日本文理高、悲しみ乗り越え北信越王者に輝く=2008年秋季北信越大会リポート

松倉雄太

監督の想像を超えた力を発揮した日本文理高

 4日間の連続開催から、2週に分けての開催と装いを変えた北信越大会。開催県1位で出場した日本文理高(新潟)が驚異の粘りを見せ、2年ぶりの北信越王者に輝いた。準優勝の富山商高(富山)とともに北信越の2枠は異論なく決まりそうだ。

 県大会1位校ながら前評判は決して高くなかった日本文理高ナインに北信越大会直前、悲しい出来事が起こった。大井監督の妻・秀子さんがガンで亡くなった。選手への影響を考えた大井監督はそのことを伏せていたが、選手は知ってしまった。「監督と奥さんを甲子園に連れて行く」そう誓ったナインは、大井監督の想像を超えた力を発揮。優勝候補筆頭と言われた遊学館高(石川)との準々決勝で序盤の3回までに6点を取り試合を決めると、決勝では3点ビハインドの8回に一挙7点を奪って逆転勝ち。優勝インタビューで「まさかこんな結果になるとは。2年前の時よりうれしい」と話した大井監督の目からは涙がこぼれていた。
 だが、神宮大会では鵡川高(北海道)に6対11と敗れ、全国での力の差を痛感させられた。エースの伊藤は旧チームからマウンドに上がるが、3年前の横山、2年前の栗山ほどの絶対的なエースとは言い難い。すべての面でのチーム力の底上げが大きな課題だ。

富山商高は39年ぶりの決勝進出

 39年ぶりに決勝に進出した富山商高。エース村上が4試合すべてに完投したが、最後は力尽きてしまった。直球は決して速くないが、100キロ前後のスローカーブを武器にした緩急が持ち味。それでも甲子園で勝つにはさらなる成長が急務だ。

 内海(哲也=巨人)2世と言われた山田が残り、県大会を制した敦賀気比高(福井)。前評判は高かったが、準々決勝で頼みの山田が崩れて、連続出場は絶望的になった。
 その敦賀気比高を破ったのが新潟商高(新潟)。県大会は4位だったが、北信越大会では初戦で石川1位の星稜高を破って勢いに乗った。エースの小柳ら、燕市立吉田中時代に全国4強まで進んだ選手が多い。夏に注目したいチームの一つだ。

<了>
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著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

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