陸上日本選手権4日開幕! 福島、室伏らが出場=見どころ

折山淑美

女子短距離勢は、福島(左)の走りはもちろんのこと、高橋(中央)、佐野(右)らにも注目だ 【写真/陸上競技マガジン】

 日本新連発の福島千里(北海道ハイテクAC)がすべての話題をさらってしまったような春の陸上シーズン。その締めくくりとも言える日本選手権が、6月4日から6日まで香川の丸亀陸上競技場で開催される。その最大の見所はというともちろん、福島の再度の日本記録更新だろう。だがここではほかにも目を向けてみたい。

室伏が16連覇に記録を伸ばせるか

ハンマー投げの室伏は今大会、16連覇の期待がかかる 【写真/陸上競技マガジン】

 まず注目したいのは、男子ハンマー投げで16連覇を狙うベテランの室伏広治(ミズノ)。昨年の日本選手権はシーズン初の試合で73メートル26で優勝。その後は世界選手権ベルリン大会出場を取り止め、9月のポーランドで78メートル36を投げた。
 その室伏に最も心配されるのは故障の具合だが、今季は5月の国際グランプリ大阪大会(大阪)から出場。「試合に慣れていないので最初は様子をみた。3〜4投目で力が出せればいいと思った」というように、3投目で77メートル54を出した。そして6投目には77メートル86まで記録を伸ばして3位に。かつての80メートルが当たり前だったころに比較すると物足りないが、シーズン初戦とすればまずまずの記録。体の状態も昨年より良くなっていると思える。
 さらに今年はハンマー投げが新設されたダイヤモンドリーグから独立し、“ハンマー・スロー・チャレンジ”という名称で独自にシリーズ化されてシリーズチャンピオンを決めるシステムになった。長年、世界のハンマー投げ界のリーダー的存在であった室伏だけに、記念すべき初年度はチャンピオンになっておきたいところだろう。シーズン後半戦で記録を伸ばすためにも、日本選手権では2年ぶりの80メートル台に乗せたい。休養年とも言えた昨年を経て、どんな形でロンドンへ向けた再スタートを切るかが楽しみだ。

目標は85メートル越えのやり投げ村上

やり投げの村上は、今季の目標として85メートル越えを掲げる 【写真/陸上競技マガジン】

 同じ男子投てきには、今年を85メートルを狙う年と位置づけているやり投げの村上幸史(スズキ浜松AC)もいる。シーズン初戦の日本選抜和歌山大会では発熱のために1投だけと決めて出場し、国内自己ベストの82メートル49を投げた。だが、自信を持って臨んだ5月8日の大阪では、1投目を失敗するとそのまま立て直せず、77メートル66の5位に終わってしまった。だが「大阪の時はは緊張の度合いが過剰になっていた部分もあるし、しっかりと自分を抑えるものがなかった」というように、追い込まれた和歌山とは違い、好調ゆえに落とし穴にはまり込んでしまったという経験も貴重だったはずだ。昨年は日本選手権10連覇を達成。「去年までは日本選手権は負けてはいけない大会という位置付けでやってきたが、今年は連覇も一つの達成目標だと思うようになってきた」とも言う。それは自らの中に、連覇というもう一つのプレッシャーを引き受ける心の余裕ができた証しでもある。
 世界選手権銅メダリストという肩書に加え、ハンマー投げの室伏重信氏超えの11連覇を目指す。過去2番目の連覇記録に挑むというプレッシャーもある中で83メートル10の自己記録を塗り替えることが、目標とする85メートルへのステップとなるはずだ。

 ほかにもベテラン組では、男子棒高跳びの澤野大地(千葉陸協)が好調だ。4月の織田記念では5メートル40から跳び始め、50、60、70をすべて1回目でクリアして優勝を決めた。5メートル80こそ跳べなかったが助走は安定していた。5年ぶりに自身の持つ日本記録(5メートル83)の更新も期待できそうだ。

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著者プロフィール

1953年1月26日長野県生まれ。神奈川大学工学部卒業後、『週刊プレイボーイ』『月刊プレイボーイ』『Number』『Sportiva』ほかで活躍中の「アマチュアスポーツ」専門ライター。著書『誰よりも遠くへ―原田雅彦と男達の熱き闘い―』(集英社)『高橋尚子 金メダルへの絆』(構成/日本文芸社)『船木和喜をK点まで運んだ3つの風』(学習研究社)『眠らないウサギ―井上康生の柔道一直線!』(創美社)『末続慎吾×高野進--栄光への助走 日本人でも世界と戦える! 』(集英社)『泳げ!北島ッ 金メダルまでの軌跡』(太田出版)ほか多数。

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