打線に火をつけた伊志嶺、「1番」で悲願の初優勝へ=世界大学野球選手権・台湾戦リポート
トップバッター起用で5打数5安打の大暴れ
準々決勝の台湾戦で5打数5安打3打点の活躍を見せた伊志嶺翔太 【島尻譲】
日本は初回、トップバッター・伊志嶺翔大(東海大4年)の二塁打を皮切りに2点を先制すると、2回以降も着実に加点し、リードを広げた。投げては先発の菅野智之(東海大3年)が5回無失点と試合をつくると、その後を野村祐輔(明大3年)、大石達也(早大4年)とつなぎ、完封リレーで逃げ切った。
伊志嶺は先頭打者として打席に立った初回、ライト線の二塁打でいきなりチャンスメークし、伊藤隼太(慶大3年)のタイムリーで先制のホームを踏んだ。勢いに乗った伊志嶺は、2回にチーム4点目となるタイムリーを放つなど、5打数5安打・3打点・1盗塁・3得点と大車輪の活躍を見せた。
打順を変えた監督の狙い 脱帽する台湾代表
伊志嶺も自身の役割はしっかりと理解している。「初回の先頭バッターが出るのと出ないのとでは全然違う。3番では打点を意識しますが、1番ではどんな形でも出塁することを考えています」という言葉通り、センターから右へシャープに打ち返す打撃で安打を重ねた。これには、台湾の投手陣を指導する元西武・郭泰源コーチも「ああいう打者がいるのは頭に入ってたんだけど……。力負け、何も言えないです」と悔しがるばかり。日本野球を知り尽くした郭泰源コーチもなすすべがないほどの大暴れだった。
これだけの活躍にも関わらず、本人は「運が良かった」と謙そんする。だが、その運を引き寄せたのは、「1打席1打席、1球1球を大事に立っている結果です」と本人が語る集中力だ。
5日の準決勝は、大会4連覇を狙う米国と対戦する。榎本監督が「ここから本当の勝負」と意気込む大一番、伊志嶺は1番での起用を明言された。「自分の売りはスピードなので、足でかき回したいです」。打倒米国、そして悲願の初優勝へ――。伊志嶺はその打棒と自慢の快足でチームを勝利へと導く。
<了>
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