新生「秋山ホークス」は生まれ変わったのか=鷹詞2009〜たかことば〜
3番打者が送りバント
3月29日、福岡ソフトバンクのオープン戦最終戦。3回裏だった。無死一、二塁、スコアは1対3。打席には3番・松田宣浩が入った。これからクリーンアップを迎える最高のシチュエーション。うまくいけば逆転、そして大量得点のチャンスだ。初球、松田は迷わずバットを横にした。コツンという音とともにボールは捕手の前に転がる。送りバントだ。走者は三塁と二塁に進む。そして4番・松中信彦の2球目に相手投手が暴投。福岡ソフトバンクは1点を返した。
福岡ソフトバンクは「横綱」の看板を捨てた。
かつての黄金期野球を復活
「1番打者は出塁することを考えていた。2番打者はバントの名人だった。クリーンアップや下位打線も役割をきっちり果たしていた。だから強かった」
秋山監督は福岡ソフトバンクにもそれを求めている。「ことしは一発、一発というわけにはいかない。どの球団も投手がいいし、打って勝つのは難しい」と考えており、春季キャンプからよく「細かい動き」という言葉を口にした。キャンプからオープン戦を通じてそれを実践。「選手たちの意識を高めることができた」と秋山監督は手ごたえを感じている。
ことし主将に就任した小久保裕紀は開幕前日に次のように話した。
「今季の合言葉は接戦に持ち込み、接戦をモノにする。オープン戦では中継ぎ、抑えが安定していたし、僕ら野手陣は6回から7回までに1点でもリードして迎える戦いを意識しないといけない」
今季プロ通算400号本塁打の金字塔に挑戦(残り34本)する主砲は「もちろんそれは達成したいけど、秋山監督の野球はどん欲に1点を取りにいく野球。1点でも多くとれば勝つわけですから。ファンの皆さんにもそういう姿勢を見てほしいですね」とあくまでフォア・ザ・チームを貫いた。
「フリキレ!!」に込められた思い
「思い切って伸び伸びプレーしてほしい」
今季の球団スローガン「フリキレ!!」にはその思いが込められている。また、ヤフードームもその意図から改良が施された。6年ぶりに張り替えられた最新式の人工芝は「ケガを恐れることなく思い切ったプレーができる」と喜んだ。外野フェンスの一部の色を塗り替えたのは「圧迫感をなくしたかった」から。さらに自軍の一塁側ベンチの天井には「少しでも(雰囲気が)明るくなれば」と“青空”が描かれた。
昨季はかつての同僚だった埼玉西武・渡辺久信監督が就任1年目で日本一を達成した。意識しないわけがない。ホークス福岡移転後初の“九州男児”の監督は、どんな夢を見せてくれるのだろうか。
<了>
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