ウオッカ六冠V! 異次元豪脚に8万人が酔った=安田記念

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ウオッカが安田記念を連覇 牝馬としては史上初のGI6勝、そして獲得賞金10億円を突破した 【スポーツナビ】

 ウオッカ酔わせた六冠V! 「アジアマイルチャレンジ」シリーズ最終戦でもあるJRA春の最強マイラー決定戦・第59回GI安田記念が7日、東京競馬場1600メートル芝で開催され、断然の1番人気に支持された武豊騎乗のウオッカ(牝5=角居厩舎)が優勝。昨年に続き同レース連覇を達成した。勝ちタイムは1分33秒5。
 ウオッカはこの勝利で06年阪神ジュベナイルフィリーズ、07年日本ダービー、08年安田記念、08年天皇賞・秋、09年ヴィクトリアマイルに続く、牝馬では史上最多のGI6勝目。また、獲得賞金(海外、地方交流競走含む)も10億1991万1800円となり史上初の“10億円牝馬”に。ダブルの快挙を達成した。
 また、騎乗した武豊は1990年オグリキャップ、1995年ハートレイク以来となる安田記念3勝目、同馬を管理する角居勝彦調教師は昨年のウオッカに続き2勝目となった。

 一方、昨年のダービー馬で2番人気に支持されていた四位洋文騎乗のディープスカイ(牡4=昆厩舎)はラスト100メートルまで先頭だったものの、ウオッカの驚異の強襲にあい4分の3馬身差の2着敗戦。さらに1馬身差の3着には安藤勝己騎乗の10番人気ファリダット(牡4=松元厩舎)が入った。

8万ファンから「ウオッカ!」「ユタカ!」の大歓声

8万人大観衆が酔った! 歓声に手をあげて応える武豊 【スポーツナビ】

 前年比124.2%を記録した8万3135名の大観衆で膨れ上がった東京競馬場は、最強女傑の豪脚にただ、ただ酔いしれた。
 「ウオッカ!」「ユタカ!」――。スタンドからと次々と飛ぶ祝福の声に出迎えられたヒロインとヒーロー。エスコート役の武豊がサッと右手を挙げると、途端に地鳴りのような大歓声が巻き起こる。第59回安田記念は、またもウオッカの独壇場となったのだった。

 「もう勝てないかと思いましたね」
 角居調教師ですら観念した最後の直線の攻防。ウオッカは馬群に包まれ、行き場を完全に失っている。残り400メートルを切っても前は壁。大外からはダービージョッキー横山典が駆るカンパニーが真一文字に伸び、そして、1つ年下の最大のライバル・ディープスカイは同じインに進路を取りながらも、ウオッカとは対照的に鮮やかに抜け出し、差し切り態勢。万事休す……誰もが思った。

直線大ピンチも「スペースさえできれば大丈夫だと」

残り100メートルを切ってから待ってましたと豪脚が爆発! 【スポーツナビ】

 「ちょうど行こうとした進路が全然あかなくて……。でも、残りの距離が少なくなっても、スペースさえできれば大丈夫だと思って待っていました。彼女の走れるスペースを探すだけでしたね」
 この大ピンチの中、ひとり冷静だったのは背中にいる武豊。慌てることなく“恋人”の脚を信じ、“どこからでも差し切れる”と確信していたのだ。

 これほどの窮地に追い込まれながら、なお冷静でいられたのはウオッカの成長ぶりにある。昨年までウオッカだと、レース前半の折り合いにも苦労する難しい気性。しかもあれだけ馬群でもまれるとなると、最後の“ひと脚”を引き出す前にガス欠になっていたかもしれない。

 しかし、今年はどうだろう。7馬身差で圧勝した前走のGIヴィクトリアマイル、そしてこの安田記念と引っ掛かることなく折り合いはバッチリ。この日も抜群のロケットスタートから「外枠の先行馬につられないようにマイペースで走っていたら、自然といいポジションを取ることができました」と、中団よりやや前の6〜7番手を楽なペースで追走。「4コーナーを回るまで、本当に何のロスもなく来れました」と、道中のリラックスした走りが、最後の爆発力につながったのだ。

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