バーナード組がチーム3Dから王座奪回へ=新日本プロレスバーナード組がチーム3Dから王座奪回へ=新日本プロレス

高木裕美

バーナード(左)、アンダーソン組がV! チーム3Dから王座奪回を宣言した 【t.SAKUMA】

 新日本プロレス「G1 TAG LEAGUE」シリーズ最終戦となる1日の東京・後楽園ホール大会では満員となる1900人を動員。10.17埼玉・アスカル幸手大会を皮切りに、約2週間にわたって各地で熱戦が繰り広げられてきた「G1 TAG LEAGUE」優勝決定戦では、無傷の4連勝でBブロックを1位通過したジャイアント・バーナード、カール・アンダーソン組が、現IWGPジュニアタッグ王者のアポロ55をマジックキラーで倒して優勝。11.8両国国技館大会へ緊急参戦が決まった現IWGPタッグ王者のチーム3Dに対し「オレたちがホームリングで取り返す。ニュージャパン、イチバン!」と王座奪回を宣言した。

 バーナード&アンダーソンのバッド・インテンションズは公式戦を全勝で駆け抜けると、この日の準決勝戦では中西学&大森隆男のワイルド・チャイルドと対戦。バーナード組にパワーでも体格でも決して劣らないワイチャイは、中西がバーナードをアルゼンチン式背骨折りで担ぎ上げ、大森がアックスボンバーを狙うも、中西に誤爆したスキに合体技のマジックキラーで料理した。

 決勝戦ではIWGPヘビー級王者・中邑真輔&矢野通組とのチャンピオン対決を丸め込みで制し、ジュニアヘビー級とはいえタッグ王者の意地を見せ付けたアポロ55と対戦。両チームはBブロック公式戦となる23日の新潟大会で対戦しており、11分20秒、バーナードが田口にマジックキラーで勝利しているが、今回はその試合タイムを約5分上回った分、さらに内容の濃い戦いを繰り広げ、客席を熱狂のるつぼとした。
 体格ではかなわないアポロ55はスピードとトリッキーな動きでバーナードたちをかく乱。何が飛び出すか分からない連係攻撃であわやという場面を何度も作り出すも、バーナードとアンダーソンは抜群のチームワークで互いを助け合い、マジックキラーで完勝。「無傷のナンバーワン」という称号をタテに、1.4東京ドーム大会以来、実に1年近くに渡ってTNAに流出したままのIWGPタッグ王座の奪回を誓った。

 さらにバーナードは30年来の友人であるジェイソン・ハーウェイツ氏の脚本&プロデュースにより、来年に主演映画「マザコング」が撮影されることも決定。「マザコング」とは、その名の通り、マザコンとコングが合体したもので、世界一のマザコンが母親の元を離れ、日本の旧家のお嬢様を振り向かせようとするロマンティック・コメディだ。
 映画には新日本プロレスも全面協力する他、元横綱の曙もバーナードの友人役として登場。他のキャスティングについては現在調整中だという。
 G1タッグリーグ戦初制覇と共に二重の喜びとなったバーナードは「ブラッド・ピットやジョージ・クルーニーに間違えられたらどうしよう」と、早くも余計な心配をしながら、勝利の美酒をくみかわした。

両国決戦へ向け選手たちが火花

11.8両国でのIWGP戦を前に棚橋(右)が舌戦を仕掛けるが、王者・中邑はまるで相手にせず 【t.SAKUMA】

 11.8両国国技館大会でIWGPヘビー級王座をかけて戦う王者・中邑真輔と挑戦者の棚橋弘至がリング上で舌戦を展開。前日の三重・四日市大会で最後の前哨戦を終え、この日は試合での直接対決はなかったものの、セミファイナルで勝利した棚橋がマイクを握り、うっとうしいほどに中邑の名前を連呼。この声に中邑が応じ、ベルトを肩にかけて現れた。
 中邑の過去の発言を受け、「オマエのベルトは輝いているか」と問いただす棚橋に対し、中邑は「オマエの挑戦なんかに構ってられないんだ」と余裕の笑みで一蹴。視察に訪れていたIGF勢にベルトを見せ付けるかのようにしながら、棚橋を上から見下ろした。

 両国で一騎打ちを行う後藤洋央紀と田中将斗はセミファイナルの6人タッグ戦で対戦。互いに先発を買って出ると、いきなりのタックル合戦から後藤が不意打ちの頭突きでダウンさせると、田中もイスをリングに向かって投げつけ、臨戦態勢であることをアピールした。
 チームが勝利を飾った後藤は、試合終了直後に田中を急襲し、牛殺しでデモンストレーションを敢行。8月のG1のリベンジを誓った。
 また、真壁刀義と飯塚高史はタッグマッチで対戦。シリーズ中も再三に渡り真壁の試合に乱入を繰り返してきた飯塚は、この日もアイアンフィンガーフロムヘルやイスといった凶器攻撃を連発。レフェリーの制止を無視してまで真壁にチェーン攻撃を続け、反則による不明りょう決着に終わった。
 飯塚の“なんちゃってデスマッチ”に怒り心頭の真壁は「反則しか脳がねぇのか。まだアイツとは始まってすらいねぇよ」と飯塚の中途半端な戦いぶりを徹底批判。「両国ではぶっつぶしてやるよ」と、完膚なきまでにたたきのめしての完全決着を予告した。

「招かれざる客」が多数来場

ジョシュ(右)ら猪木ゲノム勢が「ただの観戦」に訪れたが…… 【t.SAKUMA】

 なお、この日は2日後の11月3日にJCBホールで興行を行うIGFプロレスリングのサイモン猪木氏、ジョシュ・バーネット、モンターニャ・シウバが来場。南側リングサイド2列目で試合を観戦した。
 かつては新日本の社長を務めていたサイモン氏だが、義父のアントニオ猪木が立ち上げたIGFに移籍して以後は絶縁状態にあり、観客も「サイモン何しに来た」「よく顔を出せたな」という厳しい声を飛ばした。
 結局、IGF勢は最後まで特にアクションは起こさず。選手たちと同席していたスタッフは「当日券で観にきただけ。お客さんは『やれ』とか言うけど、先にウチに仕掛けてきたのはそちらですから」と、今回はあくまで単なる試合観戦であり、それ以上の思惑はないことを強調した。

 また、先日から再三に渡り棚橋に“ラブコール”を送り続けているTAJIRIも休憩明けのリングに登場。自分のメッセージを無視し続ける棚橋を「臆病者の棚橋弘至君」とコケにしまくるが、棚橋は姿を現さず。代わりに岡田かずちかがリングに上がり、「オマエの相手はこのオレで十分。オマエは新日本のリングにふさわしくない」と対戦相手に名乗りを上げた。
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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