直接対決で優勝決まる法明戦=東京六大学見どころ

矢島彩

状況は法大優位も相性の良さは圧倒的に明大

 2009年春の東京六大学リーグ戦の優勝は、法大と明大の2校に絞られた。先週、法大が慶大に連勝し、明大は早大から勝ち点を落とした。その結果、法大は勝ち点4で単独首位に立った。23日からの明大戦で勝ち点を挙げれば6季ぶりの優勝が決定。1勝2敗でも明大とのプレーオフに持ち込むことができる。明大は負けなしで勝ち点を取れば優勝となる。
 法大が優位とは言え、気になるのは明大との相性だ。最後の勝ち点は、優勝した3年前の春までさかのぼらなければならない。以降の対戦成績は1勝10敗1引き分け。そのうち完封負けが5回を数える。

■過去3年の法明戦の結果
08年秋:●0対3、●0対7
08年春:●2対7、△2対2、●0対6(明大優勝)
07年秋:○9対1、●0対3、●3対5
07年春:●3対7、●6対7
06年秋:●0対6、●5対6
06年春:○7対4、○5対1(法大優勝)

二神、野村のエース対決

 1戦目は、法大・二神(ふたがみ)一人投手(4年=高知高)、明大・野村祐輔投手(2年=広陵高)の投げ合いが予想される。二神投手は4試合に登板して、4完投で4勝。36イニングでわずか1四死球という抜群の制球力に加えて、防御率0.75は堂々の1位だ。慶大1回戦では、1点リードの9回裏に1死三塁というピンチをつくった。延長戦はなく、打たれれば勝利がなくなる究極の場面。代打に4球連続ファールで粘られながら逃げ切った。こういう展開を制すところに、二神投手のメンタルの強さが見られた。野村投手も早大戦こそKOされたものの、尻上がりに調子を上げてきたところだった。18日の3回戦も2/3イニングのみの登板で、休養は十分だ。ここまで4勝(1敗)を挙げて、29回1/3で40三振を奪っている。
 両投手に付け入るすきがあるとすれば初回。二神投手は東大戦、早大戦で各1失点、野村投手は早大戦で4失点と課題を露呈した。「気持ちがふわふわっとしてしまう」(ニ神)、「なぜかいつもうまくいかない」(野村)と、自他ともに認める不安定な立ち上がり。大量得点が難しいだけに、初回の攻防で試合が決まる可能性も高い。

上位打線当たっている法大と二遊間堅い明大

 法大は上位打線が当たっており、5番・佐々木陽内野手(3年=作新学院高)、6番・多木裕史内野手(1年=坂出高)はチームトップの10打点をマーク。現在首位打者の4番・松本雅俊内野手(4年=関西高)を含め、仮に敬遠作戦をされても後に怖い打者が続く。
 対する明大は守りを徹底させたい。守備力のあるチームだが、早大3回戦は2失策に泣いた。遠山裕太内野手(4年=松商学園高)、上本崇司内野手(1年=広陵高)の二遊間は堅い。昨年の早大の主将である上本博紀内野手(現・阪神)の弟である上本内野手の守備は1年生とは思えない野球センスが光る。また、早大2回戦から1番に起用された山内慎之介内野手(4年=沖縄尚学)が結果を残した。このままチームの起爆剤に、ラッキーボーイになれるか。
 法大は2戦目の先発に2カード連続で異なる投手を立てた。4年生左腕・上野悠史投手(平塚学園高)と、190センチ右腕・三上朋也投手(2年=県岐阜商高)。タイプが異なるため、相手も作戦を立てにくいだろう。今季からローテ入りした明大・難波剛太投手(2年=春日部共栄高)は無傷の3連勝中。約40キロある緩急を武器に打者を翻ろうする。
 明大が法大の前で優勝を決めて、ちょうど1年。ことしはどちらが宙を舞うだろうか。

<了>
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著者プロフィール

 1984年、神奈川県出身。『アマチュア野球』、『輝け甲子園の星』『カレッジベースヒーローズ』(以上、日刊スポーツ出版社)や『ホームラン』(廣済堂出版)などで雑誌編集や取材に携わる。また、日刊スポーツコム内でアマチュア野球のブログを配信中

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