金メダル逃した斎藤に米国は高評価=世界大学野球選手権準決勝・米国戦リポート

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抜けた変化球で満塁弾浴びる

決勝進出を懸けて準決勝・米国戦に先発した斎藤。初回に満塁弾を浴びるなど6回4失点で敗戦投手となった 【島尻譲】

 第5回世界大学野球選手権の準決勝が5日、横浜スタジアムで行われ、日本は米国に2対4で敗れた。日本は初回、相手の暴投で1点を先制。しかし、その裏に先発の斎藤佑樹(早大4年)がヒットと2四死球で1死満塁のピンチをつくると、5番のスプリンガーに初球の緩い変化球をたたかれ、満塁本塁打を浴びた。打ったスプリンガーが「フォークが抜けて落ちなかったんだと思う」と振り返る失投だった。
 それでも2回以降の斎藤は持ち味の変化球を低めに集め、気持ちの入った投球を見せた。味方の野選が絡んで背負った5回1死一、二塁の場面では、逆転本塁打を打たれたスプリンガーを143キロのストレートで空振り三振、続くニック・ラミレスからも空振り三振を奪ってピンチを脱するなど、粘りを発揮。榎本保監督が「日本人にはない体格、体力を持っている」と語るパワフルな米国打線をかわし、6回4失点と最低限の仕事を果たした。

狙ったところに投げられる制球力に脱帽

 主将・伊志嶺翔太(東海大4年)は「4点取られても粘って抑えてくれていたので、何とか取り返したかったんですけど……。斎藤に申し訳ない気持ちでいっぱいです」と打線が3安打2得点に抑えられたことに無念の表情。榎本監督も「1球の怖さ。初回はマウンドが合わなかったこともあって、自分のフォームじゃなかった。あそこさえ乗り切れば、というのがあったんだけど」とこの日唯一の失投を悔やんだ。
 勝った米国も、簡単な試合ではなかったことを認める。打ったスプリンガーは、「斎藤はストレート、フォーク、スライダー、どれも自分が必要なときに、狙ったところに投げられる」とその制球力に脱帽。キンナバーグ監督は、「もちろん、今すぐにという話ではないが、斎藤がメジャーでも通用するのは間違いない。マイナーでストレート、フォーク主体の今の投球を磨けばね」とその資質の高さを評価した。

試合後の記者会見に姿を見せず

 敗戦投手にこそなったが、この日の投球は恥じるような内容ではない。だが、試合後の記者会見に斎藤は姿を見せなかった。榎本監督の判断だった。
「(斎藤が)4年間ジャパンの一員としてやって、どれだけこの試合に懸けていたかを感じていた。野球人の先輩として、彼の気持ちが分かるから勘弁してください」(榎本監督)
 準決勝に日本のエース・斎藤で必勝を期したものの、米国の壁に跳ね返された。榎本監督は会見の最中、敗戦の悔しさ、そして斎藤の無念を思い、涙ぐむ場面も見せた。だが、日本代表にはまだ3位決定戦がある。韓国と対戦するこの一戦に向け、指揮官は「絶対にメダルを死守する」と意気込む。世界一には届かなかったが、アジアのライバルを倒し、有終の美を飾るつもりだ。
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