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廃部の西武が身をもって示したもの

ファイナル進出も、有終の美は飾れず

プレーオフ最終戦の第7戦で日本製紙に敗れ、肩を落とす西武の選手たち(手前)
プレーオフ最終戦の第7戦で日本製紙に敗れ、肩を落とす西武の選手たち(手前)【写真は共同】

「できるだけ長くホッケーしたいなっていうのが……正直シーズン終わりに近づいて、ちょっとさみしい気持ちもあるんですけども」


 アジアリーグアイスホッケーのプレーオフファイナル第1戦終了後、今季限りでの廃部が決まっている西武の若林クリス監督は、記者会見で本音を漏らした。願い通りというべきか、日本製紙とのファイナルは第7戦までもつれたが、名門西武は最後のシーズンを優勝で終えることはできなかった。


 ファイナルは3月13日、西武のホーム・西東京市東伏見のダイドードリンコアイスアリーナで始まった。第1戦はセミファイナル(対王子)を4連勝で勝ち上がった西武にとっては久々の試合であり、ハルラ(韓国)とのセミファイナルを第7戦まで戦った末に制した日本製紙の勢いを止めることができなかった。西武のいらだちが悪癖のペナルティとなって現れた第1戦はファイナルらしい内容とはいえなかったが、その後西武は強さを十分に見せることになる。

チームを支えた主将・鈴木貴人

 ファイナルでの西武は、追いつめられる度に力を発揮して第7戦までシリーズを引き延ばした。けがと出場停止で主力を欠いた、絶対に勝たないといけないホームでの第2戦は1点差でなんとかものにし、「一人一人の責任感が出た」と若林監督は振り返っている。釧路に舞台を移しての第3・4戦、西武は地元で強さを発揮する日本製紙に連勝を許す。第5戦での敗北は、西武にとって敵地で最後のシーズンを終えることを意味した。2点先行するも逆転され、さらに得点源のジョエル・パーピックがペナルティにより10分間退場という窮地に西武は4連続得点という信じられないような攻撃で、東京へシリーズを持ち帰ってくる。


 西武のあきらめない戦いの柱となっていたのは主将の鈴木貴人だった。結局7―4で制した第5戦ではハットトリックと大活躍、再び東京に帰っての第6戦では試合終了45秒前に決勝ゴールを決めている。「どっちに転ぶか分からないゲーム。最後鈴木の個人技でなんとかクレインズのゴールを破ることができた」と若林監督が評した鈴木のゴールシーンは、鈴木自身「自分でもびっくりするくらい奇麗なゴール」と語る素晴らしいものだった。第6戦で同点に追い付くゴールを決めた西武の小原大輔は、試合後「またあしたも試合できるっていう気持ちです」とコメントしているが、それは西武の選手全員の思いだっただろう。

沢田聡子

1972年埼玉県生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、出版社に勤めながら、97年にライターとして活動を始める。2004年からフリー。主に採点競技(シンクロナイズドスイミング等)やアイスホッケーを取材して雑誌やウェブに寄稿、現在に至る。

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