全国で躍動した北大の一体感=全日本大学野球選手権リポート

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神宮に沸き起こった大きな拍手

 延長14回、乾いた打球音を残した白球がライトポールに直撃して、北大の挑戦は終わった。国立大として史上初の1大会3勝目はならなかったが、整列に向かうナインには神宮球場の観客から大きな拍手が送られた。

 第59回全日本大学選手権は11日、神宮球場で準々決勝を行い、北大は延長14回の熱闘の末、八戸大に3対4とサヨナラ負けを喫した。
 今大会の出場校の中で部員38人はもっとも少ない。それでも、北大はチームのまとまりで準々決勝を堂々と戦った。4回には見事な集中打で2点を奪い、1点を追う8回には好投手・塩見貴洋(4年=帝京第五高)から堤篤大(4年=清教学園高)がタイムリーヒットを放って同点に追いついた。そして、7回から登板した佐藤輝(3年=立命館慶祥高)が力投。延長戦では何度もサヨナラのピンチを背負いながらも、チームメートの好守にも支えられ、13回までを無失点に抑えた。
「ベンチも含めて全員で勝ちにいくムードができていた」と振り返ったのは安達三朗監督。「4年生中心にまとまったチーム。集中して努力してきたからいい試合になりました」と充実感を漂わせた。

 延長12回には1死一塁からサードゴロで一気に三塁を狙った走者を落ち着いてアウトにし、13回には2死満塁から三塁線の強烈な打球を途中出場の木村優斗(2年=北広島高)が横っ飛びでキャッチ。三塁を封殺してピンチを切り抜けた。いずれもアウトになった瞬間にベンチから選手が飛び出し、活躍した選手も、その前にミスをした選手も同じように元気に迎える。「盛り上げるために選手が自然にやり始めたんですよ」と安達監督が目を細めるこの一体感が北大の驚異の粘りにつながっていた。

国立大史上初の快挙は逃すも新たな目標へ

 今大会の2試合は東京ドームで行われたため、準々決勝で初めて“大学野球の聖地”神宮球場で戦った。城嶽祐太朗(4年=長田高)主将が、「東京ドームも素晴らしい球場ですけど、神宮球場は本当に素晴らしいところでした。野球ができる喜びを感じました」と語ったように、劣勢に立たされても北大ナインから笑顔が消えることはなく、伸び伸びとしたプレーで八戸大を追い詰めた。

 国立大として史上初の3勝目という快挙を逃がしたが、14回にサヨナラ本塁打を浴びた佐藤輝は「またことしの秋(明治神宮大会)、来年とここで投げたいと思います」と気合を込め、城嶽主将は「ピッチャーが頑張っていてくれたから打ちたかった。こういうチームに勝つことを目標にまた頑張ります」と新たな目標を掲げた。
 さわやかな印象を残してグラウンドを後にした北大。その視線は、早くも次なる挑戦に向いていた。
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