好投を呼び込んだ斎藤の“秘密兵器”=世界大学野球選手権・予選リーグ韓国戦リポート

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効果的だったチェンジアップ

 斎藤の我慢の投球が勝利を呼び込んだ。第5回世界大学選手権が30日に開幕し、日本は予選リーグ初戦の韓国戦に4対0と勝利した。この日、日本の先発を任されたのは、榎本保監督が「斎藤君しかいないと思っていた」と全幅の信頼を寄せる斎藤佑樹(早大4年)。斎藤は毎回のように走者を許しながらもチェンジアップ、フォークを有効に使い、9三振を奪って6回無失点と試合をつくる。その後も乾真大(東洋大4年)、大石達也(早大4年)の継投で韓国打線を封じ、大事な開幕戦を完封リレーで。大学日本代表初の世界一に向けて幸先のいいスタートを切った。

 大事な開幕戦のマウンドに、「アマチュア最後のジャパン(日本代表)なので、絶対に勝ちたいという気持ちがあった」という斎藤。しかし、初回から2安打を浴び一、二塁のピンチを背負うなど、内容はいまひとつ。6イニングで3者凡退に抑えたのは3回のみ、3度得点圏に走者を進める苦しい投球を強いられた。それでも無失点に抑えることができたのは、持ち味である低めに変化球を集める制球力のおかげだ。韓国の李淵守監督が「我慢できず、狙った変化球ではなく難しい変化球に手を出してしまった」と悔しがったように、韓国打線に狙い球を絞らせなかった。特に相手を翻ろうしたのが、「社会人とのオープン戦で効果的だったので使いました。空振りも見逃しも取れて自信になりました」というチェンジアップ。リーグ戦ではあまり使わないという“秘密兵器”の威力に、笑顔を見せた。

後輩からのエールに決意新た

 このエースの好投には指揮官も「(日米大学選手権で不調だった)去年のピッチングとは別人。真っすぐが走っていた」と表情を緩めた。そして、「(大会の)初戦は厳しいけど、よく投げてくれた。斎藤の我慢強さが今日の勝因。さすがという感じ」とたたえた。斎藤本人も、「どんな形でも抑えようと思っていたので、無失点に抑えられてホッとしている」と胸をなで下ろした。

 もちろん、目標はこの1勝ではない。今夏の甲子園出場を決めた早稲田実高の後輩が「斎藤さんが世界一になってから、僕たちも(甲子園で)優勝を目指します」と話したことを聞き、「後輩が世界一を取れとエールを送ってくれるなら、世界一にならないといけないですね」と決意を新たにした。そして、「自分が2006年に(甲子園で)優勝したときも、王(貞治)先輩がWBCで世界一になった。自分もそういう流れをつくりたい」とあらためて優勝を誓った。
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