斎藤佑樹が優勝に導くか!? 5年ぶり「早慶の優勝決定戦」=東京六大学・早慶戦見どころ

矢島彩

優勝をかけた早慶の直接対決

 今春の東京六大学春季リーグ戦の優勝校は、早大と慶大の2校に絞られた。今週末の早慶戦で勝ち点を挙げた方が優勝だ。ラストイヤーの斎藤佑樹投手(4年=早稲田実高)を擁する早大は3季ぶり、就任1年目の元プロ・江藤省三監督率いる慶大は11季ぶりの栄冠を目指す。

「早慶の優勝決定戦」は5年ぶり。実はそう簡単に見られるものではなく、その前は1978年秋までさかのぼらなければならない。このときは早大が完全優勝を達成した。さらに14年前の1964年、東京オリンピックの年。このときは春も秋も両校の優勝がかかっていた。当時の慶大の二塁手が江藤監督(当時3年)。今春のリーグ戦中、報道陣が“現役時代に早慶決戦はありましたか?”とたずねると、「ありますよ!」と即答していたのが印象的だった。春は早大が6季連続Bクラスからの復活V。秋は慶大に軍配が上がっている。

斎藤、大石、福井の早大投手陣は上り調子

 両指揮官が思い描くポイントは同じだ。

「うちは投手に頼る部分が大きいと思います」(早大・応武篤良監督)
「早稲田の投手陣対慶応の野手ですね」(江藤監督)

 早大投手陣は上り調子だ。苦手の法大戦で、斎藤、大石達也投手(4年=福岡大大濠高)、福井優也投手(4年=済美高)がそれぞれ本領発揮。連勝で勝ち点を奪った。斎藤は「体重移動を意識しながら、後半も力を入れて投げられた」と振り返り、応武監督も「3人が初めて好投してくれたので本当に良かった。ピッチャーの仕事ができましたね」と、手応え十分の様子。明大戦で打ち込まれた大石も、法大1回戦で2回5奪三振、最速153キロと復活した。大石が全力で投げるためにも、斎藤と福井は7回まで投げておきたい。

 さらに、野手にもプラス材料が。不振に悩んでいた土生翔平外野手(3年=広陵高)に当たりが戻ってきたのだ。「ずっと3番で使ってくれていたので何とかしたかった」と、直近4試合で16打数7安打。1番で現在首位打者の渡辺侑也二塁手(3年=聖光学院高)、2番・松永弘樹遊撃手(4年=広陵高)の出塁率もポイントになる。

慶大・江藤監督「早慶戦はミスをした方が負ける」

「オレの一番嫌いなのはエラー。早慶戦はミスをした方が負ける。ミスっていうのは判断ミスなども含みますよ」(江藤監督)

 慶大は打率3割台が長崎正弥捕手(4年=福井・高志高)、松尾卓征三塁手(4年=鳥栖高)、湯本達司二塁手(4年=野沢北高)と3人。4番・伊藤隼太外野手(3年=中京大中京高)も六大学トップの10打点を残している。打線の上位から下位まで長打が出ており「先制して逃げ切るのが理想」と指揮官は語る。

 注目は投手起用。明大戦では左腕・竹内大助投手(2年=中京大中京高)が2戦連続で先発した。そして152キロ右腕の福谷浩司投手(2年=愛知・横須賀高)が本職のリリーフにまわった。相手との相性などを考慮しての起用だ。竹内大は開幕の東大戦でノーヒットノーランを達成。ストレートは130キロ台で、驚くような変化球もないが、ストレートでも、変化球でも三振が取れる。走者を出しても粘り強く投げられるのも魅力だ。福谷は、4月25日の法大戦(4安打完封勝利)を最後に4イニング以上を投げていない。果たして早大戦で与えられる役割は……?

「同じ条件で戦えるのがいい。お客さんが盛り上がりますね」(応武監督)
「勝ち点を取ったら優勝なんて、オレにとってハッピーすぎる」(江藤監督)

 大観衆が見つめる先で、宙に舞うのは、果たしてどちらか!?

<了>
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著者プロフィール

 1984年、神奈川県出身。『アマチュア野球』、『輝け甲子園の星』『カレッジベースヒーローズ』(以上、日刊スポーツ出版社)や『ホームラン』(廣済堂出版)などで雑誌編集や取材に携わる。また、日刊スポーツコム内でアマチュア野球のブログを配信中

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