157キロ右腕・澤村、優勝引き寄せる完投勝利=東都大学野球リポート
“天敵”を打ち取りリズムをつかむ
負ければ自力優勝がなくなる大事な一戦。「(中1日の登板で)疲れがないと言えばうそになるけど、自分しかいないと思っていた」とエースの自覚とともに先発マウンドに立った澤村。その真価が問われたのは、序盤2回のピンチだった。
初回、先頭の坂井貴文(4年=春日部共栄高)に153キロのストレートを狙い打たれ、1回戦に続く本塁打を許した澤村は、2回にも自らの暴投も絡んで2死二、三塁と走者を背負う。失点すれば一気に流れを相手に渡してしまう場面、打席には“天敵”の坂井だったが、「ボールになってもいいと思って思い切り投げた」というスライダーで空振り三振に切って取り、ピンチを脱した。「(1回戦、初回と)2度ストレートでやられているので、学習しないと」と話した冷静な判断が光った。
中大・高橋監督「一皮むけたね」
5対1で迎えた8回2死満塁のピンチも、151キロのストレートで堀越匠(4年=浦和学院高)を空振り三振に切って取り、東洋大の反撃ムードを断ち切った。
この快投に、中大・高橋善正監督は「力まないで放れるようになった。これはチームにも本人にも大きい。一皮むけたね」と笑顔。敗れた東洋大・高橋昭雄監督も「(序盤)調子が悪いのに立て直して、あれ(8回の踏ん張り)だもんね。参った」と脱帽。両指揮官が手放しに称えたあたりに、この日の澤村の活躍の大きさが表れている。
これで首位に立った同校は、11日からの亜大戦で勝ち点を奪えば優勝をほぼ手中にする。澤村は、「チームも、投手としての自分も日本一になる」という大きな目標を持っている。「1戦目でも2戦目でも、使うと言われたところで投げます」とその第一関門であるリーグ制覇に向け、亜大戦でのフル回転を誓っていた。
<了>
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