東洋大の執念で創価大へのリベンジ果たす=全日本大学野球選手権リポート

松倉雄太

試合を分けた初回の3ラン

 全日本大学野球選手権準々決勝が11日、神宮球場で行われ、東洋大が創価大を5対2で破り、2年ぶりの4強進出を決めた。
 昨年、同じ準々決勝で敗れた相手に挑んだ東洋大。リベンジを果たすには最高の先取点となった。初回1死ニ、三塁のチャンスで4番・鈴木大地(3年=桐蔭学園高)が打席に。創価大のエース・小川泰弘(2年=成章高)の初球、131キロのフォークを振り抜くと打球はライトスタンドへ飛び込んだ。
 東洋大の高橋昭雄監督、創価大の岸雅司監督が「あれが大きかった」と声をそろえた初回の3点。これがこの試合の決定打となった。高橋監督から「どっしり構えろ」とアドバイスを受けていたという鈴木は「思い切り振れた。入ってくれてホッとしました」と笑顔。「藤岡(貴裕=3年・桐生第一高)なら前半に3点を取られることはないだろう」と高橋監督はこの3点で自信を持った。
 その援護に守られた先発の藤岡は、低めをしっかりと突き、フライアウトを量産する見事なピッチング。2点を失った7回以外はほぼ完ぺきな内容だった。
「藤岡君には昨夏のオープン戦でも完封されたので覚悟はしていた。うちが2点以内に抑えないといけなかった」と岸監督は完敗を認めた。

2年ぶりの頂点へ大きなヤマを突破

 この試合に懸ける東洋大サイドの執念が実った。創価大の先発が小川なのか、左腕の久保亮輔(2年=静岡三島高)なのか。読み切れなかった指揮官は2番打者に偵察メンバーの藤本吉紀(1年=PL学園高)を起用。
「1年生(藤本)には申し訳ないんだけど、どちらでくるのかと思いましてね。それで偵察を使いました」と高橋監督。
 初回に先頭の坂井貴文(4年・春日部共栄高)が四球で出塁すると、藤本に代わり左打ちの上原悠希(3年・帝京高)が打席に。その上原が二塁打でチャンスを広げ、鈴木の先制弾につなげた。
「本当はコールドにしなければいけない展開だったから見事なリベンジでもないんだけどね。コールドなら連投も考えたけど、9回投げたから明日の藤岡(登板)はどうかな」と笑った高橋監督。それでも2年ぶりの優勝へ向け、大きなヤマと考えていた創価大を破り、チームにいい流れを感じはじめているようだった。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

スポーツナビからのお知らせ

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント