田臥勇太の復帰は間近!=JBL2年目、リンク栃木の躍進

小永吉陽子

現在JBLで得点平均21.14と唯一20点台を越え、得点王を独走している川村卓也 【加藤よしお】

 JBL(日本バスケットボールリーグ)は11月29日の試合終了後、東アジア競技大会(香港)のため3週間の休養に入る。11月23日現在、1巡と1週目が終了したが、ここまで1位のアイシンから6位の日立までがプレーオフ圏内のベスト4を争っている状態だ。そんな中で、JBL在籍2年目、10勝6敗で3位につけているリンク栃木の躍進が目覚ましい。今回は「リンク栃木2年目の躍進」について検証してみたい。

インサイドの外国人選手と層の厚い日本人選手が機能

 昨年はトヨタ自動車とプレーオフ進出をかけて最後まで争った末、惜しくも届かなかったリンク栃木だが、今季は勝負所で踏ん張ることを覚え、チーム間に信頼が芽生えてきている。その結果が、連敗を一度もしない戦いにつながっている。
 リンク栃木は昨シーズン、司令塔の田臥勇太が繰り出すスピーディーな展開とエース川村卓也が得点王となる働きぶりで、JBL1年目ながら独特なアップテンポなバスケットボールを披露した。田臥自身、6年ぶりとなるJBL復帰に「日本のバスケットに慣れるのに予想外に時間がかかった」というが、リーグ終盤になるにつれて、アップテンポな田臥カラーはリンク栃木に定着していった。

 今年はそのチームの顔である田臥がかかとを痛めて現在まで欠場していながらも、好調なスタートを切っている。新外国人選手のレジー・オコーサやスコット・メリットがインサイドで機能していることも一因であるが、何より日本人選手の層が厚くなった印象だ。

川村は今季も好調。得点王へ快走中

 ヘッドコーチのトーマス・ウィスマンは「オン・ザ・コート1は世界的に見ても特異なルール。だけどこのルールでいくならば、日本人選手を育てなくてはならない」とシーズン前に語っていた。この言葉を象徴するように、スタメンだった田臥に代わって司令塔を務める安齋竜三は安定したゲームメイクでチームを束ね、センターの伊藤俊亮は体を張り、スタメンに定着した田中健、1、2番を兼任する山田謙治、オールマイティーな竹田謙らはここ一番でシュート力を発揮。また大学までは無名ながらも、全身全霊をこめたプレースタイルで与えられた時間に仕事をこなし、チャンスをつかんだ片岡大晴のような存在もいる。

 そして、忘れてはならないのが昨季の得点王・川村。「いくら動いてもまったく疲れない」という23歳のエースは、現在得点1位。リーグでただ一人、20点台に乗せた平均21・14点を叩き出している。また今季はシュートセレクションが良くなり、周りがよく見えているためかアシスト数も増えている。11月22日のトヨタ戦では8アシスト。川村の走りからアシストを受けた大宮宏正がダンクとアリウープのスカイプレーを披露し、観客を大いに沸かせていた。これまで、日本人同士のスカイプレーはJBLではあまり見たことがない。運動神経ある選手と仕事人が共存し、それぞれの持ち場で力を発揮しているのが今年のリンク栃木だ。

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著者プロフィール

スポーツライター。『月刊バスケットボール』『HOOP』編集部を経て、2002年よりフリーランスの記者となる。日本代表・トップリーグ・高校生・中学生などオールジャンルにわたってバスケットボールの現場を駆け回り、取材、執筆、本作りまでを手掛ける。

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