日本代表に“笑顔”をもたらした藤岡の快投=世界大学野球選手権・3位決定戦リポート
「外野にも飛んでこない」と思わせた圧巻のピッチング
世界大学野球選手権・3位決定戦で5回1安打無失点と好投した藤岡 【島尻譲】
マウンドで藤岡が跳ねた。「ストレートが走っていたので、真っすぐで押せて良かった」と振り返るとおり、躍動感あふれるフォームから切れのある直球を投じると、韓国打線のバットが次々と空を切る。榎本保監督は「(ベンチから見ていて)真っすぐ一本で抑えられる、5回、6回までは間違いなくいけると確信していた」と目を細める。主将の伊志嶺翔大(東海大4年)も、「センターから見ていて『これは打たれるどころか、外野にも飛んでこないな』と。あとは先制点を取るだけだな、と思っていました」と語る。野手陣は守備に思考を割かれることなく、攻撃に専心できたのである。それほどの安心感をこの日の藤岡は持っていた。
藤岡を輝かせた“細やかな制球力”
試合後には、涙を流す場面もあったという藤岡。だが、試合後にその理由を問われると、「いや、涙は……流してないです」と照れくさそうに笑った。少しはにかみながら記者の質問に答える姿は、1年生のころから変わらない。シャイなサウスポーは、「今日は(自分に)80点くらいはあげられると思います」と満足感をにじませた。
世界一にはまたしても届かなかった。だが、榎本監督は「私もいろんなチームでやってきましたけど、チームワークでは一番だった。結束で勝ち取ったと思っている」と全員でつかんだ3位に感慨深げな表情。選手たちも「最後は笑って終わりたいと話していたので、銅メダルを取れて良かった」と口をそろえる。日本代表の暑い夏の戦いは、飛びきりの笑顔とともに幕を閉じた。
<了>
王貞治氏が決勝戦の始球式に打者で登場
世界大学野球選手権決勝の始球式で打席に立った王会長 【島尻譲】
王会長は、「やっぱり日本が(決勝に)出ていなくて残念だね。でも(強豪の)アメリカとキューバの対戦ということで、楽しみ」と熱戦に期待をふくらませた。
また、個人名こそ挙げなかったものの、「ことしの大学生は、今すぐにプロで通用する選手も多い」と大学球界のレベルの高さを評価。「秋のリーグ戦、そしてドラフトが楽しみだけど、(誰を指名するか)頭が痛い」とうれしい悲鳴を上げていた。
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