女王圧巻の7馬身! 武豊「やっぱりウオッカは強い」=ヴィクトリアマイル

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ウオッカがレースレコードタイムで7馬身差の圧勝V! 【スポーツナビ】

 JRA春の女王決定戦・第4回GIヴィクトリアマイルが17日、東京競馬場1600メートル芝で開催され、断然の1番人気に支持された武豊騎乗の2008年度代表馬ウオッカ(牝5=角居厩舎)が、好位から鋭く抜け出すとグングン後続を引き離し7馬身差をつけて優勝。06年GI阪神JF、07年GI日本ダービー、08年GI安田記念、08年GI天皇賞・秋に続くGI5勝目を挙げた。このGI5勝はメジロドーベルに並ぶ牝馬史上最多タイ、東京競馬場でのGI4勝は史上最多勝。さらに獲得賞金は8億8740万円となり、エアグルーヴを上回る牝馬で歴代1位の賞金女王となった(JRAでの競走のみ)。
 また、勝ちタイム1分32秒4は、07年コイウタがマークした従来の記録を0秒1上回るレースレコード。

 なお、騎乗した武豊は同レース勝利により牝馬限定GI完全制覇を達成するとともに、デビュー2年目から22年連続でGI勝利。同馬を管理する角居勝彦調教師もヴィクトリアマイルは初勝利となる。

 一方、7馬身差の2着には11番人気のブラボーデイジー(牝4=音無厩舎)、さらに1馬身差の3着には7番人気のショウナンラノビア(牝6=岡田厩舎)が入線。また、昨年の最優秀3歳牝馬でGIエリザベス女王杯勝ち馬の3番人気リトルアマポーラ(牝4=長浜厩舎)は6着、06年二冠牝馬の2番人気カワカミプリンセス(牝6=西浦厩舎)は8着、昨年のGI桜花賞馬で5番人気のレジネッタ(牝4=浅見厩舎)は16着にそれぞれ敗れた。

独壇場! 1分32秒4のレースレコード駆け

武豊も鞍上でニッコリのウイニングラン 【スポーツナビ】

 まさに独壇場。強く吹き付ける風になびく緑のターフは、ウオッカのためだけに用意された舞台だった。

 後続は、はるか後方。「思う存分、私の走りを見て!」とばかりに、女王は誇らしげに馬体を躍動させる。永遠のライバル・ダイワスカーレットと2センチ差の激戦を演じた天皇賞・秋以来となる人馬とものGI制覇に、エスコートした武豊からは「きょうは勝ったのが分かりました(笑)」と、“らしい”ジョークが飛び出すほどだ。

 レースレコードの1分32秒4、上がり3ハロンはもちろんメンバー最速の33秒4、2着以下に7馬身差。ただひと言、強い。この日のウオッカには、それ以外の言葉が思い浮かばないだろう。武豊も興奮気味に、ベストパートナーを絶賛する。
 「やっぱり、ウオッカは強い。我々も改めてそう感じるレースでしたね」

折り合いも完ぺき、早め先頭も「反応が良すぎました」

直線は独壇場! グングン後続を引き離した 【スポーツナビ】

 ドバイ遠征帰りの今年国内初戦。昨年同レース2着に敗れ時に苦労した馬体減りもなく、この日パドックに姿を見せたウオッカは、はちきれんばかりの494キロ。
 「ドバイの時からそうでしたけど、昨年よりずっといい状態だなと感じていました。今まで僕が乗った中で一番、と思っていたくらいです」

 武豊が振り返ったとおり、状態はパーフェクトだった。返し馬でもゆったりと歩を進め、課題の落ち着き具合も問題なし。レースも、得意のロケットスタートを決めると、最内のショウナンラノビア、同厩ブーケフレグランスを前へ行かせながら、絶好位の5番手をキープする。
 「他の馬の出方次第でしたが、無理に先手を取るつもりはなかったですし、ペースも極端にはならなかった。自然といいポジションで流れに乗れましたね。いつもより折り合いがついていたくらいです」

 前半800メートルが46秒9の平均ペースの中、ウオッカと武豊は悠々と追走。余力十分、いや、良すぎるくらいの手応えで最後の直線を向くと、一気に開いたスペースへと脚を伸ばした。
 「内にいたので、スペースがある内に半馬身でも出て行こうと思ったら、一気に行ってしまいましたね。反応が良すぎました」
 坂を上がりきらずしての先頭に、さすがの武豊も苦笑いだったが、末脚の勢いが違いすぎた。ドバイで露呈した失速もなく、後続との差はグングン広がっていくばかり。気を抜かせないようにと、振り下ろしたステッキは2発だけだった。

不安一掃の勝利「正直、ここでは負けてほしくなかった」

ドバイでの不可解な失速を払拭する快勝に陣営も笑顔 【スポーツナビ】

 「きょうの走りをドバイでもしてくれたら、と思いましたね。前回も直線に向いた時はきょうと同じような感じでしたから。あのレースは世界との力差ではなくて、自分からブレーキをかけてしまっていました」

 いまだに前走のGIドバイデューティフリーでの失速7着の原因はつかみきれていないが、それらを含めた不安を一掃する圧勝劇。当然、同じ牝馬が相手ならば勝って当然の立場にいるが、ドバイでの敗戦のことを思えば、この日の文句なしの勝利は武豊、そして角居調教師はじめ厩舎スタッフにとって“安堵”の勝利と言えるだろう。 共同インタビュー後、検量室前で武豊がこう明かした。
 「色んな意味で、ホッとしましたね。正直、ここでは負けてほしくなかった。ファンの方も思っていたと思いますが、僕たちも今回は負けてほしくないな、って思っていましたから。それに、毎回大穴ばっかりじゃ、ね(笑)」

「自信を持って行きたい」、いざ安田記念連覇へ

次走は安田記念、再び牡馬撃破で連覇を狙う 【スポーツナビ】

 再び上昇気流に乗り、次に向かうは牡馬が相手のアジア最強マイラー決定戦・GI安田記念(6月7日、東京1600メートル芝)。昨年に続いての連覇へ向け、角居調教師が抱負を語った。
 「ドバイの後もいい馬体を維持できましたし、馬自身もますます競馬が上手になっている。今のウオッカを維持していければ、と思いますね」

 もちろん、武豊もウオッカでのGI連勝に手応え十分。3週後にやってくる再びの府中マイル決戦へ視線を移した。
 「馬は最高にいい感じになってきましたね。去年も強い勝ち方をしているし、今回負けて向かうのとでは気持ちの面でもだいぶ違う。自信を持って安田記念に行きたいですね」
 安田記念は3度目の対戦となる過去1勝1敗の1つ年下のダービー馬ディープスカイが相手となるが、この日と同じ走りをすれば、そう易々と先頭は譲らないだろう。

 まずはあいさつ代わりに今年国内初戦を圧勝した女王。心配は無用だった。やはり、ウオッカは強い。3週後の府中マイルのターフで、安田連覇&GI6勝目を目指し再び女王が躍動する。
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