斎藤佑樹ら集大成の早大=東京六大学春季リーグ見どころ

矢島彩

不動のメンバーで臨む早大 2枚看板が健在の明大

早大・斎藤は4年生となったことし、大学野球の集大成を見せる 【写真は共同】

 ことしのプロ野球ドラフト会議の目玉である早大・斎藤佑樹(4年=早稲田実高)が所属する東京六大学春季リーグが10日に開幕する。果たしてどの大学が今春のリーグ戦を制するのか。見どころを探る。

 100代目の主将に任命された斎藤にとっても、主力に同学年が多い早大にとっても、ことしは集大成のシーズンである。
 攻守において不動のメンバーばかり。経験値では他大の上をいく。先発は斎藤と福井優也投手(済美高)、さらに外野との二刀流に挑戦中の大石達也投手(福岡大大濠高)と4年生3人が中心。いずれも調整は順調だ。打線は土生翔平外野手(3年=広陵高)、山田敏貴外野手(4年=早稲田実高)の3、4番コンビが頼もしいだけに、1、2番に高い出塁率が求められる。
 だが、決して早大の戦力が突出しているとは言いがたい。絶対的エースを擁する明大、早大にめっぽう強い法大。昨秋の早慶戦で大勝利を収めた慶大。この3大学がほぼ横一線で食らいついてくることが予想される。

 昨秋王者の明大は創部100周年を迎える。秋の防御率1位の西嶋一記投手(4年=横浜高)と、2位で絶対的なエース・野村祐輔投手(3年=広陵高)の2枚看板が健在だ。守備では荒木郁也遊撃手(4年=日大三高)を本人の希望であったショートに固定。昨年以上に攻守で余裕を持ってプレーができそうだ。攻撃では、昨秋規定打席にこそ届かなかったがチーム最多10打点の矢島賢人外野手(4年=桐生一高)、謝敷正吾一塁手(4年=大阪桐蔭高)の打撃がカギを握る。初戦の東大戦の後、1週空いて早大戦。4季ぶりに勝ち点を挙げて、優勝戦線へ弾みをつけたい。

江藤新監督で慶大も優勝候補 潜在能力の高い投手陣の法大

 新体制の慶大も優勝候補の一角だ。江藤省三新監督はプロ3球団で指導した実績はもちろん、物腰の柔らかさも魅力だ。竹内秀夫助監督も明治安田生命監督時代からの手腕が光る。中林伸陽(現・JFE東日本)という大エースが抜けたものの、“2年生愛知トリオ”が元気だ。140キロ中盤を投げる福谷浩司投手(横須賀高)、184センチ右腕・仲井洋平投手(時習館高)、左腕・竹内大助投手(中京大中京高)の3人だ。野手も4番に中京大中京高出身の伊藤隼太外野手(3年)が座る。伊藤は昨秋5長打を放ち、打率5位(3割2分6厘)と実績も十分残して自信を深めた。ほか5人がレギュラーとして残ったのも大きい。

 法大はドラフト候補右腕・加賀美希昇投手(4年=桐蔭学園高)が大黒柱。先日の駒大とのオープン戦では2イニングを最速144キロで完ぺきに抑え、格の違いを見せつけた。二神一人(現・阪神)、武内久士(現・広島)の穴は、三上朋也投手(3年=県岐阜商高)、三嶋一輝投手(2年=福岡工高)、左腕・山本翔也投手(4年=福井高)と潜在能力の高い投手陣が埋めていく。リードする広本拓也捕手(4年=浪速高)の肩、スローイングは大学トップクラスのものだ。懸念されるのは攻撃面で、ここ最近のオープン戦は1試合の得点が2点前後。積極的に選手を入れ替えているのが現状だ。不動の1番・多木裕史遊撃手(2年=坂出高)の出塁を、佐々木陽一塁手(4年=作新学院高)ら個性派4年生たちが生かせるか。

 大塚淳人新監督で今季を迎えた立大はチーム全体における勝負強さが必要不可欠。昨年は年間10カードのうち7カードが3回戦までもつれた。そのうち勝ち点を取れたのは1カードだけ。あと1勝の壁さえ越えれば、10季連続のBクラスは避けられるはずだ。主将で全日本候補の田中宗一郎外野手(4年=佐賀西高)、岡崎啓介内野手(3年=PL学園高)が軸。松本幸一郎内野手(2年=横浜高)らアスリート入試1、2期生たちの飛躍も期待したい。

 24季連続最下位の東大。主将でエースの前田善博投手(4年=栄光学園高)がリーグ初勝利を目指す。現役時代に通算4勝を挙げている御手洗健治監督のさい配にも注目だ。

<了>
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著者プロフィール

 1984年、神奈川県出身。『アマチュア野球』、『輝け甲子園の星』『カレッジベースヒーローズ』(以上、日刊スポーツ出版社)や『ホームラン』(廣済堂出版)などで雑誌編集や取材に携わる。また、日刊スポーツコム内でアマチュア野球のブログを配信中

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