連覇狙う立正大、機が熟した中大……今季も“戦国”=東都大学野球リーグ・見どころ

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昨秋、初優勝を遂げた立正大は、神宮大会も制し日本一に輝いた。果たして連覇はなるか 【写真は共同】

 そのレベルの高さから、“戦国東都”と呼ばれる東都大学リーグが6日、開幕する。昨秋は立正大が初優勝を果たすと同時に、東洋大の連覇が「5」で止まり、新たな時代の到来を予感させた。2季連続の優勝を狙う立正大はもちろん、ドラフト1位候補・澤村拓一(4年=佐野日大高)を擁する中大、V奪回を狙う東洋大、ここ数年安定して上位に顔を出す亜大と各校の実力が拮抗し、今季も相変わらずの混戦模様だ。果たしてどこが優勝を勝ち取るのか!? 1部所属6校の戦力を紹介する。

昨秋上位の2校はエースが健在 カギは2戦目の先発

 昨秋優勝の立正大は、なんと言ってもエース・南昌輝(4年=県和歌山商高)が柱。最速151キロの直球が武器の速球派右腕は、神宮大会でも仏教大を完封するなど、その実力を示した。2番手候補には昨季、中継ぎとして7試合に登板、防御率0.64と安定した投球を見せた大村豊(3年=静岡高)が有力。小石博孝(現・NTT東日本)、菅井聡(現・日本通運)が抜けた穴を埋められるか。
 打線は大学ジャパンにも名を連ねる越前一樹(4年=横浜高)を中心に、昨秋ベストナインを獲得した中嶋達也(3年=銚子商高)、主将で正捕手の椎名亮介(4年=銚子商高)ら旧チームからのレギュラー組がチームを引っ張りたい。投打ともに主力の多くが卒業し、実戦経験にやや不安は残るが、軸となる選手が残り大きな戦力ダウンの印象はない。連覇の可能性は十分だ。

 2006年秋の優勝を最後に、6季で4度の2位とあと一歩のシーズン続く亜大は、1年生ながら年間9勝と大車輪の活躍を見せた東浜巨(2年=沖縄尚学高)が頼もしい。秋は全13試合中9試合に登板とスタミナにも不安がなく、東浜に続く2戦目の先発投手が課題となりそうだ。その2人目の先発は、最速150キロ超の4年生コンビ・北原郷大(徳島高)、中村駿介(滋賀学園高)が名乗りをあげる。
 攻撃では小野紘明(4年=中京高)、高田知季(2年=岡山理大付高)の俊足コンビが出塁し、勝負強い加嶋健志郎(4年・主将=新田高)につなぐ形をつくりたい。中田亮二(現・中日)、中原恵司(現・福岡ソフトバンク)と看板打者2人が抜け、迫力不足は否めないが、亜大らしいすきのない攻撃でカバーしたい。

中大はリーグ屈指の投手力で11季ぶりの優勝を狙う

 国学大は秋季リーグ戦で7勝5敗の3位と奮闘。Aクラス入りを果たし自信を深めた。その原動力となったのは、リーグ3位の打率3割4分1厘とバットでチームを引っ張った渡邉貴美男(4年・主将=文星芸大付高)。リーグ最多の38犠打と堅実な攻撃が持ち味のチームだけに、今季もリードオフマンとして出塁にこだわりたい。
 投げては昨秋、6勝とブレークした埜口卓哉(4年=つくば秀英高)がエース格。サイドから投じるスライダーは切れ味十分だ。実績ある高木京介(3年=星稜高)に加え、1年時の日米大学野球でMVPを獲得した153キロ右腕・村松伸哉(4年=光星学院高)が復活を果たせば、昨季以上の成績も見込めるだろう。

 中大はリーグ屈指の投手力で04年秋以来、11季ぶりの優勝を狙う。ドラフト1位候補のエース・澤村は昨秋、大学生の神宮最速となる156キロを計測。その剛速球とスライダーのコンビネーションで打者を牛耳る。東洋大・高橋昭雄監督が「日本を代表するピッチャー」と絶賛したように、ライバル校からの評価も高い。それだけに、マークも厳しくなるが、果たしてそれを克服できるか。2番手の山崎雄飛(4年=芝浦工大高)は総合力で勝負する。最速148キロと球威では澤村に及ばないものの、制球も良く、球種も多彩でバランスが取れており、安定感は抜群。この2枚看板が額面どおりに力を発揮すれば、自ずと勝ち点はついてくる。
 その投手陣を援護したい打線は、秋に打率3割5分9厘で首位打者を獲得した井上晴哉(3年=崇徳高)が軸。脇を固める選手も大型捕手・鮫島哲新(4年・主将=鹿児島工高)、センス抜群の遊撃手・西銘生悟(2年=沖縄尚学高)らタレントぞろい。高橋善正監督が就任して3年目、リーグ制覇へ機は熟したと言って過言ではない。

投打に経験豊富な東洋大、V奪回なるか

「奪回」をテーマに必勝を期す東洋大は、投打に経験豊富な主力が残った。
 投手陣は“四天王”がことしも君臨。乾真大(4年=東洋大姫路高)、藤岡貴裕(3年=桐生第一高)の先発陣から、強い精神力でピンチの芽を摘む鹿沼圭佑(4年・主将=桐生第一高)、最速150キロの守護神・内山拓哉(3年=浦和学院高)につなぐパターンで逃げ切りを図る。OBで元西武の松沼雅之氏が投手陣を指導する成果を見せられるか。
 攻撃面では下級生時代から5連覇に貢献してきた3・4番コンビが集大成を見せる。3番の坂井貴文(4年=春日部共栄高)は昨秋、打率2割4分4厘ともの足りない数字に終わったものの、通算安打65、本塁打8はともに現役最多。08年春以降、4季連続でベストナインにも選ばれており、実力は折り紙付きだ。4番を務める林崎遼(4年=東洋大姫路高)は、昨夏の大学選手権・九州共立大戦で東京ドームの左中間最深部に放り込むなど、非凡なパンチ力を誇る。坂井もしのぐ通算33打点と勝負強さも持ち味だ。2010年、リーグ有数の実力と経験を引っさげ、東洋大が誇る2人のスラッガーが大学ラストイヤーに臨む。

 30季ぶりに1部昇格を果たした国士大は、2部優勝の立役者となった岩澤正登(現・JFE西日本)が卒業した穴が大きい。屋宜照悟(4年=中部商高)、三橋申雅(3年=高陽東高)、松村直弥(2年=市柏高)らが先発候補だが、3人合わせて2部リーグ戦通算2勝と実績不足は否めない。昨秋、リリーフで8試合に登板し2勝0敗・防御率0.69と安定した投球を見せた樋口裕史(4年=富士見高)にいかにつなぐかがポイントだ。
 相手投手のレベルが上がる昇格初シーズン、打線は苦戦が予想される。それだけに、少ないチャンスをいかに生かせるかが勝敗を分けるだろう。昨季3割8分1厘と打ちまくった3番・宮川翔太(3年=千葉経大付高)に走者を置いて回したい。

<了>
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