古豪の意地見せた倉敷工高に37年ぶりの栄冠=2008年秋季中国大会リポート

松倉雄太

倉敷工高・中山監督「夢のようです」

 中国大会を制したのは倉敷工高(岡山)。県大会4位ながら、開催県特権のワイルドカードでの出場から頂点に上り詰めた。ポイントになったのは同じ岡山の1位校である作陽高と対戦した準々決勝。前評判が最も高い相手に、15安打12得点でコールド勝ち。古豪の意地が新鋭校をのみ込んだ。
 波に乗った打線は中国大会全試合で2ケタ安打。目立った打者こそいないが、粘り強い打撃がチームの持ち味だ。打線の陰に隠れていたエースの山崎は準決勝の鳥取城北高(鳥取)戦で延長12回を投げ抜いてサヨナラ勝ち。決勝では2番手格の早藤から山崎へのリレーで37年ぶりの頂点をつかんだ。昨春就任した中山監督にとっても驚きの優勝。インタビューでは目を真っ赤にしながら、「夢のようです」と声を詰まらせた。

南陽工高は1年生・岩本がシンデレラボーイに

 準優勝の南陽工高(山口)も県大会3位での中国大会出場。全4試合に先発し、3完投した背番号10の1年生右腕・岩本が急成長したのが大きい。準々決勝で対戦した岩国高(山口)は、県大会準決勝で打ちこまれた相手。この岩国高を4安打1失点に抑え、見事にリベンジしてみせた。準決勝でも2試合連続コールドと強打を誇る開星高(島根)を相手に堂々の1失点完投。一躍シンデレラボーイとなった。178センチ、69キロの恵まれた体格から投げ下ろす直球は、球速以上に球威がありそうで、同校の先輩である故津田恒実投手をイメージさせるとの声もある。

 四国地区の3枠目と比較される中国の3枠目は鳥取城北高開星高で争うが、優勝校を相手に延長12回を戦った鳥取城北高がやや有利か。エースの中尾は県大会から全試合を1人で投げ切ったタフネス右腕。センバツ出場がかなえば、ことしの一般枠で唯一の甲子園初出場となる可能性がある。
 開星高は1番を打つ1年生の糸原が、準々決勝までで9打数9安打と気を吐いた。1年夏から甲子園を経験する主将の橋本ら、身体能力の高い選手も多く、センバツでも十分に戦える力はあるだろう。 その開星高には完敗したが、広島新庄高(広島)の六信(むつのぶ)は中国地区屈指の好投手。投手経験が浅く、投球のほとんどが直球だが、最速144キロの右腕にはプロのスカウトも注目している。一冬を越えての成長が楽しみだ。

<了>
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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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