国士舘高が伝統の機動力で頂点に=2008年秋季東京大会リポート

松倉雄太

1・2番コンビが国士舘高の得点源に

 昨年は準優勝でセンバツ出場を逃した国士舘高。「ことしこそ」の思いで、見事6年ぶりに都大会を制した。突出した打者はいないが、4試合で盗塁が12と、伝統の機動力は健在。特に1番・高橋、2番・植草の2人は、出塁率が高いだけではなく、打点も挙げるなど得点源となった。
 投手陣はエース候補だった菅谷と高野が故障でベンチを外れたが、秋からサイドハンドに変えた荷川取が大きく成長した。強打を誇る早稲田実高との決勝で1失点に抑え公式戦初完投。直球のスピードはないが、スライダーとシンカーを巧みに使った投球術で相手打線を翻弄(ほんろう)した。
 神宮大会では菅谷と高野も復活。投手陣に厚みが出てきたのは明るい材料だ。31歳の箕野監督はかつて神戸製鋼、松下電器で内野手として活躍。3年前に母校の監督となり、初めての甲子園出場を確実にした。

早稲田実高は潜在能力ナンバーワン

 準優勝に終わった早稲田実高が関東の6校目と比較される。小野田、鈴木の両1年生投手を中心に打線も強力で、潜在能力は都内でナンバーワンとの評判通りに勝ち上がったが、決勝では若さを露呈してしまった。出場は微妙な状況だが、「ことしの東京は関東より全体のレベルは高いのでは」との声も出ている。慶応高の出場が確実なだけに、早慶そろっての甲子園出場となるか。

 ベスト4に終わった帝京高は右の鈴木、左の岡部と1年生投手2人に期待したが、鈴木は故障で出遅れ。岡部も準々決勝で疲労によるひじの張りが出て、準決勝では登板できなかった。2枚看板を欠いた状態では、国士舘高に善戦するのが精一杯だった。だが春には141キロ出ると言われる伊藤が入学予定。夏へ向けて、層はさらに厚くなりそうだ。
 ブロック予選で前年の覇者・関東一高を破り勢いに乗った明大中野高が本大会でもベスト4に進出。早稲田実高には大敗したが、関矢、中本の両投手が大きく自信をつけた。
 初戦で9回2死から5点差をひっくり返してサヨナラ勝ちしたのは東京高。準々決勝でも早稲田実相手に延長12回の死闘を演じるなど、見事な戦いぶりだった。

<了>
■高校野球情報.com
高校野球専門ポータルサイト。地区予選のレポートから、球児のための野球をするのに大事な食育、メンタル強化についてのコラムを配信。またプロ野球選手をはじめ野球人のインタビューも掲載。
  • 前へ
  • 1
  • 次へ

1/1ページ

著者プロフィール

 1980年12月5日生まれ。小学校時代はリトルリーグでプレーしていたが、中学時代からは野球観戦に没頭。極端な言い方をすれば、野球を観戦するためならば、どこへでも行ってしまう。2004年からスポーツライターとなり、野球雑誌『ホームラン』などに寄稿している。また、2005年からはABCテレビ『速報甲子園への道』のリサーチャーとしても活動中。

新着記事

編集部ピックアップ

コラムランキング

おすすめ記事(Doスポーツ)

記事一覧

新着公式情報

公式情報一覧

日本オリンピック委員会公式サイト

JOC公式アカウント