本田と遠藤のFKを許したGKに非難集中=デンマークメディアが報じた日本戦

構成:EIS

FKからゴールを許したGKセーレンセンに批判が集中

FKから2失点を喫したGKセーレンセンには批判が集中している 【ロイター】

 ワールドカップ・グループリーグ第3戦、デンマークは思いもよらない形で日本に1−3と敗戦を喫した。本戦出場を果たした大会での、初のグループリーグ敗退となっただけに、試合後のデンマーク各メディアはチームに厳しい目を向けている。
 人口550万(日本の兵庫県と同程度)の小国だけに、大会前には誰もが「デンマークは世界トップレベルのチームじゃない。勝ち進めたとしてもベスト8まで」と口をそろえていたものの、まさか決勝トーナメントに進めないとは思っていなかったのだろう。それだけに悲しく、国民やメディアは怒りにも似た感情を覚えたのかもしれない。

 デンマーク最大の発行部数を誇る日刊紙の『ユランズ・ポステン』は「37メートルの長い距離からのFKを決められ、その後、壁を作る位置を間違えて2点目を献上」とFKからの2失点を嘆き、特に2002年のワールドカップ(W杯)日韓大会を引き合いに出して、GKのトーマス・セーレンセンを責め立てた。

「ちょうど8年前のイングランド戦(決勝トーナメント1回戦、3−0でイングランドが勝利)でリオ・ファーディナンドのヘッドをファンブルした時のように、今回もセーレンセンがなすべき仕事をなさずに、デンマークは前半30分で早くも日本に2点のリードを許してしまった。
 セーレンセンはケイスケ・ホンダについて警戒するよう言われていたはずなのに、その結果は見ての通り。彼は(デンマークゴールから見て)左に一歩動いていたが、ホンダのゴールは右隅に決まった。その13分後のエンドウのFKは素晴らしく、セーレンセンが止められるものではなかった。しかし、壁の位置は問題だった。右端に立ったラース・ヤコブセンの立ち位置は間違っており、これはセーレンセンの重大ミスである」

オルセン監督の選手選考も批判の対象に

トマソン(写真)らベテラン勢を重用したオルセン監督も批判の的 【(C) FIFA/FIFA via Getty Image】

 大衆紙の『B.T.』も「またもやミス。チーム・オルセンは赤っ恥。パーティーは終わり。さよなら、ヨン(トマソン)、イェスパー(グロンケア)、マルティン(ヨルゲンセン)」と2つのFKにおけるGKセーレンセンのミスを指摘した上で、大会中、多くの選手がミスを重ね、故障を抱えた選手やベテラン選手を重用したモアテン・オルセン監督のさい配が問題だったとした。

・日本戦はあまりにぶざまな戦いであった
・クビにすべき(引退すべき)選手がいる
・ケガ人を多く選びすぎた

 同紙は主な敗戦の理由として上記の3点を挙げ(1つめは理由とは少し違うが)、「とにかく、つまらないミスをする選手が多すぎた。そして、今こそ世代交代をすべき時期である。日本は決してレベルの高いチームではない。デンマークがあまりにひどすぎたのだ。ひとつひとつのミスは、オルセンのせいではない。しかし、南アフリカに連れて行くメンバーを選んだのは彼だ。あまりにも、ケガ人とトップフォームでない選手が多すぎた」と締めくくり、ベテランのトマソン、グロンケア、ヨルゲンセンは今すぐに代表から引退するべきとした。

 その『B.T.』で健筆を振るう“イケメン”ジャーナリストのモーテン・クローネ・サイアスボゥルに日本の戦いぶりについて尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「日本はデンマークよりはるかに良かったね。デンマークよりボールタッチも良かったし、スピードも速かったし、コンビネーションも良かった。それにもちろん、ゴール数でもデンマークを上回った。特に2本の素晴らしいFKは、どちらも見事の一言。デンマークの選手はボール(ジャブラニ)の扱いに苦労していて、コントロールもままならない感じだったのに、日本の選手は本当にうまく扱った」

 一方で、まるで大きな問題でも抱えていたかのようなデンマークについては、「わたしにも何が起きたのか分からない。W杯期間中ずっと、コンビネーションやパス回しがうまくいかなくて……。本当にどうしてだか分からない。考えられるとしたら、MFにケガ人が出て、ベストのレベルまで持っていけなかったこと。日本が期間中にどんどん上向きになっているのに対し、デンマークは進化できなかった。ダニエル・イェンセン、ヤコブ・ポウルセン、ヨルゲンセン、トマソン、みんな調子も状態も悪かった」とした。

 なお、故障が心配されながらも無事W杯に間に合ったエースのベントナーは『B.T.』の取材に対し、「おれに言わせれば、FKは決まってはならないものだった。トーマス(セーレンセン)はあれを止めなきゃ。あの後、すべてが厄介なことになって、おれたちはそれにうまく対処できなかった。絶対勝たなきゃいけないゲームってときに、みすみす相手にゴールをやってしまったら、それは難しくなるよ。FWとしても、仲間からチャンスが全然もらえなかった。グループリーグを通して、おれたちは良くなかった。ロングパスはあったけど、中盤は前へ攻める意識が欠けていた。最高にがっかりして、家に帰ることになったよ」と応え、FKはセーレンセンのミスで、自分にはチャンスが回ってこなかったとした。

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