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井川慶と高橋建、マイナーリーガーとしての再会

共通の立場、目標を掲げて

ヤンキース傘下のマイナーリーグ3Aで今季初登板する井川。5回5失点ながら勝ち投手になった
ヤンキース傘下のマイナーリーグ3Aで今季初登板する井川。5回5失点ながら勝ち投手になった【カルロス山崎】

 日本では、2001年のオールスターゲームで一緒になったことがあるものの、ほとんど面識はないといっていい高橋建と井川慶。二人のここまでのプロセスは大きく違うものの、マイナーリーガーという現在の立場、そして、遥かなところに感じるメジャーリーグを目指す思いに違いはない。渡米3年目の井川は、7月13日で30歳に。渡米1年目の高橋は4月16日で不惑を迎える。


 4月13日(現地時間)、場所はカナダとの国境にあるナイアガラの滝までわずか15キロほどのニューヨーク州バッファロー。ここで二人は8年ぶりの“再会”を果たした。それも、スクラントン・ウィルクスバレー・ヤンキース(ヤンキース傘下3A)対バファロー・バイソンズ(メッツ傘下3A)のデーゲームの最中のこと。5回裏、先頭打者コリー・サリバンを二塁ゴロに打ち取った井川は、ベースカバーのために駆け寄っていた一塁ベース付近から、一塁側ブルペン近くで熱い視線を注いでいた高橋に、帽子をとって軽く会釈したのだ。


「(井川投手は先発でしたので)あした以降にでも機会があれば話したいと思っていたんですけど、試合中にあいさつをもらいました(笑)。いやあ、うれしかったですよ」。延長15回を戦った前日の試合で3回1安打無失点と好投した高橋、この日はノースローとなっていたため出番はなかったが、「(阪神の時と)変わっていなかった」と、井川のピッチングに懐かしさを感じていたようだった。

井川は5失点も初勝利

 その井川、味方が逆転、そしてリードを奪った矢先に一発を浴びるという、いただけない内容ではあったが、5回4安打3四球5失点ながら1勝目を手にした。4安打の内訳は、本塁打3本、二塁打1本。スコット・アルドレッド投手コーチは「肝心なところで球が高かった。確かにそれは反省点だが、シーズンは始まったばかり。ケイのチェンジアップは有効だったし、何よりもストライク先行で、テンポが良く、終始、自分のリズムで投げていた」と、5回を73球でまとめたことを評価した。中11日での登板だったが、最速91マイル(約146キロ)をマークするなど、コンディショニングはしっかりできているようだ。


 降板後、井川はクラブハウスで早速ビデオをリプレイして、配球、コース、高さなどをチェックしたという。「ホームランはどれもベルトハイで甘かった。ベルト付近は一番危ない高さですから、もっと高めか、低めに投げないとやられますね」と、コントロールミスを悔やみつつも、客観的な自己分析と、修正点の確認も忘れなかった。


「(予定されていた80球で)6回まで投げたかったですけど、きょうはチームに勝たせてもらいましたね。チームの状態はいい(開幕5連勝)ですし、次回以降は、自分(の投球)でいい波を作れるように頑張りたい」


 招待選手として参加していたヤンキースのキャンプでは、「中継ぎ」として結果を残した井川。キャッシュマンGMの構想では当初、マイナーの公式戦でも「中継ぎでの登板」を考えていたものの、テンポのいい投球とキャンプ中の結果が評価され、マイナーでの先発起用が決まったという。 再び、メジャーの40人枠に入ることは簡単なことではないが、本人は「目の前の1試合1試合を大事に、いいピッチングを続けていって、いつ(メジャーに)呼ばれてもいいよう、準備だけはしっかりやっておきます」と、今の状況を冷静に受け止めている。

高橋は広島にいる家族の存在を支えに

 一方、高橋が今、マイナーにいる理由は、井川とは異なるものがある。全員が年下のチームメートとの最大年齢差は19歳。若い選手との違い、具体的には、彼が長いプロ生活で培ってきた安定した制球力に、チームからは期待されていると言っていい。今、メッツのブルペン陣でサウスポーはペドロ・フェリシアーノただ一人。バイソンズにおいても、左の中継ぎ投手は、高橋の他に、ここまでは好調とは程遠いジョン•スウィッツァーの二人だけ。高橋がここで安定した投球を続けることができれば、昇格のチャンスは十分にあり得るだろう。


「食事、言葉、練習方法とか、(日本とは)違うことだらけですね。でも、今は目標ははっきりしているし、出番がきたらしっかりこなしたい」


 バッファローでの試合中、出番のないときは狭いファウルグラウンドにあるブルペンの手前で、右手にグラブ、左手には防寒用の手袋をつけ、投球練習をするチームメートをしっかり守っている高橋。ここまで2試合に登板し、4回1/3を3安打、1失点、奪三振4、防御率1.92。そんな高橋にとって、大きな刺激となっていることがある。それは、広島にいる家族の存在だ。


「カミさんも子どもも、離れている寂しさはあります。だから、がんばらなきゃって、ものすごく強く思いますね」


 バッファロー上空を覆っていた分厚い雲を見つめる目には、寂しさよりも、力強い何かが込められていた。


<了>


 MBSラジオ(1179AM/関西地区)の新番組『亀山つとむのかめ友 Sports Man day』(毎週月曜18時から放送)では、井川投手のインタビューコーナー、「K’s Voice」を展開中

カルロス山崎

大阪府高槻市出身。これまでにNACK5、FM802、ZIP-FM、J-WAVE、α-station、文化放送、MBSラジオなどで番組制作を担当。現在は米東海岸を拠点に、スポーツ・ラジオ・リポーター、ライターとして、レッドソックス、ヤンキースをはじめとするMLBや、NFL、NHLなどの取材活動を行っている

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