エース・堂林擁する中京大中京高が優勝=2008年秋季東海大会リポート

松倉雄太

中京大中京のエース・堂林が全試合完投

 東海大会は中京大中京高(愛知)が制した。県大会は3位に終わったものの、昨年のセンバツに出場した旧チームから、主将で遊撃手の山中、エースになった堂林らが残り、前評判は最も高かった。堂林が背中を痛めており、県大会で1試合しか登板できなかったことが不安だったが、東海大会では全試合完投と見事に復活。直球の最速は130キロ台後半ながら、度胸満点のマウンドさばきと切れ味鋭いスライダーを武器に抜群の安定感を発揮するなど、とても故障明けの投手には見えなかった。堂林は、打つ方でも4番として東海大会全試合2ケタ安打の打線をけん引した。
 さらに忘れてはならないのが伝統の猛練習によって鍛えられた守備だ。準決勝の静清工高(静岡)戦では、山中がセンターへ抜けそうな強い打球を横っ飛びでキャッチ。センバツ出場が懸かった重苦しい雰囲気を吹き飛ばした。神宮大会では守りが乱れ天理高(奈良)に1対9、7回コールドと大敗したが、かえって不気味な雰囲気を醸し出している。

掛川西高は15年ぶりの春を確実に

 準優勝は掛川西高(静岡)。静岡県1位での出場だったが、東海大会初戦の大垣日大高(岐阜)戦では9回までリードを許す苦しい試合となり、5番・小崎主将の逆転サヨナラ本塁打で何とか勝ち上がった。準決勝では4番の江塚が特大の本塁打を放ち、エースの堀野が公式戦初となる完封。大応援団の前で15年ぶりの春を確実にした。上村監督はかつて浜松商高を率いて甲子園に7度出場。同じ静岡西部地区の掛川西高に赴任してから初めての甲子園が確実になり、感慨深いものがあるようだ。

 センバツ出場は絶望的になったが、準決勝で敗れた2校も好投手を擁して夏へ巻き返しを誓う。静清工の背番号10・五藤は1回戦の名張桔梗丘高(三重)戦でノーヒットノーランを達成。183センチ、98キロの体から繰り出すズシリと重い直球が持ち味だ。エースナンバーを背負う小井もライバル心を燃やしており、切磋琢磨して夏を目指したい。
 享栄高(愛知)の村瀬も東海地区屈指の左腕。旧チームでは先輩の八木(亮祐=東京ヤクルト入団)の影に隠れていたが、球威のある直球が武器で、今後の成長が楽しみだ。

<了>
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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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