鷹の象徴を継承した“小さな巨人”今宮=鷹詞2009〜たかことば〜
小柄でもホームランは打てる
福岡ソフトバンク、そして前身の福岡ダイエーの背番号2といえば、城島健司だった。1995年入団からの11年間で1117試合に出場しMVP1度、シーズンフル出場3度、通算211本塁打を放ち、その間にチームは3度のリーグ優勝と2度の日本一を果たした。強打の捕手は間違いなく福岡のヒーローだった。しかし、2005年オフに米大リーグ・マリナーズに移籍。そしてこのオフ日本球界へ復帰したが、袖を通したのはタテジマのユニホームだった。
2人はくしくも高校の先輩と後輩。伝統を継承する今宮は「正直な気持ち、自分が『2』をつけていいのだろうかと不安になった」という。しかし、気持ちはすぐに前向きになった。
「非常に重たい番号だけど、期待にこたえたい。先輩の城島さんを打撃で越える実績を残して、今宮に2番を渡して良かったと言われるような選手になりたい」
今宮は身長171センチと小柄ながら高校通算62本塁打の実績をつくった。城島の70本には及ばないが、今宮は投手としても最速154キロをマークし多くの野球ファンを驚かせた。プロでは内野手として勝負する。
「目標とする選手は松井稼頭央さん。3割、30本塁打、30盗塁という壁を越えたい。そしてまずは2000本安打を越えて、その上をさらに目指したい。目標は常に高く持ちたい」
小さな巨人になる――筋力をつければプロの世界でもホームランは打てると自信をのぞかせた。
憧れではなくライバル
担当した福山龍太郎スカウトは「身体能力の高さ。そして順応性の高さ」を高く評価したが、それ以上に「彼の目」にほれ込んだという。人間、目を見れば分かる。球団広報担当者は「この時期は新人たちへの説明事項が多い。彼らへ話しているときに鋭い視線を感じた。それが今宮だった。彼は人の話を聞くときに絶対に目を逸らさない」とも話した。そして、筆者自身もまた惹き付けられた。
「僕はホークスが好きで、ホークスに入りたくてずっと野球を続けてきた。川崎(宗則)さんのような選手になりたいと思っていました。僕にとっては憧れの存在。でも、これからは憧れではなくライバル。川崎さんを抜くという気持ちでやっていきたい」
憧れではなくライバル。素晴らしい言葉だ。また、会見の直前にも今宮と顔を合わせたが、彼は緊張している素振りを全く見せず、大学生の選手にまで「何とかなるでしょ」と声をかけていたのに驚いた。何気ないひとつひとつの言動から、大物独特の匂いが感じ取れる。楽しみな新人が入ってきた。
菊池がいたから今の自分がある
同じパ・リーグに入団したことについては「彼とは縁があると感じている」という。
「高校では負けた。プロでは絶対に勝つ」
プロ球界の新たな伝説を生むような活躍を互いに期待したい。
<了>
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