佑ちゃん筆頭にハイレベルな投手そろう=東京六大学展望

矢島彩

投手力抜き出る早大と法大

通算18勝の斎藤を軸に連覇を狙う早大 【Photo:アフロ】

 今春の東京六大学リーグ戦はハイレベルな投手戦が見どころだ。昨秋の投手成績を振り返ると、上位7人が防御率(規定投球回数以上)1点台だった。そのうち5人が健在。「1対0、2対1というロースコアゲームがますます増えるのではないか」とは、東大・中西正樹監督の言葉だ。

 投手力で抜きん出ているのが、連覇を狙う早大と2006年春以来の優勝を狙う法大だ。早大は通算18勝の斎藤佑樹投手(3年=早稲田実高)、36回2/3イニング連続無失点中のクローザー・大石達也投手(3年=福岡大大濠高)ら輝かしい実績を誇るピッチャーがそろう。ただ、マスクをかぶるのは打撃のいいルーキー杉山翔大(1年=東総工高)が予想され、“バッテリー”としては不安が残る。その点で上回るのが法大だ。二神一人投手(4年=高知高)、武内久士投手(4年=徳島城東高)の150キロ右腕2枚と主将・石川修平捕手(4年=小山西高)のキャリアは申し分ない。また、先日の社会人対抗戦ではルーキー・三嶋一輝投手(1年=福岡工高)が153キロデビューを飾った。昨秋フル回転した加賀美希昇投手(3年=桐蔭学園高)の調整遅れが気がかりだが、顔ぶれ自体は6チームでも屈指。5季連続Bクラスが示す通り、あとは実績だけ。攻撃では早大・小島宏輝外野手(4年=愛工大名電高)、法大・和泉将太遊撃手(4年=横浜高)のトップバッターがカギを握る。

明大・野村にエースの貫録 慶大は4年生の活躍がカギ

 明大は野村祐輔投手(2年=広陵高)にエースの貫録が漂う。昨秋、史上5人目のシーズン防御率0・00を達成。「この春はいい調整ができた」との言葉通り、社会人対抗戦では最速148キロをマークした。さらに、森田貴之投手(2年=大垣日大高)、難波剛太投手(2年=春日部共栄高)ら、“斎藤世代”ならぬ“野村世代”の投手陣が控える。また、投打において1年生の存在が上級生の奮起を促しており、全日本候補の荒木郁也遊撃手(3年=日大三高)が上本崇司遊撃手(1年=広陵高)とし烈な正ショート争いをしているほどだ。
 通算12勝を挙げている左腕・中林伸陽投手(4年=慶応高)の負担を軽減させたい慶大。その筆頭は通算打率3割4分7厘の小野寺和也一塁手(4年=前橋高)。昨年春は首位打者、秋は3位(3割1分8厘)の好成績でチームのAクラスを死守した。慶大の優勝は決まって4年生野手の活躍が目覚しいとき。早慶戦を制しての優勝を9季ぶりに見せてほしい。

台風の目となる立大 東大は最下位脱出狙う

 4年ぶりのAクラスを狙う立大。185センチ右腕・戸村健次投手(4年=立教新座高)は、オープン戦で無四球完封しプロのスカウトをうならせた。野手も田中宗一郎外野手(3年=佐賀西高)、末藤一樹外野手(4年=東邦高)と経験者は多い。投打がかみ合えば台風の目になる可能性もある。
 そして、22季連続6位の東大は最下位脱出が現実味を帯びている。昨秋2勝を挙げた鈴木優一投手(4年=西尾高)が準備万端。今季も昨秋(最多の投球回数83回1/3)のようなフル稼働は間違いない。3割近い打撃も魅力だ。中西監督が「今までにない雰囲気を持った学年」と話す岩崎脩平三塁手(海城高)、内海翔太(土浦一高)ら2年生野手の活躍も楽しみだ。

 最後に今季も成績上位校が早明慶、下位が法立東だった場合、3年連続になる。これは6大学史上2度目のことだが、決して喜べない事態だ。この不名誉を避けるべく、下位3校は危機感を持って戦いたい。

<了>
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著者プロフィール

 1984年、神奈川県出身。『アマチュア野球』、『輝け甲子園の星』『カレッジベースヒーローズ』(以上、日刊スポーツ出版社)や『ホームラン』(廣済堂出版)などで雑誌編集や取材に携わる。また、日刊スポーツコム内でアマチュア野球のブログを配信中

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