MIKUが地元凱旋試合で王座防衛=DEEP

長谷川亮

MIKU(左)が地元凱旋で見事に防衛。試合後には藤井恵が祝福した 【チナスキー】

 DEEPとしては県内初となるビッグマッチ「DEEP TOYAMA IMPACT」が28日、富山・テクノホールで1318人の観衆を集め行われた。(※これまでは小規模大会「club DEEP富山〜野蛮人祭」を7回開催してきた)

 メーンイベンターを務めるのは地元出身、富山のジムであるクラブバーバリアンが生んだDEEP女子ライト級チャンピオンMIKU。06年9月に対戦し完敗を喫した2冠王者(FC女子ライト級&FFFフライ級チャンピオン)リサ・ワードを相手に迎え、自身2度目となるタイトル防衛戦に挑んだ。

 前回、投げからのアームロックで敗れているMIKUは、成長著しい打撃で勝負するかと思われたが、1Rから寝技勝負でリサと渡り合う。テークダウンを喫し下の体勢となったMIKUだが、腕十字や三角絞めでとらえリサを一向に逃がさない。リサは1Rのほとんどを極めに対するディフェンスに終われ、終盤には息遣いを荒くする。
 序盤のうちに極め寸前まで行けたことから自信を持ったというMIKUは、2Rもスイープでポジションを返してからフロントチョークでタップを迫り、その合い間にも踏みつけやグラウンドでボディへのヒザ蹴りを見舞い、リサの戦意と体力を奪っていく。
 3R開始となるとリサのトーンダウンは明らかで、最後は馬乗りの体勢となったMIKUが上から腕十字を極め一本勝ち。終始グラウンドで圧倒した上で地元凱旋とリベンジ、そして王座防衛を成し遂げた。

 試合後は対戦の噂される藤井恵がリングへ上がり、「今日は日本人が強いというところを見せてくれたと思います。これから女子格闘技もどんどん盛り上げていきたいのでよろしくお願いします。おめでとう!」とMIKUを祝福。今後は48キロ級のMIKUが藤井の52キロ級に階級を移し、最強対決の実現を目指していく。

MIKUの試合後コメント

MIKU(上)は馬乗りの体勢から腕十字を極めて一本 【チナスキー】

 今回は富山だったり大変なこと(※試合前、交通事故に遭い2週間練習ができなかった)があって重かったので、すごくうれしいです。防衛戦でも挑戦する感じで臨みました。
 3年前はボロボロにやられた印象しか残ってないけど、今回はパワーも圧力も感じなかった。あの時より強くなったのかなって自分の成長を感じることできました。
 極めることはできなかったけど、早い段階でそこまで行くことができたので“しっかりやれば取れる”という確信がありました。
(事故に遭って練習ができず)不安はあったけど、やるしかないと吹っ切って、治すのに専念してやっていました。
 勝たないと藤井さんとの試合に進めなかったけど、これで現実のものにできたんじゃないかと思います。

“DEEPvs.パンクラス”はBarbaro44が勝利

Barbaro44(左)がパンクラスの伊藤を撃破 【チナスキー】

 セミファイルにはMIKUと同じクラブバーバリアン所属のBarbaro44が登場。パンクラスismのベテラン伊藤崇文を迎え撃った。

 打撃戦の予想も上がった両者だが、伊藤がタックルで果敢に切り込み、試合は主にグラウンド戦で展開する。タックルを切ってBarbaroが背後に回り、かと思えば伊藤がBarbaroを下にしてパウンドを振るいと、両者は目まぐるしく上下・優劣を入れ替え、運動量の多い攻防を展開する。
 ややBarbaro優勢で迎えた2R、伊藤のタックルを受け止めたBarbaroは素早く変化し、DEEPの3R戦では解禁となっているサッカーボールキックをヒット。そこからパウンドをまとめ打ちしていく。ダメージを受けた伊藤はなおもタックルで組みつかんとするが、Barbaroは再び受け止めサッカーボールキックからパウンドという同じパターンで迎撃。この攻撃で防戦一方、動きの止まってしまった伊藤を見てレフェリーは試合をストップ。BarbaroがTKOにより勝ち名乗りを受けた。

 試合後のBarbaroは「入場前のVTRがDEEPvs.パンクラスみたいになっていたし、地元では負けたことがないから負けられない気持ちがありました」と話し安どの表情。これで富山での戦績を8戦6勝2分とし、地元での無敗記録をさらに更新した。

 その他、大会ではアライケンジ、誠悟、五十里祐一といった富山出身の選手たちが揃って快勝。故郷に錦を飾る活躍で、応援に駆けつけた家族や友人たちの歓声を集めた。

ミノワマンがSPゲストとして登場

SPゲストとしてミノワマンが登場 【チナスキー】

 また、スペシャルゲストとして来場したミノワマンが第4試合後リングに上がってファンに挨拶。
「13年前、富山健康科学専門学校にいまして2年間住んでいたので富山には思い出があります。そこでプロを目指してトレーニングをしていました。当時はこんな格闘技のイベントも道場も富山にはなかったので、うらやましいです。格闘技をやろうか悩んでいる人はやってみてはどうですか? やってから考えましょう。これからも選手たちが命を懸けて戦いますので、いいものを持ち帰れるよう応援してあげてください」

 たびたびつっかえ、たどたどしい様子で挨拶したミノワマンだったが、それが逆に“らしさ”を生み、観客の喝さいを浴びていた。

 その他、大会の全試合結果は以下の通り。

■DEEP TOYAMA IMPACT
6月28日(日)富山・テクノホール 観衆1318人

【第2部】

<メーンイベント DEEP女子ライト級タイトルマッチ 5分3R>
○MIKU(クラブバーバリアン)
(3R2分53秒 腕十字)
●リサ・ワード(ユナイテッド・ファイトチーム)
※MIKUが2度目の防衛に成功

<第7試合 70.3キロ以下契約 5分3R>
○Barbaro44(クラブバーバリアン)
(2R4分07秒 TKO)
●伊藤崇文(パンクラスism)

<第6試合 65.8キロ以下契約 5分2R>
○アライケンジ(パンクラスism)
(2R1分13秒 チョークスリーパー)
●渡辺匡宏(U−FILE CAMP岐阜)

<第5試合 無差別契約 5分2R>
○誠悟(フリー)
(1R1分04秒 ネックロック)
●徳蔵(東亜常真会)

<第4試合 70.3キロ以下契約>
○五十里祐一(P’sLAB東京)
(2R判定3−0)
●青木隆明(禅道会)

<第3試合 58キロ以下契約 5分2R>
○青山忍(和術慧舟會富山支部SPO)
(2R判定3−0)
●坂元寛史(NASER DO SOL)

<第2試合 70.3キロ以下契約 5分2R>
○梶田高裕(GSB)
(1R3分36秒 KO)
●大杉ジャカレ優也(TEAM・HODA)

<第1試合 64キロ以下契約 おやじキック2分2R>
○滝田TETSU郎大先生(クラブバーバリアン)
(1R1分43秒 KO)
●神道雅宏(Ares)

【第1部】

<第6試合 77キロ以下契約 5分2R>
○土屋彬充(本間道場)
(1R1分34秒 TKO)
●北田 有(和術慧舟會富山支部SPO)

<第5試合 67キロ以下契約 5分2R>
○藤井崇文(GSB)
(1R3分21秒 TKO)
●平 一輝(和術慧舟會富山支部SPO)

<第4試合 67キロ以下契約 オヤジ総合3分3R>
○宮本智明(和術慧舟會富山支部SPO)
(1R0分39秒 三角絞め)
●パッション中村(クラブバーバリアン)

<第3試合 65キロ以下契約 キックルール2分2R>
○篠川キャベツ晴成(クラブバーバリアン)
(1R1分23秒 TKO)
●中根和美(アレス)

<第2試合 60キロ以下契約 5分2R>
○姫野泰尚(クラブバーバリアン)
(1R4分20秒 スピニングチョーク)
●中原大輝(和術慧舟會富山支部SPO)

<第1試合 65キロ以下契約 5分2R>
○柴田稔生(和術慧舟會富山支部SPO)
(1R0分46秒 KO)
●佐藤翔太郎(パラエストラ上越)
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著者プロフィール

1977年、東京都出身。「ゴング格闘技」編集部を経て2005年よりフリーのライターに。格闘技を中心に取材を行い、同年よりスポーツナビにも執筆を開始。そのほか映画関連やコラムの執筆、ドキュメンタリー映画『琉球シネマパラダイス』(2017)『沖縄工芸パラダイス』(2019)の監督も。

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