創価大・大塚、偉大な先輩を越えるために=第58回全日本大学野球選手権・3日目リポート

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冴えるフォークで無四球完投

【創価大 4−1 東北福祉大】

 代名詞のフォークが冴えに冴えた。カウントを取る球、空振りを狙う球、シンカー気味に落とす球。3種類のフォークを使い分け、東北福祉大(仙台六大学)打線を5安打1失点と牛耳ったのは、創価大(東京新大学)の大塚豊(4年=創価高)だ。連投の疲れを感じさせず、2試合続けての無四球完投という安定感抜群の内容でチームを8強に導いた。

 このエースの快投に岸雅司監督は、「八木(智哉・現北海道日本ハム)を思い出した。いや、それ以上かも」と目を細める。八木といえば、2005年の全日本選手権で5連投し、1大会最多奪三振記録(49個)を樹立したかつての大エースだ。そして、「(八木に)追いつけ追い越せだね」と大塚にさらなる奮起を促した。

「疲れたなんて言ってられない」

 当の大塚は、「(八木が出ている)ビデオやプロ野球(中継)を見て、モチベーションを上げている」とあこがれの存在として意識してる。八木とは入れ替わりでの入学となったため、チームメートとしてともにプレーをしたことはないが、「時々電話で『お疲れ」とか言ってくれます」と良き先輩として慕っている。
 その八木に近付くために、冬場はストレートの強化に力を注いだ。「ストレートが良くなれば、フォークがより生きていくる」からだ。「ケガを恐れず投げ込みました。それと、ランニングもよくやりました」とハードなトレーニングをこなした。
 その結果、「マックスは変わらないけど、常時それに近い球速が出るようになった」とピッチングの幅が広がった。これまでの勝負球は基本的にフォークだったが、現在はストレートを決め球にすることもできる。打たせて取るタイプを自認する大塚だが、この日は10奪三振。この数字が大塚の成長を表している。

 越えるべき存在である八木は全国ベスト4が最高成績。大塚自身も1、2年時にベスト4敗退を経験している。しかし、大塚は「このチームで日本一になりたい」と前を見据えている。
「疲れたなんて言ってられない。もちろん明日も投げるつもりです」
 12日の準々決勝では優勝候補の東洋大(東都大学)が立ちはだかる。悲願の日本一、そして偉大な先輩を超えるために……。大きな目標に向かい、大塚は明日もマウンドに上がる。
◇ ◇

■東洋大・高橋監督、青写真崩れ渋い表情(09.06.11)

  2連覇を狙う東洋大は、6対3で九州共立大(福岡六大学)を破り、明日12日に行われる準々決勝進出を決めた。この試合、高橋昭雄監督はリーグ戦ではリリーフで活躍した鹿沼圭祐(3年=桐生第一)を先発で起用した。鹿沼は粘りの投球で6回を1失点にまとめたが、ボールが先行しがちになるなど内容は今ひとつ。結果、「使いたくなかった」(高橋監督)という乾真大(3年=東洋大姫路高)のリリーフを仰いだ。青写真が崩れた高橋監督は、「失敗だった。もう(先発で起用するのは)諦めた」と渋い表情。鹿沼も「いつもと同じように準備したんですけど……」と肩を落とした。

 準々決勝以降は、再びリリーフに回ることが予想される鹿沼。その準々決勝では、今春のオープン戦で1対4で敗れた創価大と対戦する。高橋監督は「スピードのある、嫌な野球をするチームだね」と警戒を強め、「借りは返さないと」と必勝を誓った。この日は9回を託された内山拓哉(2年=浦和学院高)も2失点と崩れた。それだけに、本来の役割に戻るリーグMVP右腕の復調が勝ち上がりのカギになりそうだ。

<了>
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