近畿王者のエース・岡本が全試合完封宣言=第82回センバツ高校野球・直前リポート

松倉雄太

チームを引っ張るエースで4番で主将

神戸国際大付のエース・岡本。力強い全試合完封宣言も飛び出した 【写真提供:高校野球ドットコム】

 昨秋の近畿チャンピン・神戸国際大付高(兵庫)。その絶対的な柱がエースで4番、主将も務める岡本健(3年)だ。秋の公式戦は11試合、83イニングあまりを投げ防御率が1.08と抜群の安定感でチームをけん引した。打撃でも打率3割4分6厘、12打点と4番としての存在感を発揮している。

 最速144キロを誇る岡本だが、秋以降はほとんど130キロ台後半だった。しかし兵庫大会では3試合連続完封などわずか1失点。特長の球持ちの良さが、対戦相手を苦しめ、得点を許さなかった。
 1年秋からエースとして注目されてきた岡本。最速の144キロは旧チームの時に計測するなど、スピードは当時から速かったが、力みから失投も多かった。そこで昨夏、その力みをなくすフォームへの修正を行った。青木尚龍監督が付きっきりとなり、ほぼ1カ月かけて新しいフォームを自分のものにした。その結果、兵庫大会ではまさに敵なし。延長15回を投げ切った翌日にも完投するなど、スタミナ面でも群を抜いていた。

 しかし、甘くなかったのが近畿大会初戦。北大津高の4番・小谷太郎(3年)に特大の一発を浴びるなど、4回に3点を失う。兵庫大会までは見られなかった展開だ。それでも5回以降を粘ると、味方が9回に執念を見せサヨナラ勝ち。
「近畿大会で今まで以上に緊張してしまったが、みんなが繋いでくれて勝てた」と岡本はチームメートに感謝しきり。この一戦がチームにとっても、エースにとっても大きなターニングポイントになり、準々決勝、準決勝と粘りのピッチングで勝ち上がると、決勝では大阪桐蔭高を4安打完封。見事5年ぶりの頂点をつかんだ。

練習試合を欠場も不安はなし

 神戸国際大付高は秋の公式戦12勝2敗。西神戸地区予選の育英高戦、神宮大会の今治西高戦と敗れた2試合はいずれもサヨナラ負けだった。しかし、岡本はその時のマウンドに立っていない。つまり、岡本が投げ切っての負けをこのチームはまだ知らないことになる。普通のチームなら「岡本が投げれば大丈夫」と大黒柱に頼る雰囲気になりがちだが、ことしの神戸国際大付高にはそういう空気はない。さらに、戦力的にも1番を打つ石岡諒太(3年)を筆頭に足の速い選手がそろった。青木監督も「岡本以外は走れる選手ばかり」と大きな期待を寄せる。
 8日に行われたことし最初の練習試合(五條高戦)では、腰に張りを感じていた岡本が出場しなかったが、13安打を放ち9対0で完勝。
「昨夏の練習試合で1対0と苦しんだチームにこれだけの試合ができた」とエースで4番抜きでの快勝に青木監督は自信を深めた。欠場した岡本も「疲れからくるもので、すぐに消えます」と話し、自身が引く組み合わせ抽選について「お客さんの多い2日目くらいがいいですね」とまったく不安がない様子。青木監督は、14日(東大阪大柏原高戦)、あるいは16日(関西国際大戦)の練習試合での登板を示唆している。

 5年前、先輩はセンバツ4強の成績を残した。今大会の目標はもちろんその上だ。
「初戦から決勝まですべて完封したい」
 エースで主将は力強く宣言した。

※学年は新学年

<了>
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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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