“歴史の重みとプライド”で優勝狙う法大=東京六大学野球・後半戦見どころ

矢島彩

安定感が光るエース・二神

06年春、42回目の優勝を果たした法大。今季はそれ以来6季ぶりの頂点を狙う 【写真は共同】

「新チームが始まったときから、『回数で並ばれるぞ。歴史の重みとプライドを持て』と口酸っぱく言ってきました」(金光興二監督)。

 法大はリーグ通算優勝回数42回とトップに君臨する。しかし、直近5年で5回優勝の早大に対し、法大は2回。ハイペースで追い上げる早大に、とうとう1回差に迫られた。

 現在、立大、早大、東大戦を終え、6勝1敗1分で2位につけている。東大戦の後、「優勝争いですか? でも、うちは優勝しか狙っていないから」と、指揮官は強調した。16日からは慶大戦、来週23日からは3カードで6戦全勝中の明大戦を控える。

 ここまでは、エース・二神一人投手(4年=高知高)の安定感が光る。3試合に先発し、いずれも無四球完投。昨秋は1勝止まりで、先発しても途中降板が多かった。「今までも一生懸命やってきたつもり。でも、ことしは最後、最上級生という自覚がある」と、最終学年の立場が後押しする。加賀美希昇投手(3年=桐蔭学園高)は、「好きな選手は?」という質問に二神投手を挙げていた。「ピッチングや考え、普段の生活面も見習いたい」と、手本にしている。
 これは、昨春優勝した明大に共通する部分だ。実戦経験が乏しいながらも、優勝の原動力となった岩田慎司投手(現・中日)の人間性や練習態度を、現エースの野村祐輔投手(2年=広陵高)は今でも尊敬している。
 春は4年生という軸がブレないチームが強い。東大2回戦では、今季初登板の左腕・上野悠史投手(4年=平塚学園高)が7回途中1失点と好投。けがの加賀美投手の穴を埋める形となったが、4年生が意地を見せたのはチームにとってもプラスだ。

打率上位を独占する好調な打線

 もう1つ際立つのは、得点能力の高さだ。1試合平均5.9得点は、ライバル・明大の4.3得点より1点以上多い。投手力のある早大から3試合で18得点を挙げたのも評価できる。現在、打率4割0分7厘で首位打者の亀谷信吾外野手(4年=中京大中京高)、2位の松本雅俊内野手(4年=関西高)、4位の佐々木陽内野手(3年=作新学院高)、5位の和泉将太内野手(4年=横浜高)。上位、中軸を担う選手たちが好調を維持している。残塁が多く勝負弱かった昨年とは別のチームのようだ。
 亀谷は昨秋も首位打者争いを演じ、厳しいマークが予想されていた。それに対応するべく、今春は逆方向への打球を意識。金光監督も「とても熱心に取り組んでいた」と目を細める。一方の4番・松本雅は今春がリーグ戦デビュー。けがに泣いた3年間を取り戻そうと必死だ。早大戦では2試合で三塁打2本を含む3安打と大当たり。慶大戦ではプロ注目の左腕・中林伸陽投手(4年=慶応高)に対して、松本雅や佐々木ら右打者が攻略のカギになる。

 明大とは勝ち点3で並んでいるが、勝率ではわずかに及ばない。仮に両チームの直接対決で優勝が決まる展開になった場合はいいが、勝率勝負になると1つの黒星が致命傷となる。明大は16日から早大戦。プレッシャーをかけるためにも、法大は慶大戦で連勝したいところだ。

<了>
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著者プロフィール

 1984年、神奈川県出身。『アマチュア野球』、『輝け甲子園の星』『カレッジベースヒーローズ』(以上、日刊スポーツ出版社)や『ホームラン』(廣済堂出版)などで雑誌編集や取材に携わる。また、日刊スポーツコム内でアマチュア野球のブログを配信中

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