神宮を盛り上げる東浜ら逸材たち=東都大学野球・開幕週リポート

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亜大の“怪物ルーキー”東浜はコンディションが万全でないながらも完投勝利を挙げた 【写真は共同】

 東都大学野球の秋季リーグ戦が5日、神宮球場で開幕した。通常は平日に2カードが行われるリーグ戦だが、開幕週となる今週は土日に3カードの開催。1部所属6チーム(東洋大、青学大、亜大、中大、国学大、立正大)が勢ぞろいする見ごたえ十分の週末となった。その中から、特に光ったチーム、選手をピックアップした。

王者・東洋大は6連覇へ明るい材料

 戦後初の6連覇に向け、東洋大は明るい材料が出てきた。国学大との初戦、延長をものにして先勝すると、2回戦にも快勝し連勝で勝ち点を獲得。その中で抜群の活躍を見せたのが2年生左腕の藤岡貴裕(桐生第一高)だ。
 2回戦の先発マウンドに上った藤岡は初回、いきなりの3者連続三振で波に乗ると、その後も勢いは衰えず毎回の15奪三振と圧巻の投球。1失点でリーグ戦初の完投勝利をマークした。「今まではスライダーを当てられていたので、速いスライダーを投げようと乾(真大・3年・東洋大姫路高)さんの握り方をまねしたら、腕が振れて空振りが取れるようになりました」と藤岡は快投の秘密を明かす。そして、「春は乾さん、鹿沼(圭佑・3年・桐生第一高)さんに頼っていたので、秋は自分が中心になって6連覇に貢献したい」と頼もしい言葉を残した。
 この藤岡の成長には、高橋昭雄監督も「体力がついてきた」と目を細める。
「プレッシャーはあるけど、(5連覇しているんだから)こっちは負けても恥じることはない。かえって相手のほうが『これ以上負けられない』という力みがあると思う。もちろん、(優勝を)狙っていきますよ」
 たくましさを増した教え子の姿に勇気付けられたかのように、指揮官は新たな闘志を燃やした。

適応力を発揮した怪物ルーキー東浜

 5日の立正大戦の9回。3点のリードがありながら2点を返され、なおも1死二塁と苦しい場面、亜大のマウンドには“怪物ルーキー”東浜巨(1年・沖縄尚学高)がいた。最後の打者・椎名亮介(3年・銚子商高)をこん身のツーシームで三振に切って取り、なんとか逃げ切ったが、まさに薄氷を踏む勝利だった。
「完投を意識したわけではないんですけど、丁寧に行き過ぎました」
 東浜はそう反省したが、状態は万全ではなかった。8月前半から中旬にかけてインフルエンザに感染。39度の熱を出し、体重も一時は3キロ減った。この日、最後に崩れたのは、インフルエンザの影響による投げ込み不足でスタミナが切れたためだったというわけだ。
 それでも8回までは146キロの直球と90キロを割るスローカーブで6安打2四球1失点。持ち前の緩急を生かした投球で勝利を引き寄せた。「悪いなりに投げてくれますから」と生田勉監督も信頼を寄せる適応力を存分に発揮した開幕戦だった。 
「チームがひとつになって優勝に向かっているので、何点取られても勝てるピッチングをしたい」
 たとえコンディションが悪くても、必ず仕事を果たす。勝ちにこだわる東浜の視界には、優勝しか入っていない。

中大・澤村は大学最速の156キロを計測

 5日の青学大戦に先発した中大・澤村拓一(3年・佐野日大高)の右腕がうなった。初回に先頭打者の長島一成(4年・修徳高)に三塁打を打たれてピンチを招く。ここで「連打を浴びると、今日の澤村は打てると思わせてしまう」とエンジンをフル回転させ、続く篠塚宜政(2年・桐蔭学園高)の初球に大学生の神宮最速となる155キロを記録した。篠塚に投じた6球すべての速球が150キロを超え、最後は154キロの速球で空振り三振。さらに木野学(2年・PL学園高)の初球に早くも自身の最速記録を更新する156キロの速球でサードファウルフライに打ち取ると、小池翔大(3年・常総学院高)には155キロの速球でファーストフライと力でねじ伏せた。
 しかし、初回こそ無失点に抑えた澤村だったが、その後はバッテリーエラーもあり、3失点で敗戦投手に。156キロのスピード表示は試合に集中していたので見ていないといい、「スピードがあるに越したことがないけど負けたら意味がない。本当に勝ちたい」と悔しさをあらわにした。ただ、大学生最速右腕の秋は開幕したばかり。10季ぶり25回目のリーグ優勝を目指し、巻き返しをはかる。

<了>
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