好調ソフトバンクを支える「オールスター初出場組」=鷹詞2009〜たかことば〜
オールスター戦に初選出されたソフトバンクの(前列左から)摂津、長谷川 【写真は共同】
パ・リーグ最強の必勝リレー
強気な投球が魅力だ。7月20日の東北楽天戦(ヤフードーム)は、それを象徴する投球だった。8回から登板し、対する1人目の打者はこの日2本塁打の山崎武司。それでも攝津は真っ向勝負を挑んだ。直球2つで追い込むと3球目もストレート。好調の4番打者に1度もバットを振らすことなく三振を奪うと、首位打者争いを演じる草野大輔と怪力セギノールに対しても直球勝負。3者連続見逃し三振の圧巻投球だった。これだけの投手がドラフト5巡目入団というから驚きだが、春季キャンプ中にはすでに大活躍を予感していた選手がいる。川崎だった。
「最初にフリー打撃で対戦したときは普通の投手だなと思っていたんです。だけど、コントロールはいいし、何よりクイックで投げることができるのが強み。クイックで投げられると打者は間が取れない。フリー打撃のときは『打たせる投球』をわざとやっていたんでしょうね」
攝津は初めての球宴に「普段できないような勝負をしたい」と意気込んでいる。また、福岡ソフトバンクの「勝利の方程式」からはもう一人のセットアッパーであるファルケンボーグも監督推薦で出場する。150キロ台を連発する直球と2メートルの長身から投げ下ろすフォークとカーブはどれも一級品だ。
史上3人目の「偉業」を狙う
6月11日の東京ヤクルト戦(ヤフードーム)で10号本塁打を放った。自身初のシーズン2ケタ本塁打達成は、チームにとっても捕手としては城島以来の記録だった。球宴2戦目が行われるマツダスタジアムでは6月6日の広島戦で本塁打を放った。この一撃は左翼スタンドの上を越える、マツダスタジアム第1号の場外本塁打となった。夢の舞台で“驚弾”を再び。そして、過去に2人(山本和範=近鉄、96年第1戦/山崎武司=東北楽天、08年第1戦)しかいない戦力外経験者のMVP獲得も狙う。
初々しい3年目の安打製造機
今春のキャンプは2軍に相当するB組スタートだった。小指を手術したが真っすぐには戻らず、少し曲がったままになってしまったからだ。「小指は曲がったままですが、心は真っすぐに頑張ります」と威勢のいい言葉を吐いてはみたが「バットを握っても小指に力が入らない。左手は握っている感じがしない」と悩んだ。しかし、腐らなかった。「それならば、下半身をどううまく使うかを考えました」と懸命にバットを振り込んだ。すると打球は、以前よりも飛ぶようになった。打撃練習では松中信彦にも負けない大きな打球を打つこともある。「でも、僕はホームラン打者ではない」と狙うのは常にライナー性の打球。引きつけて打つことを意識し、今季の途中からは自然とバットを短く持つようになった。
球宴には選手間投票で選出された。「僕はめちゃくちゃホームランを打つわけでもないし、足が特別速いわけでもない。一生懸命のつなぎや粘りの姿勢を認めてもらえたのかもしれない」とうれしそうに笑った。初の夢舞台は「シーズンよりも緊張するかも」と初々しさを見せる一方で「いい投手との真剣勝負を楽しんで、チャンスがあればホームランを狙っていきます」と虎視眈眈(こしたんたん)とアピールの場をうかがっている。
<了>
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