかセコンドがあるのに電話があったから、事故ったのかなってドキドキしちゃったりするんですよ(笑)」

――ハハハハハ(笑)。浜崎さん、それは一人でブーンって走ってて、一人でバタッて転んじゃうんですか?

浜崎「いや、そんなにドジじゃないです(苦笑)。ほぼ、トラックとかに突っ込まれる派です」

――というと、自分としては「私は悪くないけど、相手が勝手にぶつかってくる」と。

浜崎「いや、まぁ、私が悪い時もありました……すみません……」

浜崎はさすらい系? フジメグ「ドキドキしながら見ています」

――それで大きなケガとか、今まで大丈夫だったんですか?

藤井「以前、トラックと正面衝突みたいなことになって、ここ(浜崎の目付近)がお岩さんみたいに腫れちゃったよね」

浜崎「ぷっくりとなりました」

藤井「そんなんで大丈夫なんだから、殴られるのなんて全然痛くないよね。アハハハハ(笑)」

――いやぁ、でもよく無事で。本当に気をつけてくださいね。

藤井「本当に命があるから良かったという感じですよね。でも、こうやってピンピンしているのを見ると、丈夫なんだね」

浜崎「はい、頑丈です!」

――アハハハ(笑)。浜崎さんって物静かな人なのかなぁと勝手に思っていたんですが、すごく面白い人ですね。

浜崎「いえいえ」

藤井「そうなんです。だから、いつ練習に来なくなるかとか分かんないんです。そういう不安もあるんです(笑)」

――ふらりと流れ雲のように。

藤井「そうそう(笑)。“さすらってる系”ですよね」

――そのあたりも指導している藤井さんからすると、すごく面白い部分なんでしょうね。

藤井「もちろん練習はしっかりする子なんですけど、そういう性分が入っているんで、いついなくなっちゃうか分からない、とか、ドキドキしながら見ています(笑)」

フジメグは9月ベラトール準決勝、浜崎は12月ジュエルス後楽園

藤井(右)は9月ベルトール、浜崎は12月ジュエルス――ともにトーナメントに挑む 【田栗かおる】

――浜崎さんの次の目標となる12月ジュエルスのトーナメント準決勝ですが、他の3人の中で試合をしたい選手は誰かいますか?

浜崎「誰でもいいです。1度もやったことがないですし、誰と当たっても面白そうですね」

――なるほど。藤井さんとしては次のトーナメントは浜崎さんにどのような戦い方をしていってもらいたいですか?

藤井「トータル的に打撃もしっかり当てていってもらいたいんですが、やっぱり自分の得意な形に持っていけるような流れを早く作っていってほしいなと思いますね。それができる子だと思っていますし、とにかく自分のスタイルに、先に先に持っていけるように攻めていってほしいですね。あと、本当にどの選手と当たっても面白いと思うんです。でもトーナメントということを考えると、初戦で打撃が強い選手と当たったりとか打ち合いになったりすると、勝って決勝へ行った時に、疲労とダメージが残っちゃうと思うんです。できれば私としては、ハムちゃん(ハム・ソヒ)は打撃がけっこうできるので、後にしたいなぁと思いますね。ハムちゃんと戦うのがイヤだというのではなくて、トーナメントで優勝するということを考えたときに、打撃のダメージで決勝戦で思うような力を発揮できなかったらイヤだなぁと思うので、できれば初戦は能村さくらさんか長野美香さんがいいかなと思います」

――浜崎さんは次が後楽園という大きな舞台での試合で、格闘技人生の中でも大きなターニングポイントになりそうな試合だとは思いますが、今何か次の試合に向けて思うことっていうのはありますか? まだちょっと日にちはありますが。

浜崎「…………」

――特に何も考えていない?

藤井「何も考えていないわけじゃないですよ。今、一生懸命考えているんです(笑)」

浜崎「(笑)。えーっと、とりあえず、12月まで苦手な部分を詰めていって、そうですね、頑張って練習したいです。でも、後楽園で試合することって、それだけで大きいじゃないですか。だからこれまでよりは緊張しますね」

――格闘技の聖地、ですからね。

浜崎「はい。あと、トーナメントで2試合ありますけど、先のことは考えずに1試合、1試合勝つのが目的なので、今までどおり頑張りたいです」

――藤井さんは次のベラトールのトーナメント準決勝はいつごろの予定になりますか?

藤井「9月中旬と聞いていますが、まだちょっと確定はしていないですね」

――じゃあ、もうすぐですね。

藤井「そうなんですよ。ちょっと前までは9月9日かもしれないって言われていたんです。それじゃあ来週もう行かなきゃって、思っていたんですよね。それが向こうの対戦相手の組み合わせがうまく調整つかなかったみたいで、ちょっと遅れるらしいです。それで、9月が準決勝で、決勝戦が10月の予定みたいです」

――それでは藤井さんとしては、この9月、10月はどのような試合をしていきたいですか?

藤井「期間が本当に短いので、その中で筋力をあげるとか技術を伸ばすとか新しいものを増やすということはできないと思うので、今持っているものを試合でしっかり出せるようにしたいですね」

米国での勝利がジョシカクの次代へ続く大きな流れになれば

――ちょっと話が大きくなってしまうかもしれませんが、女子格闘技のパイオニア、第一人者と言われている藤井さんがこうしてアメリカに挑戦することは、女子格闘技界ひいては浜崎さんのような後に続く若い選手たちにとって、どのような意味を持つと考えますか?

藤井「そうですね。ただ単に、自分がトーナメントに出たからって私自身が何か変わったというわけではなく、今までと同じように自分らしく戦うというのが前提なんですけど、そういう海外のトーナメントに出ることによって見てくれる人たちが増えて、その女子格闘技を注目してくれている人も前より少しずつ増えているのと、それにプラスして、ちょっと認めてもらえている部分も出てきたので、別に私自身も女子格闘技自体も何か変わったわけではないんですが、私が結果を残すことによって見方を変えてくれる人も絶対にいると思うので……なんだろう、みんなの居心地も良くなるのかなって(笑)。
 あとは、日本の選手がアメリカでいい試合したり、タイトルを獲ることによって、日本の若い子たちもどんどんチャレンジできる流れができると思うので、そうなるとみんなも楽しみが増えると思いますし、そこへつなげていけたらいいなと思いますね」

――日本だけでやっているのと違って、海外で活躍する選手が増えると、今まで女子格闘技をどこか色眼鏡で見ていた人たちも見方を変えてくれると思います。

藤井「やっぱりそういった部分を変えていきたいですよね」

――浜崎さんも来年はアメリカへ。

浜崎「はい。アメリカで試合してみたいですね」

――浜崎さんが藤井さんの後を追うように、さらにその下の世代の子たちもどんどんと追っかけて、海外や大きな舞台で活躍していくような流れができていってほしいですね。

藤井「そう考えるとすごい楽しいですよね。自分がどうこうなるというよりも、自分のチームだと浜崎だったりとかが今後、日本でもそうですが、海外で試合をするということになったら、この選手とやったらどうかな?とか、そういうの考えるだけで楽しいです」

――そういう意味でも今年はこれからの1日、1日が大事になっていきそうですね。

藤井「はい。身を引き締めて頑張ってもらって、バイクだけは気をつけて……(笑)。あと、変なタイミングの電話はドキドキするので、まずはメールをしてほしい」

浜崎「(苦笑)。はい、事故には十分気をつけて。ケガで試合できなくなるのが一番悔しいですし、申し訳ないので」

藤井「でも浜崎は本当に、練習して養えるものじゃないものを持っているタイプなので、自分ではあんまり分かってないと思うんですけど、そういうのが本当にあると思いますし、やればやるだけ強くなる子だから、頑張って続けていってほしいなと思います」

――はい、それではそろそろ時間も迫って参りました。本日はどうもありがとうございました。

藤井「ありがとうございました。……あ、そうだ。この子、桜井翔に似ているんです」

浜崎「それはいいですから(苦笑)」

――桜井翔というと、ジャニーズの?

藤井「どこのグループだっけ?」

浜崎「嵐の……」

藤井「そうそう。よくそう言われるので、そんな感じで売り出そうと思っています。アハハハハ(笑)」

(了)
◆動画配信サービス MMAチャンネル
URL http://www.mma-channel.jp

◆ベラトール31 放送概要
日時:10月1日(金)20時スタート
※現地時間9月30日(木)20時から行われる試合のディレイ放送となります。

【対戦カード】

<女子115ポンドトーナメント準決勝>
ゾイラ・フラウスト
ジェシカ・アギュラー

<ノントーナメント>
クリス・ロザーノ
吉田善行

<ノントーナメント>
リッコ・ロドリゲス
デイブ・ハーマン

<女子115ポンドトーナメント準決勝>
藤井惠
リサ・ワード
ほか

配信スピード:HD画質(720p)、1Mbps〜2.2Mbpsダイナミックストリーミング
視聴料金:525円
※事前に会員登録いただく必要があります。

■「女子総合格闘技ジュエルス 10th RING」
10月10日(日)東京・新木場1st RING 開場17:30 開始18:00(予定)

【予定対戦カード】

<シュートボクシングルール −52kg契約>
能村さくら(CB IMPACT)
アリカ(NJKF/インスパイヤードモーション)

<JEWELSグラップリングルール −52kg  1Dayトーナメント エントリー選手※五十音順>
アミバ(DEEP OFFICIAL GYM IMPACT)
小寺麻美(PUREBRED 川口 REDPIS)
富松恵美(パラエストラ松戸)
浜崎朱加(AACC)

<JEWELS公式ルール −52kg契約>
石岡沙織(空手道禅道会小金井道場)
セリーナ(ノルウェー/team hellboy hansen)

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