10年前とは全然違う!? プロ野球自主トレ今昔物語=大塚光二が語る自主トレの狙いから笑撃の伝説まで

構成:スポーツナビ

9日から始まった新人合同自主トレに参加した西武・菊池。まずはキャンプに向けた体づくりが中心となる 【写真は共同】

 新しい年を迎えるとプロ野球界が一気に動き始め、選手は2月1日の春季キャンプインを前にそれぞれ『自主トレ』を行う。ある選手が厳しいトレーニングで自らを追い込めば、別の選手はリラックスして楽しそうな様子。また、南の島に向かう選手がいれば、雪が舞う北国で鍛える選手もいる。12球団、およそ800人のプロ野球選手がそれぞれの方法で行う自主トレの大切なポイントとは!? そして、伝説の『凍傷ボーイ』とは!? 西武の黄金時代を支えた野球解説者・大塚光二氏に話を聞いた。

自主トレで一番大事なことはストレスをためないこと

 自主トレというのは大きく分けて3通りあると思います。まず新人は何も分からないですから合同でキャンプに臨む体をつくっていきます。若手選手や1.5軍の選手はキャンプのスタートと同時にアピールしなくてはいけないので、そのための準備を行います。そしてベテランとレギュラーはキャンプで故障しないように体をつくります。

 ここで一番大事なのはストレスをためないことですね。体を動かさないことでストレスを感じる選手は動いた方がいいし、ケガの不安などがあって、動くことがストレスになる選手は休んだ方がいい。一番ダメなのはオフの間にストレスをためてしまうことなんです。
 昔の選手はオフになると「休みだ!」という意識があって、ゴルフをして、家族孝行して、というのが一般的な過ごし方でしたけど、今の選手はそれをやると逆にストレスがたまるんだと思います。また、近代的なトレーニング方法が入ってきて、完全に休むより「ある程度体を動かして筋肉をキープした方がいい」という考えが広がっているのも大きいでしょうね。

WBC組にとっては難しい自主トレになる

 ワールドベースボールクラシック(WBC)に出た選手たちにとって、今年の自主トレは難しいと思います。ダルビッシュ(有)のように故障ならリハビリに専念できますけど、ほかの選手は今年の自主トレをどうすべきか迷いがあると思います。

 たとえば涌井(秀章)はWBCではあまり投げませんでした。そしてシーズンでは故障もなく突っ走って沢村賞を取りました。彼にとっては早い時期に肩をつくって、3月に少し休めてシーズンに向かうという調整が合っているのかもしれません。岩隈(久志)は6月あたりで一度離脱しましたから、彼には合っていないのかもしれません。今は情報がたくさん入ってきますから、何を選ぶのかが大変だと思います。

伝説の「凍傷ボーイ」

 自主トレはみんないろいろなことに挑戦するんですが、こんなことがありました。西武にいた羽生田(忠克)さんが極真空手の自主トレに参加して、雪山に荒行に行ったら足が凍傷になってしまったんです。当然キャンプには出遅れで、付いたあだ名が「凍傷ボーイ」……。羽生田さんはケガが多かったから、何かを変えたいと思って行ったんでしょうけどね……。西武の自主トレ史に残る伝説ですよ。

 僕も4年目は失敗でした。キヨ(清原和博)と一緒に「今年は真剣にやるぞ」と。毎日ロードワークして食生活も全部管理して、飲みにも行かず、遊びもゴルフも行かずストイックにやった。
 自主トレが終わったときは「やったなー」って充実感があって、キャンプもうまくいったけど、シーズンに入ったらダメだった……。ただ、それだけ鍛えていなかったらケガをしていたかもしれないですから難しいところですけど。

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