打線に火をつけた伊志嶺、「1番」で悲願の初優勝へ=世界大学野球選手権・台湾戦リポート

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トップバッター起用で5打数5安打の大暴れ

準々決勝の台湾戦で5打数5安打3打点の活躍を見せた伊志嶺翔太 【島尻譲】

 主将のバットが打線に火をつけた。第5回世界大学野球選手権の準々決勝が4日、横浜スタジアムで行われ、日本は台湾に7回コールド、13対0で勝利した。
 日本は初回、トップバッター・伊志嶺翔大(東海大4年)の二塁打を皮切りに2点を先制すると、2回以降も着実に加点し、リードを広げた。投げては先発の菅野智之(東海大3年)が5回無失点と試合をつくると、その後を野村祐輔(明大3年)、大石達也(早大4年)とつなぎ、完封リレーで逃げ切った。
 伊志嶺は先頭打者として打席に立った初回、ライト線の二塁打でいきなりチャンスメークし、伊藤隼太(慶大3年)のタイムリーで先制のホームを踏んだ。勢いに乗った伊志嶺は、2回にチーム4点目となるタイムリーを放つなど、5打数5安打・3打点・1盗塁・3得点と大車輪の活躍を見せた。

打順を変えた監督の狙い 脱帽する台湾代表

 この日は、予選ラウンドの3番から1番に打順が変わった。この理由を榎本保監督は「最初3番にしたのは、僕のわがまま。(予選ラウンドでは)どうしても得点力がほしかったから。本当の勝負のときは1番と決めていた。(伊志嶺が)塁に出るとチームに活気が出るから」とオーダー変更の理由を明かす。そして、「1番として打線を引っ張ってくれた」と期待通りの活躍にほおを緩めた。
 伊志嶺も自身の役割はしっかりと理解している。「初回の先頭バッターが出るのと出ないのとでは全然違う。3番では打点を意識しますが、1番ではどんな形でも出塁することを考えています」という言葉通り、センターから右へシャープに打ち返す打撃で安打を重ねた。これには、台湾の投手陣を指導する元西武・郭泰源コーチも「ああいう打者がいるのは頭に入ってたんだけど……。力負け、何も言えないです」と悔しがるばかり。日本野球を知り尽くした郭泰源コーチもなすすべがないほどの大暴れだった。
 これだけの活躍にも関わらず、本人は「運が良かった」と謙そんする。だが、その運を引き寄せたのは、「1打席1打席、1球1球を大事に立っている結果です」と本人が語る集中力だ。

 5日の準決勝は、大会4連覇を狙う米国と対戦する。榎本監督が「ここから本当の勝負」と意気込む大一番、伊志嶺は1番での起用を明言された。「自分の売りはスピードなので、足でかき回したいです」。打倒米国、そして悲願の初優勝へ――。伊志嶺はその打棒と自慢の快足でチームを勝利へと導く。

<了>
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