格上の三菱電機を苦しめた山形銀行=天皇杯・皇后杯バスケ

舟山緑

攻守でひたむきに戦う姿が光った山形銀行。写真は、三菱の守りを突いてシュートに持ち込む菅野 【(C)JBA】

 山形銀行が、今年も格上のWJBL(女子日本リーグ)チームを相手にいい試合を見せてくれた。社会人1位代表として3回戦へと駒を進めた同チーム。初戦の桜花学園高(愛知)、続く三菱電機(WJBL8位)との戦いをレポートしてみたい。

高校チャンピオンをチーム一丸で突き放す

 「三菱電機とやりたかったので、勝ててよかった」。2回戦で高校チャンピオンの桜花学園高を下した山形銀行(以下、山銀)の山田かがりコーチは安堵(あんど)の表情を見せた。
 第1ピリオドは7−18。山銀も1回戦の早大と同様に、191センチの#15渡嘉敷来夢を擁する桜花学園高に押し切られるのかと思われた。だが、第2ピリオドからチームは息を吹き返し、後半は全員バスケットで67−65と辛勝した。桜花学園高は年末のウインターカップ(高校選抜優勝大会)の疲れが残る上に、ガード#6岡本彩也花が初戦で足の指を痛めて欠場、下級生ガードを投入しての苦しい対戦だった。
 実はこの両チーム、11月に山形で練習試合を戦っている。10分ゲームを7、8本だが、互角の試合が多い中、最終戦だけは山銀が4−27のボロ負けをした。「あの完敗は本当に悔しかった。だから、借りを返すチャンスだと思って臨みました」(山田コーチ)
 特別な対策はしてこなかったというが、当たりの強い守りで桜花学園高を苦しめ、超高校級プレーヤー渡嘉敷を寄りの早いディフェンスで苦しめた。#15勝倉光希や#14渡邊千尋らが守りの甘さを突いてゴール下で加点。後半は互いにミスが多いなか、#4菅野恵子の3Pやドライブイン、#11中谷歩のジャンプショットで追撃する桜花学園高を振り切った。「うちは社会人チームだが、高校生よりも高校生らしく走ろうと指示しました(笑)。ケガ人が多いので全員でしのぐしかなかった。それが何とかできたと思います」(山田コーチ)

当たりの強さに自分たちのバスケができず

 続く3回戦の相手は、WJBL8位の三菱電機。「負傷者が多いと聞いていたので、チャンスだと思っていた」という山田コーチ。初出場だった昨年は3回戦でデンソー(WJBL4位)を63−69と大いに苦しめた。それだけに今大会は、「あわよくば」という思いがチーム全員に浸透していた。
 しかし、試合は三菱の当たりの強いディフェンスの前にボール運びで苦戦し、自分たちのリズムに乗れなかった。ドライブからの合わせで加点するも、ここ1本での大事なシュートが決まらない。逆にリバウンドからの速攻を許してしまい、74−79でタイムアップ。
 「すべてにおいて、少しずつ足りなかった。1ケタの得点差はワンプレーで変わるはず。そこができなかった」と菅野。28得点をマークした渡邊も「勝てない相手ではなかったが、決めるところで決めきれない弱さが出てしまった」と、悔しさをにじませた。

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著者プロフィール

月刊バスケットボールで12年にわたりミニバスから中学、高校、大学、トップリーグ、日本代表まで幅広く取材。その後、フリーランスとなる。現在はWEBを中心にバスケットの取材・執筆を続けている。ほかに教育分野での企画・編集なども手がけている

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