開星高が2年連続出場へ 3校目は広陵高が有力=センバツ出場校予想・中国地区編

松倉雄太

最速147キロの重たいストレートが武器の開星高・白根 【写真提供:高校野球ドットコム】

 3月21日開幕するセンバツ高校野球大会の出場32校が1月29日に発表される。21世紀枠を除く出場校は昨秋の各都道府県大会、10地区(北海道、東北、関東、東京、東海、北信越、近畿、中国、四国、九州)に分けられた地区大会の成績を軸に29校が選出される。ここでは、選考において特に重要視される地区大会を総括し、各地区の出場校を予想。この項では、出場枠2または3(中国・四国で5枠となっており、中国の3番手と四国の3番手で5枠目を争う)の中国大会を振り返る。

決勝進出の開星高と関西高は順当に選出へ

 決勝が2日間も順延になるなど、中国大会は雨に悩まされた。そんな中で前評判の高かった開星高(島根)と関西高(岡山)が決勝に進出。両校は順当に選ばれそうだ。

 開星高は、1998年の大会で選手登録違反が発覚し優勝取り消しになっており、今回が悲願の初優勝。センバツで慶応高(神奈川)を破った旧チームから残った糸原健斗(2年)、江本正平(2年)らが引っ張る打線は強力。県大会では5試合で55点、中国大会では1回戦(熊毛南高)、準々決勝(岡山東商高)とコールドで勝ち、その破壊力をまざまざと見せつけた。特に左打者の糸原は岡山東商高(岡山)戦で逆方向へ2発の本塁打、決勝でも先頭打者本塁打を放つなど計4本塁打と大活躍。打撃ならプロでも十分に通用するとの声も出ている。
 投手陣もことしは太い柱が育った。1年生右腕の白根尚貴だ。183センチ83キロの立派な体格から繰り出される直球は最速147キロでズシリと重い。1年生らしからぬ風格も漂い、指揮官も「ことしは白根がいるから安心して見てられる」と全幅の信頼を置く。投打が機能すれば甲子園での上位進出も夢ではない。

 準優勝の関西高も1年生投手の活躍で勝ち上がった。エース左腕の堅田裕太(1年)は準決勝までの3試合で完投。特に4安打12奪三振で完封した石見智翠館高(島根)戦のピッチングは見事だった。同じ1年生の水原浩登も決勝で先発し経験を積んだ。2枚看板が完成すれば、次のチームまでは安泰になりそうだ。打線は2番に座る主将の磯本龍志(2年)を中心に勢いに乗ればビッグイニングも望める。課題は決勝で目立った守備面になりそうだ。

大型選手がそろう広陵高は守備が課題

 四国と争う3番目の候補は準決勝で敗れた広陵高(広島)が有力。夏から主戦を務める本格派右腕の有原航平(2年)、1年生ながら4番に座る丸子達也ら大型の選手がそろった。開星高には善戦したものの、5失策と乱れた守備がこの冬の課題か。同じく準決勝で敗れた石見智翠館高は江の川から名前を変えて初の甲子園を狙ったが、関西高に完敗し苦しい状況。しかし、エースで主将の戸根千明(2年)が投打の大黒柱となって、中国大会2勝を挙げた。
 このほかでは、岡山東商高(岡山)の星野大地(2年)、崇徳高(広島)の大下佑馬(2年)、倉吉東高(鳥取)の北田純(2年)など右の好投手が目立ったが、注目された岡山理大付高(岡山)の藪田和樹(2年)が故障で投げられなかったのは残念だ。

 21世紀枠は山口1位の防府高が候補に選ばれた。県大会では昨春のセンバツで2勝を挙げた岩本輝を擁する南陽工高(山口)を破り勢いに乗った。中国大会では初戦で岡山理大付高に敗れたが、エース・岡村響介(2年)はわずか3安打ピッチングと好投した。創立132年を迎えた伝統校。昨夏の防府市集中豪雨災害では、練習を休止して災害復旧ボランティアに参加するなど、地域への貢献も復興の大きな支えとなっている。

<了>
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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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