レッドソックス、プレーオフ進出の可能性は!?=結果がすべての“真夏の正念場”に突入

カルロス山崎

4年連続プレーオフ進出に向けて

守護神・パペルボンの活躍次第でプレーオフ進出の成否が決まる!? 【(c)Getty Images】

 レッドソックスがニューヨーク、トロント、そしてテキサスでの敵地10連戦を終えてボストンに戻ってきた(現地時間8月16日現在)。この間の成績は5勝5敗(その前のホームゲームを含めた17連戦は9勝8敗だった)。アメリカンリーグ東地区の首位を走るヤンキースもこの間5勝5敗、2位レイズも15日までの10試合を4勝6敗と負け越すなど、順位表は10日前とほとんど変わっていない。ただ、『2強』を追いかけるレッドソックスにとって、差を縮められずにシーズン終了に10日近づいたということは、確率的にはプレーオフ進出の可能性が下がったということになる。

 17日からホームでの9連戦が始まる。まずはエンゼルス、そしてブルージェイズ、マリナーズとそれぞれ3連戦を行うが、自打球による左足骨折のため故障者リスト(DL)に入っているダスティン・ペドロイアが、27歳の誕生日を迎える17日に復帰するのは大きな強みになるだろう。14日、15日の2日間、傘下3Aポータケットでリハビリ出場したペドロイアは、「シーズンはまだ40試合以上も残っている。普段と変わるわけではないが、1試合ずつ勝ちを積み重ねていくだけだ」と、4年連続プレーオフ進出へ前向きに話した。

 全7打席で初球を見逃したペドロイアは、2試合で6打数1安打1四球だったが「ボールをよく見ることができたし、内容は良かったと思う。左足も問題ない。火曜には戻るよ」と、自ら復帰にゴーサインを出した。
 ただし、今季のレッドソックスは故障者、負傷者が続出しており、復帰したばかりのジャコビー・エルズベリーがDLに逆戻りするなど、依然、悪い流れは断ち切れていない。ペドロイアも「足でかき回せるジャコビーの離脱はとても痛い。だが、アクシデントやけがも野球の一部。焦らずに、次の一歩を踏み出すしかないんだ」と、チームメートの無念さを思いやった。

ブルペン陣が誤算の一つ

 レッドソックスにとって誤算の一つとなっているのは、ブルペン陣だろう。(セーブが付く条件下で登板して)同点に追いつかれる、または逆転を許す『ブロウン・セーブ』、いわゆる救援失敗の数を見てみると、守護神ジョナサン・パペルボンが6度、セットアッパーのダニエル・バードが5度、現在は故障者リストに入っている岡島秀樹が4度あり、例えばテリー・フランコーナ監督も「パップ(パペルボンの愛称)で負けたのなら仕方がない」という言葉を使えなくなっているほどだ。

 では、大リーグ全体におけるクローザーの『ブロウン・セーブ』はどの程度あるのだろうか。ヤンキースのマリアノ・リベラ、ロイヤルズのホアキン・ソリアーは2度、フィリーズのブラッド・リッジは4度、メッツのフランシスコ・ロドリゲスは5度、ブレーブスのビリー・ワグナーは7度。パペルボンは06年以降年間3〜6度で、リベラも03年以降1〜6度あるので、今の数字がとりわけ異常というわけではないが、パペルボンの場合、09年プレーオフで痛恨の『ブロウン・セーブ』(※)があっただけに、「今も『後遺症』が残っているのでは?」とささやかれている。

 残り40数試合。その中に、レイズとの直接対決は6試合、ヤンキース戦も6試合ある。言うまでもないが、リリーフ陣がセーブ機会で登板できるかどうかは、先発投手陣の出来にかかっている。彼らの登板試合は残り8試合前後。17日からクレイ・バックホルツ、ジョン・ラッキー、ジョシュ・ベケット、ジョン・レスター、そして松坂大輔が先発マウンドに上がる。
「これからはどんな形でも勝てばいい」
 松坂が話していた通り、レッドソックスは結果がすべてと言える真夏の正念場を迎えている。

<了>


(※)
◆2009年10月11日 フェンウェイ・パーク
LAA 000 101 023 | 
BOS 003 200 010 | 

 09年プレーオフのディビジョン・シリーズ、エンゼルス対レッドソックス。エンゼルスの2勝0敗で迎えた第3戦、3点リードのレッドソックスは8回途中から登板したパペルボンが3本の適時打で5点を許し(成績は1回4安打3失点)、逆転負け。パペルボンは試合後、「オフはこの日のビデオを繰り返し見て、来季に備えようと思う」と声を絞り出すようにして話し、辛い形でオフシーズンに入った。
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著者プロフィール

大阪府高槻市出身。これまでにNACK5、FM802、ZIP-FM、J-WAVE、α-station、文化放送、MBSラジオなどで番組制作を担当。現在は米東海岸を拠点に、スポーツ・ラジオ・リポーター、ライターとして、レッドソックス、ヤンキースをはじめとするMLBや、NFL、NHLなどの取材活動を行っている

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