法大の連覇か? 斎藤佑樹を擁する早大が巻き返すか?=東京六大学秋季リーグ戦展望

矢島彩

4人の150キロ右腕がそろう春優勝の法大

春季リーグ戦を制し、大学選手権で日本一に輝いた法大が連覇を狙う(写真は大学選手権) 【島尻譲】

 東京六大学野球の秋季リーグ戦が12日に開幕する。
 まず注目を集めるのは、春季リーグ戦を制し、6月の全日本大学野球選手権大会で日本一に輝いた法大だ。14年ぶりの日本一は、150キロ右腕・二神(ふたがみ)一人投手(4年=高知高)とチーム打率3割の強力打線がかみ合った結果だった。二神は大学選手権の後、日米大学野球などの代表に選出され続けた。その間に加賀美希昇投手(3年=桐蔭学園高)と武内久士投手(4年=徳島城東高)が戦列へ復帰。150キロ台をマークする投手が三嶋一輝投手(1年=福岡工高)を含め4人そろい、二神をフォローできる投手陣が整ってきた。
 打撃陣では春の首位打者(打率4割4分7厘)・松本雅俊(4年=関西高)と、2位(打率4割2分9厘)の亀谷信吾外野手(4年=中京大中京高)がいるが、「リーグ戦で打率1、2位の松本と自分が大学選手権ではさっぱり打てなかった。秋も春のように打てるとは限らない」(亀谷)と、冷静に現状を見つめている。
 1年生ながら3番に座り、全日本大学野球選手権で首位打者賞を獲得した多木裕史内野手(1年=坂出高)には厳しいマークが予想されるが、土井翔平外野手(1年=智弁学園高)ら新戦力が台頭すると面白くなるだろう。

試行錯誤の明大、Bクラスからの復活を目指す慶大

 そんな法大の攻撃型のチームづくりに触発されたライバルがいる。明大慶大だ。
 3位だった明大のチーム打率はリーグ4位の2割2分8厘。エース・野村祐輔投手(2年=広陵高)、難波剛太投手(2年=春日部共栄高)らの投手陣を、打線がもっと援護する必要がある。チームは内・外野でレギュラー争いが激化。荒木郁也内野手(3年=日大三高)を外野から内野へ戻し、二遊間をさまざまなパターンで組ませている状況だ。

 7季ぶりにBクラスへ転落した慶大は、今シーズン限りで勇退が決まっている相場勤監督が「攻撃力が必要。守備は多少目をつぶるので、打撃のいい選手を使っていきたい」と意気込んでいる。
 6月からオープン戦を組み、実戦を増やして競争力を高めてきた。夏のキャンプメンバーも総当り形式の4チームによる紅白戦で選出。春季リーグ戦打率5位の漆畑哲也主将(4年=慶応高)は「春は経験者が多いということで過信していた部分もあったかもしれない。同じことは繰り返しません」と、前を見る。通算14勝のエース左腕・中林伸陽投手(4年=慶応高)の復調にも期待したい。

エース・斎藤佑樹を中心に王座奪還を目指す早大

 2季ぶりの王座奪還を目指す早大、投手陣の層の厚さは法大に匹敵する。不動のエース・斎藤佑樹投手(3年=早稲田実高)、福井優也投手(3年=済美高)、大石達也投手(3年=福岡大大濠高)の3年生トリオが健在。春はややつながりを欠いた打線では、土生翔平外野手(2年=広陵高)が一皮むけた。山田敏貴外野手(3年=早稲田実高)、小島宏輝外野手(4年=愛工大名電高)の前に走者を置きたいところ。

 立大は春季リーグ戦で総失点と自責点の差が15点もあった。5月9日の明大戦ではなんと7失策。守備力の向上が勝敗を分ける。185センチ右腕・戸村健次投手(4年=立教新座高)は粘りの投球を見せられるか。五十嵐大典外野手(4年=新潟明訓高)、全日本メンバーの田中宗一郎外野手(3年=佐賀西高)の長打力にも注目。
 東大は春にケガで苦しんだエース左腕・鈴木優一投手(4年=西尾高)がオープン戦で1試合も登板せず。前田善博投手(3年=栄光学園高)らがどこまで試合をつくれるか。攻撃のキーマンは内海翔太外野手(2年=土浦一高)。足があるので、塁に出てプレッシャーをかけていきたい。

<了>
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著者プロフィール

 1984年、神奈川県出身。『アマチュア野球』、『輝け甲子園の星』『カレッジベースヒーローズ』(以上、日刊スポーツ出版社)や『ホームラン』(廣済堂出版)などで雑誌編集や取材に携わる。また、日刊スポーツコム内でアマチュア野球のブログを配信中

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