竹田&イサミ組が最侠タッグリーグ優勝=5.28大日本プロレス

高木裕美

イサミ(左)&竹田組が最侠タッグリーグを制覇! 【t.SAKUMA】

 大日本プロレス「最侠タッグリーグ戦」最終戦となる28日の後楽園ホール大会では、1106人を動員。メーンイベントでは大日本最侠タッグリーグ決勝戦&BJW認定タッグ王座決定戦として、宮本裕向&佐々木貴組vs.竹田誠志&木高イサミ組が「最侠デスタワー 巨大蛍光灯タワー4コーナーデスマッチ」で激突。2.13後楽園で開幕し、実に3カ月以上に渡って全国各地で激闘が繰り広げられてきたタッグリーグ戦の決勝にふさわしい、劇的なフィナーレを迎えた。

 約5年3カ月ぶりに復活した「最侠タッグ」だが、思わぬアクシデントが続出。10チーム参加で行われるはずだった予選では、優勝候補の一角を担うマンモス佐々木、葛西純が相次いで負傷により欠場。BJWタッグ王者であったマンモスがベルトを返上したため、急遽このリーグ戦の優勝者が新王者となることが決まった。
 また、当初この日のメーンに出場する予定であった伊東竜二も試合中に背中を負傷し緊急入院することに。そのため、前回の4.28後楽園で行われた準決勝戦で伊東、石川修司組に敗れた竹田、イサミ組が繰り上げで決勝進出となった。
 両チームは3.26後楽園でも公式戦で対戦しており、この時は竹田が宮本に21分13秒、ジャーマンスープレックスで勝利している。

延長戦の大激戦! 最後は竹田が宮本を撃沈

延長戦で竹田(下)がデスマッチ王者・宮本を撃沈! 【t.SAKUMA】

 4つのコーナーにはそれぞれ巨大蛍光灯タワーが設置され、向かい合う2つの面には蛍光灯、もう2つの面にはリングの下に有刺鉄線ボードが置かれた、まさに逃げ場のない地獄で、最初に蛍光灯タワーのエジキとなったのはデスマッチ王者の宮本。2人がかりで蛍光灯タワーに投げつけられると、たちまち全身が真っ赤に染まる。しかし、宮本もお返しとばかりに竹田を蛍光灯タワーに放り投げたため、竹田もまるで鮮血のシャツを着たかのような状態に。それでも竹田は痛めた右肩をアイシングしながら試合を続けた。

 大日本の試合規定で、優勝決定戦といえども試合時間は30分1本勝負。残り時間が少なくなるにつれ、あせりの見えてきた宮本組は、貴の蛍光灯Dガイスト、右脚with蛍光灯、宮本のムーンサルトプレスなどで一気にイサミを攻め込むが、いずれもカウントは2。わずか30分では決着がつかず、宮本がファイヤーサンダーでイサミを陥落寸前まで追い込んだところで時間切れのゴングが鳴らされた。
 しかし、観客の大「延長」コールを受けて異例の延長戦に突入すると、これまで劣勢だった竹田組が一気呵成に反撃開始。イサミのラダー上からのダイビングダブルニードロップwithチェアーから竹田がドラゴンスープレックスで宮本を沈め、2カ前と同様、BJWデスマッチヘビー級王者から堂々のピンフォールを奪い取った。

ヤングブラッズ、デスマッチ新時代を切り開くか

ヤングブラッズが新時代を切り開くか 【t.SAKUMA】

 試合後、竹田は「宮本裕向、オレと勝負しろ!」と、宮本の持つデスマッチ王座に挑戦表明。タッグ戦ながら屈辱の2連敗を喫している宮本もこれを受け、7.12横浜文化体育館でのタイトル戦がほぼ決定した。もう後がない宮本は「オレがデスマッチの試合形式を決めさせてもらう」と王者の意地にかけ、何が何でもベルトを守り抜くことを誓った。
 タイトル戦の前に6.29後楽園では葛西純、“黒天使”沼澤邪鬼組vs.竹田、イサミ組によるノンタイトル戦でのデスマッチ対決も決定。タイトル戦ではないとはいえ、BJWタッグ王者として常識の範囲を逸脱したクレイジーファイトを標榜する045邪猿気違’Sを迎え撃つことになった。

 観客の大歓声を味方につけた竹田は「オレが時代を引っ張る」とファンに宣言。その言葉通りに名だたるデスマッチファイターを倒し、大日本マットでデスマッチ新時代を切り開くか。

関本が将来のエース候補に喝!

セミファイナルでは大日本勢が熱戦を展開 【t.SAKUMA】

 セミファイナルでは大日本の「レスリング部門」を牽引する4選手がド迫力の肉弾戦を展開。関本大介、岡林裕二組vs.佐々木義人、石川晋也組によるタッグ対決は、元BJWタッグ王者コンビであった関本と義人、同世代のライバルである岡林と石川が負けん気ムキ出しの熱戦を展開した。

 盛り上がった筋肉を誇るスーパーヘビー級の関本組に対し、義人組も体格はジュニアヘビー級ながら決して力負けせず。関本がベアハッグ、ロメロスペシャルといった豪快な技を繰り出し、岡林もダブルのブレーンバスターを決めるが、義人も岡林の巨体をアルゼンチンバックブリーカーで担ぎ上げて対抗。石川も関本を強引にバックドロップで投げ飛ばし、力強さと負けん気の強さを見せ付けた。
 しかし、義人が関本のぶっこ抜きジャーマンで動けなくなる間に、岡林が石川をダイビングビディープレスで圧殺。体格で上回る関本組が勝利をつかんだ。

 当初この日のメーンに出場予定だった伊東竜二が負傷により欠場となるアクシデントがあったとはいえ、メーンイベントに大日本所属選手が1人もいないという状況の中、4人全員が大日本所属でセミファイナルを盛り上げた関本は「このメンバーで後楽園で、こういう試合ができたのが嬉しい」と、満足げな表情を浮かべつつ、「もっともっとお互い切磋琢磨して上を目指してやっていきたいと」とさらなる向上を誓うと、この日、試合に敗れた後で握手を拒否した石川に対して「握手しないでノーリアクションだったというのが残念。そこがちょっと足りないところ」と苦言を呈した。

大日本プロレス「最侠タッグリーグ戦」最終戦

5月28日(木)東京・後楽園ホール 観衆:1106人

<メーンイベント 大日本最侠タッグリーグ決勝戦&BJW認定タッグ王座決定戦 最侠デスタワー 巨大蛍光灯タワー4コーナーデスマッチ 30分1本勝負>
●宮本裕向、佐々木貴
(30分時間切れ引き分け→延長戦5分35秒 ドラゴンスープレックスホールド)
○竹田誠志 木高イサミ

<セミファイナル ストロングBJ タッグマッチ 30分1本勝負>
関本大介、○岡林裕二
(13分44秒 ダイビングボディープレス→片エビ固め)
佐々木義人、●石川晋也×

<第4試合 葛西純 大日本復帰戦 ハードコア6人タッグマッチ 30分1本勝負>
○葛西純、“黒天使”沼澤邪鬼、MASADA
(15分33秒 パールハーバースプラッシュ→片エビ固め)
シャドウWX、アブドーラ・小林、●星野勘九郎

<第3試合 メンズワールド 8人タッグマッチ 30分1本勝負>
○MEN’Sテイオー、大石真翔、円華、怨霊
(15分23秒 合体ミラクルエクスタシー→エビ固め)
忍、●佐藤悠己、ツトム・オースギ、ヘラクレス千賀

<第2試合 タッグマッチ 30分1本勝負>
○大黒坊弁慶、松山勘十郎
(11分25秒 ランニングエルボードロップ→体固め)
●谷口裕一、えべっさん

<オープニングマッチ 20分1本勝負>
○石川修司、河上隆一
(10分31秒 ランニングニーリフト→エビ固め)
原田大輔、●大橋篤
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著者プロフィール

静岡県沼津市出身。埼玉大学教養学部卒業後、新聞社に勤務し、プロレス&格闘技を担当。退社後、フリーライターとなる。スポーツナビではメジャーからインディー、デスマッチからお笑いまで幅広くプロレス団体を取材し、 年間で約100大会を観戦している 。最も深く影響を受けたのは、 1990年代の全日本プロレスの四天王プロレス。

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