風香、里村に完敗も3.28引退興行へ全力疾走宣言=風香祭

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新木場ではラストとなる「風香祭」が開催、風香(前列右から3人目)は憧れの里村超えはならなかった 【スポーツナビ】

 引退を3カ月後に控えたNo.1アイドルレスラー、風香がプロデュースする自主興行「風香祭12」が23日、東京・新木場1stRINGで開催された。

 メーンイベントで風香は、仙台女子プロレスリングの里村明衣子と対戦。ついに実現した“憧れの人”との初遭遇、そして思い出の新木場1stRINGではファイナルとなる自主興行での勝利締めを目標に風香は「絶対に勝ちます」とヤル気満々。この闘志を前に「気持ちをすごく感じた。それに応えようと全力でいきました」と女子プロレス界トップの実力者・里村も、椎間板ヘルニアから20日に7カ月ぶりの復帰を果たしたばかりとは思えない全力ファイトで真正面からぶつかり合った。

 また、第3試合では風香の父、母、兄が総出演する恒例の柿本家劇場もついに最終回。毎度のドタバタ劇の末に、闘牛・空とタッグを組んだ風香が、父&兄を撃退。だが、父と兄はまさかの……?

里村圧倒! 女子トップの底力を見せつける

復帰直後ながら里村(右)は女子トップの実力で圧倒していく 【スポーツナビ】

 試合は里村が右、左とローキックでゴング直後に先制。「まさかいきなり蹴ってくるとは思わなかったし、ノーモーションですごく重くて『うわぁっ』って思ってしまいました」とこれで風香の出鼻をくじくと、ボディ、背中へと容赦なくキックをブチ込み、関節攻めでもギリギリと締め上げ、序盤から貫禄を見せ付けていく。
 戦前に「思い切り蹴り合いたい」と宣言していた風香も反撃に転じ、ミドル、顔面への前蹴り、ソバットと連発していくが、蹴りが交錯すると、より大きなダメージを負ってうずくまるのは風香の方。里村は蹴り合い1つをとっても圧倒的だ。

 全局面で一歩も二歩も前を行かれてしまう風香だが、里村に「アレは効きました。『やるな』と思った」と言わせたコーナーからの雪崩式ブレーンバスターを決めると、逆エビ固めへとつなげ、里村の痛めている腰へ容赦ないピンポイント攻撃。さらに、投げっぱなしジャーマンから、必殺のドールFを顔面にジャストミートさせるが、これはニアロープで3カウントは入らず。
 この隙に里村はすぐさま背後に回ってのスリーパーから、さらに風香の腕も巻き込む変形スリーパーになだれ込みガッチリ捕獲。なんとか脱出へ懸命に動いた風香だったが、里村の渾身の締め上げでタップもできず失神。慌ててレフェリーが試合を止め、風香の挑戦は10分18秒、レフェリーストップでピリオドが打たれた。

完敗に茫然自失も引退戦へ向け気持ち新たに

「もっと蹴りを決めたかった」と風香(右)、だが念願の一騎打ちで大きな収穫も得た 【スポーツナビ】

 高橋奈苗の介抱でほどなく意識が戻った風香は、この完ぺきな敗戦に茫然自失。「自分を育ててもらった新木場では今日が最後の『風香祭』でしたし、相手が里村さんでも絶対に勝つつもりでいたので、今なんて言っていいのか分かりません」と、マイクを渡されてもしばらく言葉が出なかったが、それでも前を向くと「6年間、一生懸命やってきて、今日の里村さんのように越えられない壁もありましたが、みなさんの応援のおかげで全力で試合をやってこれたことを本当にうれしく思います」とあいさつ。

 さらに3月28日・後楽園ホールでの引退興行へ向けて「最後まで成長を続けていきたい」と誓うと、その前に「自分を育ててくれてもう1つの場所」である立ち技総合格闘技シュートボクシングの2月13日後楽園ホール大会で、格闘技引退試合を行うことも発表した。

 控え室でのインタビューで里村は、「見た目以上に蹴りが強くてダメージがきたし、あんなに重いとは思わなかった。関節技も1つ1つしっかりしていました。すごく面白い選手ですね」と、風香を絶賛。“アイドルレスラー”という形容から受けるイメージとは違う実力に「あと何戦かやりたいですね。日向(あずみ)にしろ、今日の風香選手にしろ、引退を前に当たってしまうと、すごく惜しくなります」と、風香の早すぎる引退を惜しんでいた。

「後楽園はゆかりのある選手みんなに出てほしい」

3.28後楽園へ全力宣言、そして2月13日にはシュートボクシングにも出陣 【スポーツナビ】

 一方、「絶対に勝ちたい気持ちだったので、負けたことは残念です」と、改めて悔しさを語った風香。だが、敗れたとはいえ「自信があった技を次々に返されてしまいました。上手かったです。でも、この場所で里村さんとやれてうれしかったですし、相手が里村さんで良かった」と、女子プロレストップの実力を肌で感じ、引退前に実現した憧れのレスラーとの一騎打ちに大きな喜びも語った。

 新木場ファイナルを終え、『風香祭』としては正真正銘のラスト興行である3月28日後楽園ホールを残すのみ。
 「新木場が終わったばかりなので、まだあまり具体的なことは考えていませんが、これまでの豪華版のような感じにしたいと思います。ゆかりのある選手みんなに出てほしいですね」
 最後の大一番は3カ月後。この日の敗戦を大きな糧に、後楽園では生涯最高の“女子プロレスラー風香”を披露する。

父、兄は続行宣言「これからはオレたちが風香祭を盛り上げる」

父(左)、長男(右)が大暴れした柿本家劇場もファイナルを迎えたはずだったが……!? 【スポーツナビ】

 また、第3試合では風香の父、母、兄が総出演する恒例の柿本家劇場もついに最終回を迎えた。

 先に空と風香が入場すると、“No.1アイドルレスラー決定戦”を勝手に空がブチあげて場内からはブーイング。さらに「待て待てーい」と待ったの声がかかり、柿本家の長男・元気、そしてダンボール紙で作ったベルトを肩にかけた父・政秀が堂々のリングインだ。
「風香、お前、奈良でオレたちに負けたままでいいのか?」(元気)
「一生懸命作ったこの『柿本ヘビー級ベルト』は誰にも渡さん!」(政秀)
と、風香&空組(挑戦者)vs.父&長男組(王座)による柿本ヘビー級王座防衛戦がスタート。「大地、首のケガはもう治ったのか?」と、なぜか父、兄ともに空を柿本家の次男・大地と勘違いしたまま、試合が展開していく。

 風香は父、兄に対しても容赦ないキックを叩き込んでいくが、長男・元気が一本背負い、ブレーンバスターを決めると、父・政秀もまさかの619、コーナーからのフライングボディーアタックと、カワイイ娘に愛のムチを連発。さらに背後から長男・元気が風香を羽交い絞めにする絶好のチャンスを演出し、ここで父・政秀はブルース・リーばりの自慢のヌンチャクさばきを披露してから攻撃に移ったが、デモンストレーションに必要以上に時間をかけすぎたために、風香に逃げられてしまい長男・元気に誤爆してしまう。
 この隙に空が口に含んだ牛乳を長男・元気に噴射し、続けざまに風香が丸め込んでカウント3。毎度のドタバタ劇の末、長女・風香が父、兄をキッチリ撃退したのだった。

 しかし、ここで元気が“牛のマスクマンは次男・大地ではない”ことにようやく気がつき、「これはマスクマン制度を使った悪質な成りすましや!」と猛抗議し、父もこれに便乗して「オレらの反則勝ちやから、王座初防衛に成功や」とまたしても強引に勝ち名乗り。
 そして長男・大地が「この父子タッグでこのベルトをさらに輝かせるために、これからも全力で戦っていきたいと思います」とプロレスラー顔負けのマイクをすると、父も「風香、この6年間よう頑張ったな」とねぎらう感動のシーンと見せかけて、「お前が引退しても、風香祭はお父さんとお兄ちゃんで盛り上げていくからな」と勝手に続行宣言。これに空も賛同し、今後は柿本家父、長男、空の3人で風香祭を盛り上げいくことを誓い合ったのだった。


■FUKA MATSURI12〜風香祭新木場FINAL〜
12月23日(祝・水)東京・新木場1stRING 観衆:385人(超満員札止め)

<風香祭2009クライマックス 30分1本勝負>
●風香
(10分18秒 変形スリーパーホールド→レフェリーストップ)
○里村明衣子

<風香祭DEハイスピード タッグマッチ30分1本勝負>
高橋奈苗、●藤本つかさ
(17分30秒 トリプルたいようちゃん☆ラ・マヒストラル)
○夏樹☆たいよう、パッションRay

<柿本家ファミリー劇場(最終回)>
○風香、闘牛・空
(6分6秒 空の牛乳→エビ固め)
柿本政秀(父)、●柿本元気(長男)

<メキシコ〜センダイ未知との遭遇 15分1本勝負>
○下田美馬
(8分52秒 タイガースープレックスホールド)
●DASH・チサコ

<シングルマッチ>
●カリビアンKIM
(8分13秒 エビ固め)
○アントーニオ本多
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