これが女王の底力! ブエナビスタ1強時代が来た=ヴィクトリアマイル

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ブエナビスタが底力でねじ伏せるGI4勝目! 女王1強へと時代は動く 【スポーツナビ】

 ブエナビスタvs.レッドディザイア4度目の女傑対決で注目を集めた春の女王決定戦・第5回GIヴィクトリアマイルが16日、東京競馬場1600メートル芝で開催され、横山典弘騎乗の1番人気ブエナビスタ(牝4=松田博厩舎、父スペシャルウィーク)が優勝。後方6番手追走から直線は馬場の外を豪快に伸び、先に抜け出した内田博騎乗の8番人気ヒカルアマランサス(牝4=池江郎厩舎)をゴール前でクビ差とらえ女王の底力を見せつけた。良馬場の勝ちタイムは1分32秒4。

 ブエナビスタは2008年GI阪神ジュベナイルフィリーズ、09年GI桜花賞、同GIオークスに続き、GIレースは通算4勝目。ライバル・レッドディザイアとの対戦成績も通算3勝1敗とし、女王の座を磐石のものとした。なお、次走は上半期の総決算グランプリGI宝塚記念(6月27日、阪神競馬場2200メートル芝)を予定している。

 一方、四位洋文騎乗の2番人気レッドディザイア(牝4=松永幹厩舎)は、直線の追い比べで遅れをとり、ブエナビスタから0秒1差の4着に敗れた。また、2着ヒカルアマランサスから3/4馬身差の3着には北村宏司騎乗の11番人気ニシノブルームーン(牝6=鈴木伸厩舎)が入っている。

ドバイ帰国初戦、コンディションは万全ではなかった

ウィニングランで横山典はゴーグル、ステッキをファンへ“プレゼント” 【スポーツナビ】

 「本当にすごい馬ですよね」

 2000勝ジョッキー・横山典弘も感嘆の底力だった。中東の地・ドバイで世界クラスの強豪と国際GIドバイシーマクラシックで互角の2着激闘後、国内初戦。“凱旋レース”といえば聞こえはいいかもしれないが、ブエナビスタの出来自体は決して万全ではなかった。横山典がレース後に語った。
 「パドックでおとなしいのはいつもどおりだったんですが、返し馬では歩様が硬かったし、出来はあんまり良くないなと思ったんです。ドバイから帰った直後のレースですし、追い切りもビデオで見ていて、どれくらい良くなっているかなと思っていたんですけど、乗った感覚ではあんまりいい感じではなかったですから」

 ドバイから空輸で帰国し、輸入検疫、着地検疫を経て、栗東に帰厩したのが4月29日。名伯楽・松田博資調教師も「今までよりは色々と苦労したところがありました」と、調整の難しさを明かしている。それでも勝つところが、女王の女王たるゆえん。

 レースは特に出負けすることもなかったが、後方5、6番手のポジション。「あそこのポジションくらいしかなかったというか、馬もあそこから行くんだという感じで(笑)、馬のリズムで行きました」と横山典。3走前のGI有馬記念、2走前のGII京都記念と、横山典手綱のもとでは先行策にチェンジしていたが、もとはといえば馬群の後方は指定席だ。

再確認させられる器の大きさ、不利な状況を力で克服

体調は万全ではなく、コースも先行有利……決して楽ではない攻防だったが、それでも差し切った 【スポーツナビ】

 とはいえ、今の東京は超がつく高速馬場で前が止まらない。その上、完調とは言えなかったこの日のブエナビスタ。横山典が決して楽ではなかった直線の攻防を振り返った。
 「目の前にレッドディザイアがいて、芦毛の2頭(逃げたベストロケーション、2番手追走のブラボーデイジー)とずいぶん離れちゃったな、と。それにブエナビスタ自身の反応もいつもどおりではなかったですね」
 伸びてはいるのだが、弾けそうで弾けきれない脚。そうこうするうちに残り100メートルを切り、横一線となった馬場の真ん中から伏兵ヒカルアマランサスが一完歩前に出る。豪腕を振るった内田博も内心「勝ったかと思った」――。

 しかし、金星をそう易々と渡さなかったのは女王のプライド、そして底力。
 「最後は苦労しましたけど、そこで差し切るんですから、やっぱりこの馬は違いますね。普通の出来で出られれば単勝1倍台で当然の馬ですけど、具合がいいのと悪いのとでは全然違いますから。今日は底力を感じました」
 万事休すから一転、最後の最後、グイッとひと伸びしてクビ差かわしたところがゴール。昨年5月オークス以来となる約1年ぶりのGI4勝目は、楽勝・快勝とはいかなかったが、むしろ、この不利な状況をまさしく“力”で跳ね返しての勝利は、ブエナビスタの持つ圧倒的な器を再確認させる勝利でもあった。

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