- セルヒオ・レビンスキー/Sergio Levinsky
- 2010年9月1日(水) 10:00
FIFA視察団がイングランドを称賛

イングランドが1966年にワールドカップ(W杯)のホスト国になって以来、今回ほど2度目のW杯開催に近づいたことはないだろう。6人のメンバーから成るFIFA(国際サッカー連盟)の視察団が8月26日、4日間の訪問を終え、視察団のハロルド・マイネ・ニコルス団長は「訪問したすべてのスタジアムのピッチがワールドクラスと呼べるものだった」と称賛した。
イングランドは2018年、22年大会の開催に立候補しているが、本命は18年大会である。ほかにロシア、米国、共催を目指しているスペイン・ポルトガル、ベルギー・オランダが18年大会のライバルだ。ちなみに、AFC(アジアサッカー連盟)の日本、韓国、カタール、オーストラリアはいずれも、22年大会のみに立候補している。
FIFA会長のジョセフ・ブラッターも今回のイングランド視察に際し、「ファンもスタジアムも設備もすべてがそろっている」と発言するなど、イングランドを後押ししている。だが、このサッカー界のドンは同時に「ロシアの存在は無視できない。1つの大陸として大きな力を持っている」と、対抗馬としてロシアを挙げる。その一方で、ブラッターは当初から、スペイン・ポルトガルの共催には否定的な見解を示してきた。
今年行われた南アフリカ大会は、表向きには成功裏に幕を閉じた。だが、スタジアム建設といったインフラ整備の遅れ、チケット販売での混乱など、大会組織に混乱が見られたのも事実だ。サッカー文化の違いから、会場でのブブゼラ使用についても議論が沸き起こった。これから先しばらくは、アフリカの人々が自国でW杯を見るのは難しいだろう。よく知られているように、07年10月の理事会において、FIFAはそれまでの各大陸間持ち回りのルールを撤廃した。
必要条件を満たしているのは……
14年のホスト国はブラジルに決定しているが、次にW杯を開催する国はインフラが整っていること、サッカー文化が定着していることに加え、ビッグイベント開催の経験や社会的な保証といった条件を満たすことが必要となってくるに違いない。
18年の候補として、ベルギー・オランダ(00年ユーロ=欧州選手権=開催国)、イングランド(すべてにおいて説明するまでもないだろう)、ロシア(サッカー文化を有し、経済大国でもある。W杯の常連ではないが……)、スペイン・ポルトガル(共にサッカー大国)、米国(経済大国。比較的最近の1994年にW杯を開催しているのはマイナス要素だが)といった国が立候補しているのは、当然という見方もできる。
今回は2大会を同時に決定するということも、少なからず影響することも考慮しなければならない。直近2大会を開催した大陸からの立候補は認められていないため、18年はアフリカと南米、22年については南米と18年大会開催国の属する大陸は除外される。18年大会が欧州開催となった場合、22年大会は米国、日本、韓国、カタール、オーストラリアで争うことになる。
日本と韓国は02年W杯を共催しているが、FIFAは共催についてあまり好意的ではない。そうなると自然とベルギー・オランダ、スペイン・ポルトガルが外れ、18年の大本命として残るのは、イングランド、ロシア、米国となる。中でもイングランドとロシアに最もチャンスがあるだろう。
では、イングランドとロシアのどちらが有力か――。ロシアは06年、10年と2大会連続で本大会出場を逃しており、国際大会での存在感が薄い。また、07−08シーズンにゼニト・サンクトペテルブルクがUEFAカップ(現ヨーロッパリーグ)を制するなど、国内クラブも近年は力をつけてきているが、イングランドと比較するとその差は歴然である。また、イングランドは06年大会のW杯招致で一度、ドイツに敗れている。総合的に考えると、18年大会の開催国は明らかではないか。