「決定力不足」と無縁の米子北=高円宮杯 千葉U−18 1−2 米子北

平野貴也

大会得点ランキングトップの山本は抜群の決定力を誇る 【平野貴也】

 高円宮杯第20回全日本ユース(U−18)サッカー選手権大会の決勝トーナメント1回戦、初出場の米子北高校がジェフユナイテッド市原・千葉U−18を2−1で下し、8強入りを果たした。
 米子北のスタイルは、徹底した堅守速攻だ。守備では、2枚の屈強なセンターバックを中心にブロックを築き、ひたすら相手の攻撃を跳ね返す。ボールを奪ったら素早く前線に預け、長身の谷尾昂也と小柄でスピードのある山本大稀の強力2トップは中盤のフォローを待たずに相手ゴールへ襲い掛かる。この日も千葉にパスを回される展開が多かったが、城市徳之監督は「アウトゾーンで回される分には問題ない。真ん中に入ってくるところを奪う準備をしていた」と意に介さなかった。

 千葉としては、ポゼッション効果を最大限に生かして相手のスタミナを奪う「なぶり殺し」とでも言うべき持久戦を狙っていたのだが、ボールを持てるだけにゴールを狙う欲求が高まり、中央を突いたところでカウンターを食らった。14分、米子北は自陣ゴール前で相手の攻撃を食い止めると、左サイドを短く経由して最前線へパス。山本がディフェンスラインの裏へ抜け出し、鮮やかなカウンターで先制点をもぎ取った。

 千葉は41分に2トップが縦の関係になり、米子北のセンターバックの手前にあたるバイタルエリアを攻略し、最後は左MF岡庭和輝が詰めて同点とした。
 その後、互角の試合だったが、60分に山本が相手を背にしながらの反転から左足ボレーを振り抜いて勝ち越し点をマークした。守備側が虚を突かれるのも無理はなく、千葉の大木誠監督も「決めた子を誉めるべきでしょう」とたたえた見事なゴールだった。

3割に近い、驚異の決定力

 米子北は準優勝した高校総体でも多くのシュートを浴びながらカウンターを決めて勝ち上がった。後半に強いのは、スタミナに自信があるからだろう。高校総体前には、1日で100メートル走を200本という地獄のような練習を積んだ。ほかの日でも大会直前の期間でなければ150メートルを20本などはざらだという。

 ただ、それにしても決定力の高さには目を見張るものがある。グループリーグの静岡学園高校戦はシュート6本で3得点、FC東京U−18戦はシュート3本で得点なし、浦和レッズユース戦はシュート10本で3得点。この日の千葉戦がシュート8本で2得点。通算27本で8得点。決定率29.6%と効率の良い確率だ。その秘訣(ひけつ)は、トレーニング方法にあるようだ。
 城市監督は「ゴールを使った練習を多く行っているので、シュートの意識は付いてきているかなと思います。うちは対人練習の2対2でも、ラインゴール(ライン上をコーンなどで区切った仮想ゴール)じゃなくてゴールを置いてGKを付けています。時間をかけると相手が良いポジションを取ってしまうので、その前にクロス、その前にシュートというのを意識させています。だから、うちは2トップの『オフ(・ザ・ボール)』の動きが本当の醍醐味(だいごみ)」と明かしてくれた。山本の2点目も相手DFを出し抜く術(すべ)が生かされたシーンだった。

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著者プロフィール

1979年生まれ。東京都出身。専修大学卒業後、スポーツ総合サイト「スポーツナビ」の編集記者を経て2008年からフリーライターとなる。主に育成年代のサッカーを取材。2009年からJリーグの大宮アルディージャでオフィシャルライターを務めている。

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