玉袋筋太郎インタビュー「走ることは加齢に対する反逆」=東京マラソン

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「ブームじゃなくライフにしろ」

「ブームじゃなくライフにしろ」と初心者ランナーにアドバイスを送った玉ちゃん 【スポーツナビ】

――走り始めてから、肉体的に変化はあったんですか?

 走ったら、いい方向に体が変わってきたんです。体重も15、6キロぐらい減ったし、洋服もスリムなものを着れるようになった。そうすると、自然にモテるようにもなりました(笑)。一番太ってたときは、86キロぐらいかな。人間ドッグに行ったら、全部結果がEで、メタボで死ぬぞと言われたんです。でも走り始めたら、全部Aになりました。肺活量も3000ccぐらいアップして、5000ccぐらいになったし。

――ちなみに、やせていく過程で事件があったとか

 そうそう(笑)。エガちゃん(江頭2:50)から、変な薬でもやっているんじゃないかと疑われて。本人に呼び出されて、正座させられて、「とにかくおれは何でもするから。おれにだけはうそを言うな。たとえ捕まっても、俺が全部面倒見るから。玉さん、(薬を)やっているだろ?」って言うんです。もちろん、「やってねえよ、ただ走ってるだけだよ!」って言いましたけどね。そしたら「よかったぁ〜」って、号泣してくれましたよ。

――やはり食生活にも気を遣ったんですか?

 ランニングを始めてから、並行してタイガーダイエットをやるようになって。

――タイガーダイエット? 聞いたことないですが

 おれが勝手に名付けたものです。朝、昼、晩と1日3度食べているのは人間だけで、野生の動物は1食しか食わないんです。だから自分は『野生の虎』だと思って、1日1食にしました。朝にスープを飲んで、晩飯は好きなものを好きなだけ食べるというもので。
 さすがに最近は、昼も軽くは食べるようになりましたけど、普通の人の昼ごはんの量よりは少ないですね。何かもったいなくて。楽しみを晩飯にとっておきたいから(笑)。

――今、ランニングはすごくブームになっています

 もちろん、ブームに乗っかって走るのは全然いいと思うんです。でもブームじゃなく、ライフにしてくれと言いたいです。周りの人にも、ライフにした方がいいよとは言っています。一回だけのイベントになってしまったら、それは、ブームなんですよ。
 ダイエットでも、ランニングが先でダイエットが後から付いてくるといいですよね。でも、ダイエットが先でランニングを始めると必ず挫折する。ランニングを続けるにはしんを通さないといけないから。でも続ければ、絶対に後から効果は付いてくるんです。

「3万人以上の『オレ部』が走る」

玉ちゃんは、「去年の『オレ』越え」を目指すと宣言! 【スポーツナビ】

――東京マラソンのコース攻略法があれば教えてください

 やっぱり最初は飛ばすなということですよ。後に力を取っておくことだよね。築地を越えてからが勝負だから。あとは、銀座を一発通って、浅草で折り返してからの退屈さに耐えろと。だって、一度見た景色をまた見ないといけないわけだから。体力的にも、30キロ地点あたりが一番つらいしね。だから応援する人は、その辺りにいてくれるとありがたいですよ。

 おれは怖がりなので、いつも最初は飛ばさない。だからこそ、最後まで走れたんだと思うんです。それと、最後の直線だけは全力疾走したいから。一回目のときに、それが気持ちよかったんですよね。もちろん、ヘロヘロの中での全力疾走なんですけど、それを最後にやってからゴールしたいんです。自分のトレーニングが身を結んだと実証できるから。普段練習しているときも、充実感を得るために、最後は必ずダッシュを入れています。

――本番が待ち遠しいんじゃないですか?

 不安もあるけど、やっぱり楽しみの方が大きいよね。今年はランナーも増えたし、3万5000人の『オレ部』が走ると思うとたまんないですよ。とにかく今、景気がどうこうとか言って、みんな元気がないじゃないですか。だから、お祭りやんなきゃ駄目なんだよと。浮かれて、ワーッと盛り上がって。もちろん東京マラソンだけじゃなく、いろんなところで盛り上がりが必要ですよね。

――3万5000人の『オレ部』にメッセージをお願いします

 頑張って走りましょう! 一人一人がそれぞれ主役だし、自分以外は全部が共演者だと思えば、すごくいいドラマになるから。
 それから、もちろん一番大事なのは自分のために走るってことなんですけど、本当に普段一生懸命走っている人が落選しても、東京マラソンに注目して、当日はボランティアで働いたりしているんです。1回目の時にその話を聞いて、俺は自分が当たったというありがたみと、そういう人たちに走らせてもらっているんだなと感じたんです。今でも、それはあります。だから、今回出る人たちにもそれを感じ取ってもらいたいですね。

――では、最後に今大会の目標を

 走ることは加齢に対する反逆なので、年は1個重ねたけれど、去年より速くゴールしたい。それだけで、自分は成功したと思います。加齢とのバランスもあるから、今後どこまで走り続けられるかは分からないけど、今はまだそれほど年老いていないから、やり続けようという感じですね。やっぱり、やらなきゃいかんのですよ!

<了>
玉袋 筋太郎/Sujitaro Tamabukuro
86年にビートたけしに弟子入りし、翌年、お笑いコンビ「浅草キッド」を結成する。ランニングは30代を過ぎてから始めて、39歳で初のフルマラソンに挑戦、見事完走した。東京マラソンは今回が3度目となる。過去2回の成績は、07年が4時間45分30秒、08年は4時間37分44秒でいずれも完走。

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