5連覇を狙う名将の怪物・東浜対策とは?=東都リーグ最終週・見どころ

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亜大を上昇気流に乗せた怪物ルーキーの快投

4戦連続完投と快投を続ける東浜。優勝が懸かった大一番では、どんな投球を見せるのか 【写真は共同】

 リーグ戦開幕直後、生田勉監督が「入れ替え戦までに戦力を整えたい」と語っていたように、今季の亜大は上位を狙うよりも下位に落ちないことを考えるチームだった。しかし、最終週を残すのみとなった現在、入れ替え戦どころか東洋大との対戦で勝ち点を奪えば優勝というところまできた。
 その原動力となったのは、2008年センバツ優勝投手の怪物ルーキー・東浜巨(1年=沖縄尚学高)だ。4月21日の中大1回戦で完封勝利と衝撃的なデビューを飾ると、国学大を1回戦、2回戦と連続シャットアウト。立正大1回戦では1失点を喫したものの、9回を危なげなく投げ切った。4試合連続完投勝利という快投は、チームを上昇気流に乗せるには十分だった。
 
 東浜が亜大にもたらしたものは、それだけではない。立正大2回戦、3対2と1点リードの9回2死満塁。この難しい場面で、生田監督は北原郷大(3年=穴吹高)をマウンドに送った。ここで北原は見事な投球を見せ、チームの危機を救った。昨秋2勝を挙げ、今季エースとして期待された北原は、青学大との開幕戦で打ち込まれるなど、結果が出ていなかった。だが、「東浜が出てきて、先発としてやってくれて良かった。その間に(自分の)調子を取り戻せるように修正できた」と仕事を果たしたことを喜んだ。
 東浜は、登板した試合を勝利に導くだけでなく、自分が投げることで不調の選手をカバーしていたのだ。
 東洋大戦でも、まず1回戦での先発が有力な東浜は、はっきりと言う。
「自分の中では優勝は見えてきている。意識しています」

東浜「すごいチーム」 高橋監督「勝たせるわけにはいかない」

 その東浜に対し、5連覇を狙う東洋大の高橋昭雄監督は、「佑ちゃん(早大・斎藤佑樹)と比べたらまだまだ」「澤村(拓一・中大)のほうがいい。東浜はまだ子供」と対戦経験のある投手を引き合いに出し、厳しい言葉を並べた。
 ここまでの東浜の快投についても、「(ツーシーム系の)ボールが動いているから打てないだけ」とばっさり切り捨て、その上で「速い球か遅い球か絞る。そしてしっかり振る」ことを攻略の糸口に挙げた。
 東浜は140キロ台後半の直球と100キロを下回るスローカーブを操る。50キロの緩急に対応するのは難しいから、どちらか一方を待つ。シンプルではあるが、東都リーグ屈指の鋭いスイングを誇る東洋大だからこその作戦だ。
 
 一方で高橋監督は、東浜を「落ち着いている。いいピッチャー」と評価する。「(対戦のない)六大学に行けばよかったのに」とジョークを飛ばす場面もあった。厳しいコメントは、東浜を強敵と認めているからこそなのだろう。
 それは、高橋監督が示唆した亜大戦のオーダーにも表れている。ここまで全試合でスタメンマスクの佐藤貴穂(3年=春日部共栄高)を捕手以外で起用するというのだ。理由は、「(佐藤貴は)マスクを被ると守備にいっぱいいっぱいでバッティングに集中できない」から。「あいつは本当に打撃がいいんだよ。おれは4番で使いたいんだから」とこのさい配のメリットを強調する。大一番で守りの要の捕手を代えるリスクを背負ってでも、攻撃力を強化するつもりなのだ。

 東浜は東洋大の印象を「すごいチーム。勝つとかの段階の前に投げてみたい」と語り、高橋監督は「1年目から5つも6つも勝たせるわけにはいかない」と闘志を燃やす。“戦国”東都リーグの最終週(5月26日から)で、怪物ルーキーと就任38年目の名将が率いる王者・東洋大が優勝を懸けぶつかり合う。

※優勝の条件
5月25日時点での順位は1位・青学大(勝ち点4、8勝5敗1分=全日程終了)、2位・亜大(勝ち点3、7勝2敗)、3位・東洋大(勝ち点3、6勝2敗1分)。東洋大vs.亜大で勝ち点を挙げたチームが勝ち点4で青学大と並び、2勝1敗の場合でも勝率で上回るため、優勝となる。

<了>
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