“5度目の正直”狙うソフトバンクのキーマンとは!?
主将・小久保が語る「今度こそ」の思い
東北楽天のエース・岩隈と抜群の相性を誇る明石。持ち前の強心臓でチームを勝利に導けるか 【写真は共同】
“決戦”を直前に控え、福岡ソフトバンクの主将・小久保裕紀が16日から始まるクライマックスシリーズ(CS)に向けた思いを口にした。2004年のプレーオフ導入以来、現在のCSに至るまで、福岡ソフトバンクには悔し涙の記憶しか残っていない。導入初年度(当時は福岡ダイエー)と翌年はレギュラーシーズンを1位で通過しながらいずれも敗退。どちらも最終戦までもつれ込む大熱戦だったが、当時は「2位に5ゲーム差以上」つけた場合のみアドバンテージが与えられるというルール。04年、05年ともに「4.5差」でのシーズン首位だった。06年は3位に終わりながらも第2ステージへ進出。しかし、北海道日本ハムの前に敗れた。斉藤和巳が泣き崩れたシーンはいまだにファンに語り継がれている。07年は第1ステージで敗退。そして今季、2年ぶり5度目(プレーオフ時代含む)のCSを戦う。
主砲と中継ぎエースが不在のCS
交流戦から7月上旬にかけての福岡ソフトバンクは本当に強かった。特に7月12日の東北楽天戦(ヤフードーム)の印象が強い。岩隈久志に対して松中信彦、多村仁志、そして田上秀則と1イニングで3本塁打を浴びせると、続く回には小久保も一発。計4本塁打の猛攻で、8対0と快勝した。小久保は「今のメンバーが誰ひとり欠けることなく戦えれば、間違いなくトップでゴールできる」と胸を張った。
しかし、それから1週間もすると歯車が狂い始めた。7月18日に松田宣浩が今季2度目の骨折で戦列を離れると、球宴前にはオーティズが本塁突入時に脇腹を痛めて登録抹消。8月には松中が右ひざ半月板を損傷する重傷を負っていることが発覚。今季躍進の原動力となっていた「勝利の方程式」の一角を担ったファルケンボーグも右ひじ痛を訴えた。松中とファルケンボーグはCSも出場が絶望だ。厳しい状況の中、福岡ソフトバンクは「日本シリーズ進出権」を勝ち取りにいかなければならない。
短期決戦の“ラッキーボーイ”は対岩隈10割
しかし、東北楽天はレギュラーシーズンで11勝13敗と負け越した相手。小久保の言うように相当気を引き締めて臨まなければならない。このカードで特に期待したい選手を挙げるとすれば多村仁志だ。対戦打率4割5厘、3本塁打、11打点。さらに初戦の先発が予想される岩隈に対して6打数3安打、1本塁打。福岡ソフトバンクが5敗を喫した永井怜に対しても9打数4安打とよく打っている。また、永井に対しては小久保も4割5分、2本塁打と好相性だ。
さらに“ラッキーボーイ”候補を挙げるならば明石健志だ。俊足と巧打が武器の6年目。本職は内野だが外野もこなし、今季は自己最多の48試合に出場、打率2割9分1厘をマークした。何より頼もしいデータが、対岩隈が5打数5安打。そのうち2本が三塁打だ。「ほかの人が打てない選手から打てば大きなアピールになる。チームが苦手としている投手の研究はいつも以上にやっているし、考え方も工夫しています」と話す。
「プレッシャーはないですよ。今まで緊張で足が震えたことなんてない。いい緊張感の中、いつも通りのプレーをしますよ」
CSは初体験ながら、23歳らしからぬ大胆なハートの持ち主。この頼もしい若鷹のプレーにも注目したい。
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