デンマークから勝ち点3を奪うためにすべきこと=決勝トーナメント進出に向けた提言
守備を固め、いかに攻撃に出ていけるか
デンマークの攻撃陣で警戒すべきは、やはりベントナー(奥)とロンメダール(手前)だ 【Getty Images】
日本にとっては「引き分けOK」という心理がピッチでどう出るか。対する、勝つしかない状況のデンマークは、得意のリアクションサッカーがかなわない中、どのような攻撃を仕掛けてくるのだろうか。この点はひとつ注目になる。
「日本に引き分け狙いのサッカーができると思うか?」
現地で取材を続ける識者に尋ねれば、返ってくる答えは大抵「NO」である。おそらく、指揮官の岡田監督もそう考えているのではないだろうか。だとすれば、日本の戦い方にこれまでの2戦と変化はないだろう。恐いのは、仮に引き分け狙いの戦い方(布陣)に出て、相手に先制された場合だ。堅守速攻を武器に、フィジカルで圧倒的な優位(特に高さとパワー)を誇るデンマークにリードされるような展開になれば、日本は苦しい。
日本としては、カメルーン戦、オランダ戦同様に、まずは守備のブロックを固め、そこからいかに攻撃に出ていけるかが引き分け以上という結果を生むポイントになるだろう。
一方のデンマークは、高さとパワーを前面に出し、開始直後から積極的な攻撃を仕掛けてくると予想される。そけい部の故障が心配されていたエースのベントナーも第2戦のカメルーン戦ではフル出場し、1ゴールをマークするなど、状態は上向き。ベテランのトマソンも初戦のオランダ戦こそ、練習中に足首をひねったとし大事を取って欠場したが、日本戦の出場に問題はない。
出場停止のセンターバック、ケアーに代わっては、長身のクロルドルップが代役を務めると見られる。「ワールドカップ(W杯)の試合に出場できることがうれしい。もちろん、準備はできている。この時が来ることを、ずっと待っていた」
ロンメダールとベントナーには要注意
まずは、第2戦のカメルーン戦で1ゴール・1アシストと爆発した右ウイングのロンメダールを自由にしないこと。大会前には年齢による衰えを指摘され、地元メディアではにわかに不要論がささやかれていた31歳のベテランだが、初戦のオランダ戦でチーム最高の評価を得ると、続くカメルーン戦ではチームを救う見事な活躍を披露し、気を良くしているだけに注意が必要だ。
カメルーン戦の1点目がそうだったように、特にセンターバックから一気にロングクロスをロンメダールらウイングに出すのがデンマークの攻撃の1つのパターン。だが一方で、そこを封じれば攻撃力は半減できるとも言える。そのためにも、スピードに乗ったドリブル突破を好むロンメダールにスペースを与えないことだ。
そして、中央ではやはり、長身ながら足元の技術にも優れ、自らゴールを狙うだけでなく周囲の選手を使うことがうまいベントナーを警戒すべきだ。特に、注意すべきは彼が引いてボールを持った際の2列目からの飛び出し。初戦のオランダ戦でも彼のポストからカーレンベルク、ヨルゲンセンらがゴール前に抜け出しチャンスになった場面があったが、ベントナーの動きだけにつられず、周囲の選手をしっかりマークしておくことが大切だ。
また、22日付けのデンマーク大衆紙『B.T.』では、194センチのチーム一の長身FWセーレン・ラルセンと阿部勇樹(177センチ)、駒野友一(172センチ)、長友佑都(170センチ)との身長差を比較し、ラルセンが“ジョーカー”になり得るとして紹介。デンマークでは、日本の弱点をフィジカルと見る向きも多く、ゴールが遠いようであればベントナーを左サイドに出して、ラルセンを投入しパワープレーという手を打ってくる可能性もありそうだ。
ただ、ラルセンは春先から故障に苦しんでおり、満足な練習もできておらず、試合からも遠ざかっている。当の本人も「こんな状態の僕が出なくてもデンマークが勝てるのが理想」と殊勝なコメントを残しているが、策士であるオルセン監督だけに、貴重な戦力をただでベンチに座らせて置くことはないだろう。