歓喜と落胆の王子たち=2010年プリンスリーグ総括
柴崎擁する青森山田は前人未到の8連覇
柴崎率いる青森山田はプリンス東北8連覇を達成した 【安藤隆人】
無敗でプリンス北海道4連覇を果たした札幌U−18は、レギュラー11人中9人が1、2年生という非常に若いチーム。特に1年生は昨年度の高円宮杯全日本ユース(U−15)で準優勝に輝いており、主軸のFW下田康太、MF神田夢実、DF堀米悠斗の3人は、レギュラーとして活躍している。若いチームであるが、3年生のMF菅原康介、GKでキャプテンの松原修平がチームをけん引。安定したゴールキーピングを見せる松原と、破壊力抜群のドリブルと左足を持つ菅原が、チームに大きなアクセントを加えている。勢いに乗ったら面白いチームだ。
青森山田はプリンスリーグ立ち上げから8連覇。前人未到の記録を達成した。今年もその力は圧倒的で、秋田商に13−0で勝利するなど、抜群の攻撃力が火を噴いた。昨冬の高校選手権準優勝メンバーが5人残り、その中には鹿島アントラーズ入りが内定しているMF柴崎岳、清水エスパルス入り内定のGK櫛引政敏ら全国屈指のタレントを擁する。彼らが軸となり、決定力のある成田鷹晃、高性能サイドアタッカー三田尚希、攻撃的右サイドバック横濱充俊らがサイド、中央とバランスよく攻め立てる。尚志に1度引き分けた以外は全勝、得失点差もプラス43という驚異的な数字で、盤石の優勝を果たした。
“関東の雄”FC東京U−18は安定した好チーム
FC東京U−18に次いで2位の流通経済大柏は、選手層という面ではJユース顔負けの存在だ。春先から多くの選手を起用し、プリンスリーグでもさまざまな組み合わせをテストしながら戦ってきた。終盤になると徐々にメンバーも固まってきて、安定した強さを発揮。守備の中心はGK松澤香輝とセンターバック増田繁人、守備的ボランチの古波津辰希の3人。増田は189センチの長身が武器で、空中戦には圧倒的な強さを誇る。古波津は豊富な運動量で攻守のつなぎ役としても存在感を発揮。彼らを軸とした堅い守備から、MF富田湧也、FW進藤誠司らがドリブルとショートパスを駆使して、相手ゴールに襲い掛かる。ベンチにも試合の流れを変えられる選手がそろっており、全国制覇も射程圏内にある。
名古屋U18はエースストライカー高原幹ら2年前の日本クラブユース選手権(U−15)の優勝メンバーである1、2年生の生きが良く、チームで大きなアクセントとなっている。C大阪U−18はU−19日本代表の長身FW杉本健勇を軸に、無敗でプリンス関西を制したが、チーム総得点の半分近くをたたき出している杉本がトップチームに昇格。チームを離れただけに、彼の穴をどう埋めるかが今後のポイントとなる。
広島ユースは安定した強さを発揮。FW井波靖奈、FW砂川優太郎、DF宗近慧ら、高円宮杯全日本ユース3位の昨年のメンバーが中心。初戦こそ米子北に不覚を取ったが、それ以降は安定した戦いぶりを見せ、プリンス中国を制した。
プリンス四国3連覇を果たした愛媛ユースは、すでにトップチームデビューをしているMF近藤貫太、プリンス四国得点王のFW金村賢志郎、右サイドハーフからボランチにコンバートされ、攻撃の中軸を担うMF平田翔也の攻撃トライアングルがチーム最大の武器。彼らががっちりとかみ合えば、全国でも面白い存在になりそうだ。